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KMT-2020-BLG-0414Lb マイクロレンズ法で発見された地球質量の惑星

太陽系外惑星KMT-2020-BLG-0414Lbの発見が報告されている。

重力マイクロレンズ現象とは、遠くにある天体の手前を別の天体(レンズ)が偶然横切った時に、光の進路が歪んで一時的に光度が増加する現象だ。レンズ天体の周りに惑星があると特有の光度変化のパターンが生じるため、太陽系外惑星の検出に使うことができる。

惑星「KMT-2020-BLG-0414Lb」は2020年に発生したマイクロレンズイベント「KMT-2020-BLG-0414」を分析して見つかった。マイクロレンズ現象でどれほどの増光が起きるかは天体の質量や配置によるが、このイベントでは1450倍にも及ぶ極端な光度の増大が起きた。

惑星はこのイベントでレンズ天体として働いた恒星「KMT-2020-BLG-0414L」の周りにある。さらに、この惑星に加えて、より質量の大きい別の天体が存在することも分かった。

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(KMT-2020-BLG-0414イベントは大量の恒星が密集する銀河バルジの一角で起きた。2020年7月頃に丸印の位置にある暗い天体が一時的に赤外線等級で11等まで明るくなった。地球に届く光は、惑星が見つかったレンズ天体ではなく、背景の天体に由来すると考えられている。画像はPan-STARRS DR1のデータを用いて Aladin Liteで作成。)

マイクロレンズ法には惑星と恒星の相対質量を精度よく求めらrる特徴があり、今回のケースでは惑星質量は恒星の10万分の1だった。これはマイクロレンズ法で見つかった惑星のうち最も極端な質量比になる。主恒星の質量は太陽の0.2~0.4倍で、惑星の質量は地球の0.7~1.5倍、恒星と惑星の距離は地球と太陽の距離の0.9~2.0倍程度とされている。

もう1つの伴星は質量が木星の10~30倍程度であり、大質量の惑星または褐色矮星(恒星と惑星の中間の天体)と考えられている。主恒星からは約0.15天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)または約15天文単位ほど離れた位置にある。る2つの大きく異な距離が予測されているのは、マイクロレンズ法の特性上、観測結果に適合する光度変化のパターンが複数の異なる配置で再現できてしまう場合があるためだ。

今回のイベントは3つの主要な重力マイクロレンズ観測プログラム「KMTNet」「OGLE」「MOA」のうちKMTNetの観測所(3か所のうち2か所)とOGLEの観測所がCovid-19の影響で休止する中で発生した。イベントの検出と通告はKMTNetが行い、フォローアップ観測により惑星の詳しい性質を決定できた。

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