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【読書】人生後半の攻略本/「老子」から

幸せとはなにか?なぜ我々は日々身を粉にして働き続けなければならないのか?人生も半分を過ぎ、今後なにも目指して生きていけばいいのか?等と色々と悩んだりする癖がある40代前半の私。そんな数々の悩みに一つの解を与えてくれるそんな一冊。

記事要約

  • 仁義礼智信(5常)を重んじる秩序の思想である儒教/論語にたいし、道教は現実への自足を論じる癒しの思想。

  • 全体的に超読みやすい。老子の語録もかなり意訳しており、ほぼ誰でもわかるように整理。

  • これまで夢や目標に向かって無理しつつ突っ走ってきた半生/道だったが、今後は老子先生のいう本来の道を自然体で歩けるようになれたら。




1.本の紹介

本のタイトルは「超訳 老子 - 心が安らぐ150の言葉」(2011年刊行)。日本帰国時に本屋に立ちよった際目に入り、即買いした一冊。

オリジナルは老子(紀元前571ー470年、だが詳細不明)が書いた『道徳経』。老子は中国が誇る春秋時代の哲学者。孔子と同年代だが、彼の素性については諸説あり詳しいことはわからない模様。

超訳は作家で評論家の岬龍一郎(1946ー2022年)。早稲田大学を経て、情報会社・出版社の役員を歴任。退職後、著述業のかたわら、人材育成のために「人間経営塾」を主宰。国家公務員・地方公務員幹部研修、大手企業研修などの講師を務め、「人の上に立つ者の人間学」を説いたとのこと。

2.本の概要

著者/岬龍一郎によるまえがきによって始まる本書。東日本大震災により、いい人も悪い人も関係なく多くの生が一瞬のうちに海の藻屑や瓦礫の山に化してしまった、この経験をどう理解すれば良いのか、という根元的な問いが芽生えた著者。

戦後貧しい日本に、いわゆる団塊の世代として生を受けた著者からすると、ますます合理化され便利になっていく世の中に対して、その恩恵を受けつつも一抹の不安を感じていたという。科学的合理性の追求による文明の進歩、そこに人間の幸せを想定する現代社会だが、果たしてそれは本当に人間を幸せにするのか?こういった観点から老子の無為自然の哲学へ解を見いだそうとする著者。

序章では、そもそも老子という人は昔のエライ人なんだよという人物紹介から入り、仁義礼智信(5常)を重んじる秩序の思想である儒教/論語にたいし、道教は現実への自足を論じる癒しの思想であると説明。

論語的な秩序・礼節・立身出世を追い求めてきた著者だったが、40代に入りハードワークにより大病を患い、人生を再考、その際に「老子」に触れ直し、特に「上善は水の如し」の哲学に感化されたという。それまで著者を突き動かしてきた「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志をしらんや」という故事

以下、下記の通り、5章だてで、老子の哲学を説明:

  1. 道とともにいきる

  2. たおやかに、自由にいきるために

  3. しなやかで、力強くいきるために

  4. 静かにいきるために

  5. 人の世でいきるために

第一章は「道」の考え方。無名の世界、世を規定する目に見えないなにか、万物の母。それは人智では捉えがたい抽象的なもので、明確化できない。逆に明確に「これが進むべき道だ!」と言えるものは、道ではない。そのなかで人は、小賢しい知恵を捨て、まさに水の流れのように自然の流れに従うべしとのこと。

第二章は幸せな生き方。美醜も善悪も成功&失敗も結局は人の見方次第、他人の評価よりも寧ろ自分自身を知ること、自分に克つこと、足るを知ること、一番大切なもの(生命)を理解すること、無駄の欲望を捨てること、頑張りすぎないことが大事。才能があっても和光同塵、簡単なことも一生懸命取り組む。

他人を知るものを知者といい、自分を知るものを賢者という

33章/p24

困難な事は簡単なうちに手を付け、大きな仕事は小さなうちに片付けておく。

63章/p44

第三章は強い生き方。まわりになにいわれても自分を信じ抜くこと、本当にに賢い人や立派な人とは等等が語られている。他、学をたてば憂いなし、功を挙げて身をひくは、天の道、不争の徳等の著名エピソードも紹介。

第四章は静かな生き方。足るを知ることが幸せの基本、余ったものを減らし足らないものを補う、自惚れない/自分を愚者と思うべし、幸せは足元にあり、悪口は聞き流せ等々、秀逸な金言が満載。

第五章は処世術で私のようなサラリーマンにも参考になる。理想のリーダーとは、有言実行かつ誠実、本来そこにいるだけでいい(人気取りや恐怖対象になるのは2流3流)。上の人が賢人ぶって知恵を振りかざさなければ下の者が勝手に物事を進めてくれる、上司は大木の根っこのごとくどっしりと構えるべし等々。

3.感想

全体的に超読みやすい。老子の語録もかなり意訳しており、ほぼ誰でもわかるように整理、意訳すると本来の意味が失われがちだがそこは筆者を信頼することとした。

自惚れ病を脱せよは、ソクラテスに通じる所がある。自分の知恵を見せびらかすこともなく、寧ろ対話を通じて他人から学ぼうとする姿勢。

素朴で自然、自由で謙虚、無知無欲、身の回りの事に幸せを求める。いつかそんな境地に達っせるのだろうか。

これまで夢や目標に向かって無理しつつ突っ走ってきた半生/道だったが、今後は老子先生のいう本来の道を自然体で歩けるようになれたらいうことなしかな、等と思ったり。

最後に一言

なお本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。


あわせて他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。


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