文章書く蔵

何が書きたいのか分からない🥺書きながら見つけたい🥺

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未消化のキャットフード

 自分で言うのもなんだが料理が得意だ。  お店で食べるより、君に作ってもらったほうが美味しいとよく言われるし、家族に作ってあげて喜ばれなかった日はない。  なんでこんなに上達したんだろうと思う、別に修行したとか料理を作りまくったとかじゃないんだけど。  友達が面白いことをしていた、料理の上達法なんだけどこのレシピを極めるって決めて、1週間作り続けるんだそう。絶対飽きるだろうと思うけど、いろんな工夫が必要だもんね。  自分はただ料理を楽しんでいただけだと思う、作ったもの

    • 鼻くそ食ってるやついたよね

      「なんで小説ってジョーケービョーシャとかするんだ?なくってもいいやん」  隣の席で久慈川はそう言った。お酒を飲んで顔を赤くしている、ふだんの頭の回らなさに輪をかけてバカな言動がきわだった。  確かになくても成立はする、何時に〇〇駅についてどこそこで友人とランチをとった。ただそれだけを書き連ねても読めないことはない。でもそんな文章読んでて楽しいか?ただの日記と同じだ。  作者には冬の冷たさから失恋の辛さを描く人もいれば同じ冷たさから親しい人の裏切りを見出す人だっている、そ

      • 汚い店ほどメシはうめぇ

         傘垣の好みの料理店を友人に紹介する時は必ず汚いよ、と忠告する。ただ味は保証するから、と。  この日も友人と例の店に行くことになった。本当は共通の友人が営む店に行きたかったのだが、予定の日はあいにくの休み。飲食店には疎い2人が揃ってしまったため近くにあったあの店を選んだ。  道すがら、傘垣は笑いながら友人にいつも通りの忠告をした。 「今から行く店、汚いから」 「大丈夫だよ、汚い店ほどうめぇから」  そんなふうに答えてくれる友人は初めてだった。うまいのはうまいが、汚けれ

        • たどり着けないあの影に

           中学生のリョウジの悩みは家族が不仲なことだった。両親は共に働いていて父はイライラすることが多い性格なのだが、朝は特に機嫌が悪い。 「おい!なんだこの朝メシは!」  箸が揃ってないとか、ご飯を出すのが遅いとか、何かにつけて文句をつけている。リョウジはなんでこんなに仲が悪いのに一緒に暮らすのか疑問だった。ただそれを口に出して聞くことはせず、今日もいただきます、ごちそうさまを言って学校へと向かう。   学校での生活は順調であった、ただそれは家庭での悲劇と比べて、という話なの

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        未消化のキャットフード

          一杯のために

          不要な記憶が消えたなら、いつまでたっても成長しない 嫌なことを繰り返す、繰り返すたびに記憶から消す  ラーメンはやっぱり家系に限る、ほうれんそうのトッピングがすきだ。濃厚なスープが絡まる麺をすする。いつまでも食べていたい、そんなふうに思える一品だった。食べ終わってしまうと、口寂しい、まだ食べたい...そうだ、〆にライスでも頼もうか。しばし待つとしよう。  テレビのニュースはほとんど見ないが暇つぶしにはちょうどいい。芸能人の浮気やスキャンダル、感染者数の増加などではなく、

          一杯のために

          ボディソープで髪を洗った

           誰だよ、学校に隕石落ちろとか願ったやつ。なくなっちまったじゃねえか、俺達の居場所。いや嫌いなのもわかるけどさ、みんながそうってわけじゃあないぜ。少なくとも俺は好きだったさ。部活の仲間、クラスのグループ、まぁ先生たちとか学校そのものは全然好きじゃねえけどな、古くさいし。 「はあ?!地震かと思ったら学校無くなってんだけど!」 ここで登場、我が友人の佐藤。同じクラスのやつだ。 「地震だったらよかったのにな」 「本当だよ!今日の体育バレーで楽しみだったのによぉ」うちの学校はみんな

          ボディソープで髪を洗った

          屋敷の主に用はない

           目覚めたかった、こんな悪夢からは早く。  最近心臓が痛い、どくどくと鼓動するその振動に体が圧迫されているような痛み。息を吸うと肺が膨らみ更に圧迫されていく、呼吸するだけでも辛かった。すすって食べるものはさらに痛みが増す。ラーメンが食えないじゃないか、チクショウ。  どうやったら治せるのか、病院を訪ねてもわからなかったその治療薬はこの館にあるらしい。噂で聞いただけだが、気の狂った主人が一歩も外に出ず、実験をしているとのこと。行くか迷ってるヒマなんてない、早くしないと..

          屋敷の主に用はない

          なんで悪口って言っちゃいけないの?

          それは自分にかえってくるからだよ。人を殺してはいけないのと同じ、いつか自分が言われることもある、 それって自分が殺されるってこと? ううん、ちがうよ。君が殺したのは誰かにとっての大切な人、もし君とは無関係なところで、君の大切な人が殺されていたら、とてもかなしいだろう?

          なんで悪口って言っちゃいけないの?

          雨乞い

           気がついたら映画館にいた。いつの間にか着席していた。もう映画は始まっているようで、周りの目も気になるし席を立つのはよしておこう。良かったな俺が映画好きで。  お姫様を助け出すなんて聞き飽きた。ゲームでも物語でも遊び尽くされ、語り尽くされた。刀を使って姫を守る、ありきたりなストーリー。敵の大将のような人物だけはおそろしくてまともに見られない。味方が次々に屠られていくのを眺めていると、次は自分が殺されそうな気がして、屋敷から逃げ出した。お姫様と何人か追従させて森の中へ。  

          溶かさなければ凍らない

          「はぁ?なんで牛乳切らしてんの?」 「ごめん、今日全部シチューに使っちゃった」 「あっそ」 仕事から帰ってきた母はまず先に僕に苛立ちをぶつけてきた。  あまりに美味しそうなシチューのレシピだった、作ってから後悔したのは失敗したからではなく母に叱られてしまったからだ。あんなに美味しかったのに今はもう見たくもなくなった。もぐりこんだ布団のぬくもりだけが優しく僕を包んでくれた。  夜が明けて、またなにか言われるのも嫌だし、自分も使いたいから牛乳を買いに行くことにする。母を見送り

          溶かさなければ凍らない

          自己紹介

           どうも高卒フリーターです。そういえば今まで自己紹介記事を作っていなかったと思い立ち、名前を変えたついでに自分について知ってもらえたらなと思い、この記事を書きます。 中学 井の中の蛙大海を知らず、と一言で語り尽くせるくらい薄めの中学時代をおくりました。このときの自分を褒めるとしたら、成績が上位5%を維持していたことよりも、所属していたバスケ部でうけた小規模ないじめを自分の力で克服して、最後まで部活をやめずにやりきったことで、花丸を上げてもいいレベルです。ただもうちょっと外で

          雨ざらし

           私は雨が憎い。この雨に奪われたものは数しれず、親しい人からそうでない人まで、多くの命を奪われた。自分が今日を生きれるのが不思議なくらいに、周りから全てが消えていった。だが同時に興味も持った。この雨は、そして人類の敵は一体なんだろうか。  彼らは少なくとも人類の目には見えない、そして雨の日に現れて全てをなかったことにする。まっさらな状態に戻す。  今日は晴れの予報だった。くつがえってはいけない、考えてみればそれは希望的観測だった。しかし、こうなってはやるかたない。今日は予

          お前なんかに従わないぞ

          「この小説まじでつまんねぇ」 どこがだめなんだよ?休憩中の彼に尋ねると 「最初の一文を鉤括弧で始めりゃいいだろっていう魂胆がみえみえなんだ、中学生の作文じゃねえんだからもっと他の表現を練ろよ」 読むだけのくせに口は達者である、創作がどれだけ大変なのか知ってくれ。  ただ素直な気持ちを包み隠さず言ってくれるのは気持ちがいい。どれだけ日を空けようとも客観的な視点に立って自分の小説を読み返すのは至難の業、こいつの意見と素直さには助けられるときもあるのだ。  そうはいってもどう直

          お前なんかに従わないぞ

          絶対に好かれるガールと絶対に好きにならないボーイ

           彩城美尾。この名前を知らない人はこの学園にいない。知らない場合、存在を消されると言ったら過言だが、どうしても目にしてしまう、耳にしてしまうその名前は僕の隣に座る彼女のことを指している。平たくいうと彼女はとてもモテるのだ、学校中の人間から告白されまくって、それを断り続けている、今日で連続327日目になる。お前いちいち数えてんのか、キモいなと思った人は見当違いで、数えているのは僕ではなく彼女自身、しかも全校生徒が朝一番に目にするであろう、学園の玄関にある黒板にサッカー部の得点者

          絶対に好かれるガールと絶対に好きにならないボーイ

          雨に打たれ

           私は雨が好きだ、冷たい雨が好きだ。  とつとつと雨が天井をたたいている。寒さに耐えるように膝を抱えてうずくまる、私と違ってとなりの女の子はいつも明るく、あったかい。くっついていると体温が伝わってあたたまるのでできるだけ近くにいようと思う。何せ今日は突然の雨、彼女に連れ出されたおかげでなんの対策もしていなかった。このくらいの事は許してくれるよね?  彼女との会話でやはりこの倉庫で雨宿りをしながら助けを待つのが賢明だ、という結論に至った。雨の日は好きなんだけど、かなり危険。私

          雨に打たれ

          できることはある

           俺の名前は辺地貫井、死がない中学生だ。おっと間違えた、しがないだったな、危うく不死身になるところだった。今日からバスケットボール部というのに所属する。自分からやりたいと思える部活がなく、母親にすすめられてやることにした。もともと運動が苦手で、スタメンとか全然狙うつもりはないが、運動不足の解消にはちょうどいいだろう。  夏休みに入り練習が激しくなる頃、自分の覚悟が甘々で糖度は軽く40度を超えていたことに気がついた。顧問は「吐く奴がいてもおかしくない」と言っていたが、自分が一

          できることはある