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  • 系外惑星発見ニュース

最近の記事

左手が麻痺したのでキーボードの配置を入れ替えた

以前も書きましたが、脳卒中で左手が麻痺し右手だけでタイピングしています。すると入力がとても捗らない。特に手間取るのが「A」と「半角/全角」キー(日本語と英字をきりかえる左端のアレ)のタイプ。日本語のローマ字入力では「A」は使用頻度が高いのに左側に大きく離れてるので右手で押すのは難しく誤入力も非常に多い。そこでPCのレジストリをいじることでキーボードのキーの割り当てを変更するソフトを信頼と安心の窓の杜で探して早速使ってみました。 まずは「A」をどこに連れてくるべきか、キーボー

    • ”探査機絶対殺すムーン”に挑む日本の探査機MMX

      火星の衛星を探査する日本の宇宙探査計画「MMX」(Mars Moon Exploration)の準備が進みつつあり、ニュースでも取り上げられるようになっています。この記事では人類による探査を拒み続けてきた過去のフォボス探査の歴史とフォボスを探査する意義やフォボスの名前や人工天体説などの話題について触れています。 宇宙航空研究開発機構によるMMXの公式サイトはこちら NHKにゅーすはこちら MMXははやぶさ・はやぶさ2と同様に天体の表面から10グラム程度の砂を地球に持ち帰

      • 大天文学者が見た謎の閃光の正体は隕石衝突だった160年以上を経て実証

        今から一世紀以上前の1853年4月19日、こと座流星雨がピークを迎え、世間を賑わせていました。この夜、この時代の天文学の第一人者であるウィリァム・ハーシェルは流星の観測をそっちのけで、ある「怪現象」を解明するために月へ望遠鏡を向けていました。 そして根気強い観察の結果、彼は月面の異なる場所でで比較的明るい閃光が生じるのを3回にわたって目視し、彼自身はこの体験を月表面の火山活動を垣間見たもの考えて閃光のおおよその位置を観測記録に残しました。 月面閃光はその名の通り月面で短時

        • あの人は今~オウムアムア

          2017年に太陽系外から飛来した天体として史上初めて発見された「オウムアムア」が世間を騒がせました。その話題性は当初の勢いに比して長続きしなかったという印象を受けた方もいるのではないでしょうか。一体なぜオウムアは短期間で表舞台を去ったのか。現在の住所は?職業は? オウムアムアは2017年10月に発見され、発見後の軌道の分析によって同年9月には太陽に最接近しており、すでに太陽から離れていく軌道に乗っていることが判明しました。オウムアは惑星のような円軌道でも彗星のような楕円軌道

        左手が麻痺したのでキーボードの配置を入れ替えた

        • ”探査機絶対殺すムーン”に挑む日本の探査機MMX

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        • 特集 グルームブリッジ1830
          3本
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          18本

        記事

          文章の品質をどんどん落としていきたい

          こんな場で言うのも何ですが、私は文章を書くのが嫌いです。書いてる途中で心底うんざりしてお蔵入りさせた文章がいくつもあります。ではなぜ文章を書いているのかというと、自分の興味の対象について情報を伝えたいからです。文章を書くことはそのための手段であり、目的のために避けて通れない労役だと認識しています。 「情報として素晴らしい文章」と「文章として素晴らしい文章」があると思います。前者は取り扱う情報が正確かつ本質的で過不足の無く文章、後者は表現として巧みな文章です。私は前者を優先し

          文章の品質をどんどん落としていきたい

          グルームブリッジ1830でかすぎ事件

          発端は2012年に発表されたある研究でした。アメリカの天文学者タベサ・ボヤジアン氏によって率いられこの研究(2012ApJ...746..101B)は、44個の恒星のサイズを直接測定した先進的なものでした。グルームブリッジ1830もターゲットの1つでした。 研究に用いられた「CHARAアレイ」は、口径1メートル望遠鏡6台からなる望遠鏡群で、カリフォルニア州ウィルソン山天文台の敷地内にあります。目的は「干渉法」による観測を行うことです。2つの望遠鏡で同じ天体を観測し、その光(

          グルームブリッジ1830でかすぎ事件

          グルームブリッジ1830と太陽の比較

          そもそもグルームブリッジ1830とはどのような天体なのでしょうか?端的に言えば「太陽に似ているけど二回りぐらい小さい恒星」です。グルームブリッジ1830のサイズ・温度・質量などを推定した研究は数多くあります。2020年のKarovicova氏らの研究はその中でも最新のもののひとつです。この研究では干渉法を用いて恒星のサイズを直接測定し、次のような値を得ています。 太陽と比べると、温度が低く、質量・半径・光度の全てが小さいことが分かります。基本的に恒星は質量が小さいほど温度が

          グルームブリッジ1830と太陽の比較

          グルームブリッジ1830に関するいくつかの古い研究

          グルームブリッジ1830は太陽系近傍の恒星です。天文学者の間で大人気の天体であり、SIMBADデータベースによれば、少なくとも754件の文献がグルームブリッジ1830に言及しています。SIMBADのデータベースでは1850年以降の関連する文献を収集していますが、1983年より前の文献については不完全です。 1901年のキャンベルによる研究SIMBADのグルームブリッジの項目に記載されている最古の文献は、1901年のウィリアム・W・キャンベルによる研究です。キャンベルは当時ア

          グルームブリッジ1830に関するいくつかの古い研究

          TOI-201b

          arXivに太陽系外惑星TOI-201bの発見についての研究が掲載されている。 TOI-201b(別名HD 39474 b)は木星とほぼ同じサイズを持つ巨大ガス惑星で、半径0.3天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)の楕円軌道を53日で公転している。 主恒星のTOI-201(別名HD 39474)は年齢が9億年前後の比較的若い恒星で、太陽より一回り大きく、温度も高い。南天の星座がか座に位置する10等星で、太陽系からは約370光年離れている。

          TOI-201b

          カプタイン星の惑星が消えた

          カプタイン星は太陽系から12.8光年の距離にある赤色矮星で、視線速度の変動を調べることで2014年に2つの太陽系外惑星を発見したことが報告されていた。ただ赤色矮星では恒星本体の活動性が視線速度の変化をもたらすことが知られており、カプタイン星系の惑星が実在するかどうか疑わしいことがこれまでに指摘されていた。 今回の研究では恒星の自転と活動性に由来する変動をより詳しくモデル化して再検証を行った。その結果、観測された視線速度の変化は恒星のみに由来するものとして説明できることが分か

          カプタイン星の惑星が消えた

          アレシボ電波望遠鏡の復活が提案される

          2020年に運用を終えたアレシボ電波望遠鏡の跡地に、後継となる望遠鏡を建設する計画について報告書のプレプリントが掲載されている。 プエルトリコ・アレシボ天文台にあったアレシボ望遠鏡(口径305メートル)は、2016年に中国のFAST電波望遠鏡(口径500メートル)が完成するまで世界で最も大きい電波望遠鏡として知られていた。1963年の完成から長年にわたり地球大気・太陽系内および太陽系外の天体など幅広い観測に用いられ、特に地球外知的生命探査(SETI)に活用されてきたことで知

          アレシボ電波望遠鏡の復活が提案される

          KMT-2020-BLG-0414Lb マイクロレンズ法で発見された地球質量の惑星

          太陽系外惑星KMT-2020-BLG-0414Lbの発見が報告されている。 重力マイクロレンズ現象とは、遠くにある天体の手前を別の天体(レンズ)が偶然横切った時に、光の進路が歪んで一時的に光度が増加する現象だ。レンズ天体の周りに惑星があると特有の光度変化のパターンが生じるため、太陽系外惑星の検出に使うことができる。 惑星「KMT-2020-BLG-0414Lb」は2020年に発生したマイクロレンズイベント「KMT-2020-BLG-0414」を分析して見つかった。マイクロ

          KMT-2020-BLG-0414Lb マイクロレンズ法で発見された地球質量の惑星

          TOI-1685b 赤色矮星の周りを公転する超短周期惑星

          太陽系外惑星TOI-1685bの発見が報告されている。 「TOI-1685b」は主星の周りを0.669日(16.1時間)で一周する超短周期惑星だ。サイズは地球の1.7倍あり、岩石惑星としてはやや平均密度が低いため、密度の低い物質を含んでいると考えられている。主恒星の「TOI-1685」は太陽系から123光年の距離にある赤色矮星で、そのサイズは太陽の約半分しかない。 TOI-1685bの外側の軌道には約9日周期の別の惑星が公転している可能性があるが、まだ確証は得られていない

          TOI-1685b 赤色矮星の周りを公転する超短周期惑星

          LHS 1478 b 赤色矮星の周りを公転する地球サイズの惑星

          太陽系外惑星LHS 1478 bの発見が伝えられている。 LHS 1478 b は地球の1.24倍のサイズを持ち、1.95日周期で主恒星 LHS 1478 を巡っている。質量は地球の2.3倍、平均密度は約6.7g/cm³と計算され、地球と同様に岩石から構成されていると考えられている。 主星の LHS 1478 は赤色矮星で、そのサイズは太陽の25%、質量は24%しかない。主星の光度が小さいにもかかわらず、惑星の軌道半径が地球と太陽の距離の1.8%しかないため、惑星は300

          LHS 1478 b 赤色矮星の周りを公転する地球サイズの惑星

          謎の天体CrA-9B/b その正体は?

          若い恒星の周りに奇妙な天体が見つかったことが報告されている。 問題の天体はCrA-9と呼ばれる天体の周りに見つかった。CrA-9は太陽の約0.45倍の質量を持つ恒星で、生まれてから100~200万年しか経っていない。 発見された天体「CrA-9B/b」は、CrA-9から109天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)離れた所に見えている。CrA-9B/bのスペクトル(光を波長ごとに分解したもの)は3000ケルビン(約2700℃)の天体によく似ている。このれは若い恒星の温度と

          謎の天体CrA-9B/b その正体は?

          OGLE-2018-BLG-1428Lb マイクロレンズ法で発見された巨大ガス惑星

          重力マイクロレンズ法を用いた太陽系外惑星の発見が伝えられている。 惑星OGLE-2018-BLG-1428Lbは質量が木星の0.23~1.54倍、主恒星のOGLE-2018-BLG-1428Lは質量が太陽の0.21~0.76倍、主星と惑星の距離は2.47~3.89天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)と見積もられている。重力マイクロレンズ法の性質上、これらの値には大きな誤差があるが、見つかった惑星は温度の低い木星型惑星(巨大ガス惑星)と考えられている。この発見にはマイクロ

          OGLE-2018-BLG-1428Lb マイクロレンズ法で発見された巨大ガス惑星