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美容院での気づき

 美容院難民だったわたしが、はじめて「この人は信頼できる!この人にならすべてお任せしていい!」って思えた美容師さんに出会った。まさに運命の出会いだった。


思いつきで当日予約して入った美容院。
鏡の前に座り、簡単なカウンセリングがはじまる。
わたしの髪質や過去のブリーチや染色歴などを聞かれ、どんな風な髪型にしたいのかを丁寧に聞かれた。


わたしはその日、髪の毛をすいてもらって、毛先のダメージ部分を少しカットしてもらうつもりで来店していた。

長期的には髪の毛を胸下ロングまで伸ばしたかった(今はミディアムよりも少し短いくらい)。元が癖っ毛なので、ミディアムだと髪が広がってしまってボサボサになるので、見栄えが悪い。それを整えてもらいたかったのだ。

なのに、その美容師さんは、ある程度カウンセリングが進んだ時点で、わたしの髪の毛をじっくり触っていた手を止めて、鏡ごしに真っ直ぐわたしの目を見て言った。


「率直に言いますね。僕だったら、今のお客様の要望を叶えるためには、ダメージ部分の毛先カットも、量が増えて広がってしまっている部分の髪をすくことも、しません。

それをすることは簡単だし、今日、一時的に満足して帰っていただけると思います。でも、それをしちゃうと2ヶ月後くらいにまた同じ悩みにぶつかって、また同じことを繰り返して、いつまでもこのループから抜け出せなくなると思います。

今できるベストは、髪が自然と伸びてくるのを待つことです。」


彼のその言葉を聞いて、わたしは「あ、この人信頼できる」と思った。


「簡単な」と言ったけれど、実は、このカウンセリング、実に30分以上に及んでいた。「なにもしないのがベストです」宣言をされたあと、「今できるベストとしては、本当は縮毛矯正をして広がりを抑えてあげたいです。でも、今の髪のダメージの蓄積具合的に、それをしてしまうと余計に髪のダメージが悪化します。なので、今日は満足して帰ってもらうことはできない結果にはなると思うんですが、トリートメントに全振りして、ダメージをできるだけ減らしていく方向がベストだと思います」とお話をしてくれた。

さらに、トリートメントの種類、今日縮毛矯正をした場合のメリットでメリット、金額的なことまで、わたしが納得するまでずっと丁寧に、わたしにも理解できるように説明してくれた。

その際も、「今日の予算の上限はどのくらいですか?」と聞かれ、わたしの答えに対して、目の前で電卓を弾いて複数あるトリートメントの金額を教えてくれて、最終的にわたしの予算と髪の毛にとってベストな妥協点を選んでくれた。


もう、信頼しかなかった。
本当に感動した。

適当に調子のいい上っ面のことは言わない。
偶然、同い年ということもわかり、トークは地元ネタや同級生ノリだった。

そういう素朴で素直な、媚びない自然体な感じも好きだった。
あくまでもわたしの髪と財布にとってのベストを考えてくれて、提案した上で、最終的にわたしに選ばせてくれる「どうぞ」感も好感が持てた。

わたしが納得するまで、結局45分くらい鏡の前で話していたんじゃないだろうか。2回目の来店のとき、美容師さんも「初回カウンセリングって基本長めに丁寧にするんですけど、流石につむさんほど長い人は初めてでしたね、あははは」と言われた(笑)

わたしは、やっぱり、こういう人が好きだなって改めて、心の底から思った。


初来店の日。美容院を出たとき、その仕上がりに満足したかと言われると、満足はできていなかった。でも、根本治療をようやくスタートできたという確かな実感があった。

その後、2回目に来店して髪質を見てもらい、時間と予算を聞かれた上で、縮毛矯正を7割程度でかけてもらった。その時も、「多分、うねりや癖は少し残ると思います。でも、髪の毛にダメージをこれ以上増やさないギリギリのラインが、多分7割くらいのパーセンテージです。それで自宅でもケアを続けて、胸下まで伸びてくるまで耐え忍んでください。次の来店は、うねりや広がり、ダメージが気になり出したときで大丈夫です」と言ってくれた。

これが、その日の100%満足のために安易に髪にパーマを当ててミディアムでも可愛くなるようにセットしたり、広がりを抑えるために髪をすいたり、カットしたりという対応をされていたら。わたしは多分、その日は満足して帰っても、結局リピートはしなかっただろうな、と思う。(実際、それでわたしは過去数年、ずっと美容院難民だった)


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コロナ禍が始まってから、いろんな人がSNSでビジネスや副業をはじめた。

わたし自身、コロナ禍と同時進行でシングルマザーとなったので、子どもを守るため、家計を支えるためにフリーランスとして働いたり、起業をしてみようと頑張っていた時期がある。そのときに、色々なビジネススクールに通ったりしたから、ある程度のSNSマーケティングやファネル構築やマネタイズ、心理学を駆使したコピーライティングなどの知識は学んでいるし、ビジネスとして事業を回していくためには、そういうテクニックが大切なことも頭では理解している。


でもね。

わたしはやっぱり、そういう人にはなりたくないなって。
思っちゃうんだよね。


実際、SNSで集客をしていて月商100万円の人を何人も知っている。でも、そういう人はブランディングとコピーライティングに極めてグレーな "嘘" を織り交ぜる。

決して真っ黒な "嘘" ではない。間違ってはいない。でも、受け取る側はさ、そんな風に書いたらさ、言ったらさ。絶対にAだと思うじゃん。でも、「Aとは明言してませんよね?それはそっちが勝手に受け取ったんですよね?」みたいなギリギリのラインのグレーな "嘘" が混じるのだ。

他にも、個人的にその人にDMした内容を、こっちの許可なく勝手にストーリーに載せられたりするのも、あるあるだ。(もちろん、匿名にはしてくれている)。その出し方がさ。いやさ、別の話してたよね?なのに、そこだけ切り取って、そういう風にストーリーに出したら、それを受け取る人って絶対本来のDM内の会話とは別の内容で受け取るよね?!
ていうか、友達としての個人的なDMだったよね?!それ、晒すのね?!

いや、いいんですよ?
お客様の声とか感想、大事なのわかりますよ?
あなたの集客に貢献できて光栄ですよ?
それがわたし達の本来の会話の趣旨と違っている内容に関してのストーリーだったとしても、ブランディング的に、マーケティング的に、使えると思って使っていただき、あなたのビジネスに貢献できたのなら、それは光栄でございますよ?

それもね。大事よね。
ブランディングに、マーケティングに、お客様の声。
全部、ビジネスをする上では、特にSNS集客では、大切だよね。わかるよ。

でもね。
わたしは、正直、「うん。わたしは自分のお客さんにはDMの内容を公に晒す前に『この部分を、こんな感じでストーリーに載せていいですか?』って聞くかなー^^勝手にさらされて、話を勝手にあなたのブランディングやビジネスに合わせるためにねじ曲げられて、あんまり良い気がしない人もきっといると思うんだよねー^^」って思ってしまう。


そういうテクニックを駆使した先に月商100万円があるのなら、わたしはそれ、いらないわって思っちゃう。

(この感覚、わかっていただけるだろうか?!)



わたしが惹かれる人って、SNSでもリアルでも、「THE ビジネスビジネス!!」してなくて、コピーライティングとかガン無視してて、SNSマーケティングの原理原則もフルスルーしてるような人たち。

わたしの髪と1時間近くかけて向き合って、単発的な収益としてはベスト(高単価)ではなかったかもしれなくても、わたしの髪質と長期的に向き合うために率直な時間と労力とエネルギーを割いてくれた、あの美容師さんみたいな人。

そういう、商品を売る、売り上げを上げるってことじゃなくて、(もちろんそれも生きていくために大切なんだけど)、そもそもの前提の部分で、「人として信頼できる」「人として率直で、人情があって、正直な人」そんな人たちなんだよなって思った。


ビジネスをやっている人には、そんな考え方は甘い!って言われるかもしれないけど。

でも、やっぱり、わたしはマニュアルとかテクニックじゃなくて、人として筋を通して、個人と個人としての信頼感で繋がっていける関係性を重視しているビジネスオーナーさんや起業家さんがいいなって思う。
そういう人と、長く細く、でも確実にしっかりと続いていくお付き合いをしていきたいなって思う。

特に、副業や起業がもっと当たり前になっていくであろう、これからの時代は。

わたしは、そういう人がいいなって思うし。
自分自身も、もしまたこの先フリーランスや起業を本格的に再始動するときが来たら、そういう人徳のある真摯な姿勢を忘れないでいたいな、と改めて思った。


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