お前なんかに従わないぞ
「この小説まじでつまんねぇ」
どこがだめなんだよ?休憩中の彼に尋ねると
「最初の一文を鉤括弧で始めりゃいいだろっていう魂胆がみえみえなんだ、中学生の作文じゃねえんだからもっと他の表現を練ろよ」
読むだけのくせに口は達者である、創作がどれだけ大変なのか知ってくれ。
ただ素直な気持ちを包み隠さず言ってくれるのは気持ちがいい。どれだけ日を空けようとも客観的な視点に立って自分の小説を読み返すのは至難の業、こいつの意見と素直さには助けられるときもあるのだ。
そうはいってもどう直そうか、はじめ方が気に食わないんだっけか。それなら地の文でどれだけの表現ができるかが肝心。なんだろう、体言止めとか使えるのかな?
1億もいる人口のうち、たった一人の意見を聞いて僕はこの文を削除した。はぁ、とついたため息は白くとても白く。
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