音楽家の旅行記 伊勢・奈良編 Part4 -沢村栄治〜宿到着〜夕食-
沢村栄治
ピアノを弾き終えた後宿を目指し再び歩き出すのだがそこで見つけたのはこの沢村栄治像だ。
沢村栄治は三重県宇治山田出身とは知らず、野球好きの私としてはこの偶然にびっくり仰天しながら思わずパシャり。沢村栄治は昭和初期の大投手でありその投球は実際に日米野球で対戦した当時のメジャーリーガーのベイブルースらの大絶賛を浴びた程の実力であり、また兵役で手榴弾を多投し肩を壊し、3度目の兵役で亡くなるという悲劇のヒーローでもある。現在でも年間実績に相応しい先発投手に送られる沢村賞でもその名が残されている。
そんな沢村栄治を偲びながら宿へ向かう。今回の宿はカプセル型であるもののその殆どが木でできており珍しく思いながらチェックイン。チェックイン後は夕食を取りに再び外出。今回の目当ては伊勢うどんだ。内宮参道のお店がアクセスしやすく有名だが宿の場所柄地元民に人気のお店が近くにあるのでそちらを目指す。
夕食
お店に着くと古くからある食堂の佇まい。なんと店内には今上天皇・皇后両陛下の写真まであった。これは期待、ということで伊勢うどんの月見を注文。程なくして運ばれてきた。
ご存知の通り伊勢うどんはクッタクタになるまで茹でられたうどんに伊勢の濃いたまり醤油をベースにした甘辛のタレを合わせたうどんである。たっぷり茹でられたせいか麺がしっかり太い。
まず前半は卵を崩さず麺とタレだけを合わせる。そして口に運ぶ。
やはり麺は柔らかいのだが元の記事がしっかりしているせいか決して箸で持って千切れるなんてことはなく麺としての腰というか弾力は成立している。そしてこのタレだ。たまり醤油の濃厚で深みのある味。私は黒チャーハンが好きなのだがあれを彷彿とする味だ。他に例えるなら中国や台湾に乾麺という中華麺とタレを混ぜて食べる料理があるのだがあれを日本スタイルにしたような雰囲気を感じるのだ。違いといえば油が入っていないのにも関わらずその濃厚さがこってりにも通ずるくらい味が濃いところだろうか。
3分の2ほど食べ進めたところで生卵を崩し更に混ぜ合えていく。卵が入ることによりやや塩気が強い味がマイルドになり濃厚さのベクトルが変わり食べやすくなった。この濃厚ながら繊細な味には柔らかいうどんがよく合うように感じた。量はそこそこあるものの柔らかい汁なしうどんのためにあっさり完食。
宿
翌日の朝食をコンビニに立ち寄って買った後は宿に戻る。長い長い電車旅であったが故に身体はすでにクタクタだ。宿に戻るとスイス人とカナダ人が会話しておりそこに混ざる。カナダ人の方はもう1年程日本に滞在しており日本語も喋れるようだ。しばらく話していたものの疲れがピークに達しシャワーを浴びに行き、床に就く。カプセル型の宿は初めてだったが広々としていてカーテンが足元だけ故騒音や他の人の光が入ってきにくく落ち着いて眠ることができた。
翌朝
朝目覚め、前日に買った朝食を貪る。そして内宮を巡るため早めに宿を出てバスに乗って内宮の最寄り駅へ目指す。のだが途中で猿田彦神社がすぐ近場にあることに気づき途中下車し猿田彦神社へ参拝することにする。
猿田彦神社
バス停から少し歩くと猿田彦神社が目に入ってきた。
猿田彦神社はその名の通り猿田彦大神を祀っている神社である。猿田彦大神は瓊瓊杵尊(ニニギのミコト)に仕え先導をしたことで知られている。故にみちひらき・交通安全の神様としても現代に知られることとなる。猿田彦珈琲でもまたお馴染みだろう。
関東だと派手な色に装飾をされた神社が多いように感じるが、この猿田彦神社は派手ではないものの落ち着いた、けど地味ではない色彩でありまたその形状も大きくなおかつ直線的でシャープなため私にはかなり斬新に感じた。だいたい日本の神社仏閣というのは屋根が日本刀のような流線状でありそのしなり方というのがある種の日本らしさのように感じていたのでこのような直線的でありながら日本らしさもどこか感じる神社に目を奪われたのだった。参拝も終わりいよいよ内宮へ向かう。
次回に続く。