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サービスコラム 第16~21章

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第16章 サービスが社会にもらたす明日 第17章 サービスが個人にもたらす明日 第18章 卓越したサービスとは? 第19章 第1の扉-卓越者は強みよりはじまる 第20章 第2の扉… もっと読む
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07.サービス労働者と知識労働者

07.サービス労働者と知識労働者

接客の仕事は、母体となるサービスが何であるかによって、接客者に求められるものがサービス労働に近いか、知識労働に近いかを決める。

しかし接客者当人からすれば、接客力を高めるためには知識労働者になっている必要がある。
ひらがながスペースキーを押すことで漢字に変換されるのと同じように、接客者もサービス労働者から知識労働者に変換される必要がある。

「樹木」という字は、ひらがなであれ漢字であれ、発音も意

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06.接客者の仕事は何か?

06.接客者の仕事は何か?

接客の仕事には、サービスに関わるもの、マーケティングに関わるもの、接客そのものに関わるものの3つの分野に8つの仕事がある。

サービスでの接客の仕事は3つある。

サービスを提供する、またはトータルサービスの一部としてサービス提供の機能を果たす。
サービスを提供するというのは、接客者がそのままサービスを提供することを指す。
弁護士、医者、カウンセラー、プロスポーツ選手、オーケストラ、引越し、美容師

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05.接客者に求められる特質

05.接客者に求められる特質

接客者として仕事を行い、成果を出す上で最も求められることは何か。
接客を成り立たせている特性は3つある。

 事業の中で活動する
 調整(マッチング、統合、バランス)を行う
 人に関わる

この3つの特性に共通しているのは、第3の特性である「人に関わる」である。
事業内でも同僚、上司、取引先、業者などと関わりを持つ。
調整では、片方ともう片方、それぞれ別の人と人(法人であっても)を理解し、どちらに

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04.ホスピタリティとは何か?

04.ホスピタリティとは何か?

ホスピタリティとは何か。
それは心配り、気配りだと考えられる。
あるいは、優れたコミュニケーションと考えられることもあり、限定した分野では「先読み」を行うことだともされる。
大きなくくりで表現すると、相手のためになることを行うことなどと言われることもある。

当然、サービスの種類や規模によって、接客によるホスピタリティの定義は変わる。
しかし「ホスピタリティとは何なのか?」を定義するものは、どのよ

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03.仕事からはじまる接客

03.仕事からはじまる接客

接客には前提として調整(マッチング、統合、バランス)する



を必要とする。
とりわけ接客の役割を決めるマネジメントやマネージャーにとっては必須である。
現場の接客者にとっても理解と事業理念は必要とされる。
でなければ接客行動の中で何を方針にし、どう接客を行い、何のために仕事をするのかを見失ってしまう。

しかし実際には、

する。
仕事をこなすこと、覚えることからはじまる。
そして仕事を一通

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02.3つの調整‐マッチング・統合・バランス

02.3つの調整‐マッチング・統合・バランス

接客の役割は片方ともう片方を調整することにある。
調整には、マッチング・統合・バランスの3つがある。

救急車によって交通事故に遭った急患が病院に運ばれる。
その急患の容体と、たとえば外科の先生による緊急手術、あるいは応急処置など、適切な対応を状態と結びつけ、当てはめることが

となる。
相手のニーズと提供者のサービスを

ことがマッチングである。

患者は緊急手術を行う。
外科医は止血、消毒をし

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01.接客とは何か?

01.接客とは何か?

接客はお客を喜ばせることが役割であるかのように考える人は多いですが、これほど大きな誤解はありません。

「接客とは何か?」を説明する3つの定義のどれにも、お客を喜ばせることというのは含まれておらず、接客者は自分の仕事をはじめるにあたってこのことを良く知っておく必要があります。

サービスマネージャーや人事教育者などの管理職も、接客がどのような役割を果たしているのかを見返し、最高の接客作りに役立てて

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03.ガチョウと金の卵の関係

03.ガチョウと金の卵の関係

ガチョウと金の卵の関係である、卓越した接客者と一流の顧客の関係は、必ずしも密接であるとは限らない。
むしろさほど関係が深くないことも珍しくない。

ガチョウは金の卵を産み、金の卵はガチョウを産む。
しかしガチョウはガチョウであって金の卵ではない。金の卵も同様にそれは金の卵であってガチョウではない。
卓越した接客者は一流の顧客になることができる条件を備えていながら一流の顧客ではなく、一流の顧客が卓越

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02.卓越した接客者が一流の顧客を生み出す

02.卓越した接客者が一流の顧客を生み出す

卓越した接客者のキャビンアテンダントは、自分の仕事をしたにすぎない。
彼女からすれば小さなミスや、まだまだこれではいけないと感じることがあったに違いない。
お客の中には多少の不満を感じた人がいたかもしれない。
しかしそれでも、彼女がサービスを最高に感じてもらうための接客を行い、それが見る人から見て「やはりこれは尋常ではない」と感じさせたことは事実として間違いない。

卓越した接客者は全員、自分がま

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01.感謝の手紙が教えてくれること

01.感謝の手紙が教えてくれること

「ありがとう」の言葉ほど、接客者の心を温か包み込んでくれるものはないように思う。
接客の場面で口にしてくれても嬉しいけれども、やはり改めて手紙やメールが送られてくるとより嬉しいに違いない。

お客が改めて手紙やメールを送るということは、本当に感じるところがあったのだということの証明でもあるし、わざわざ書いて送ってくれるという手間をかけてくれたという意味がある。

ほとんどのお客が後になってからわざ

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10.卓越者が行なっている感性を磨く方法

10.卓越者が行なっている感性を磨く方法

まずはじめに、少なくとも私たちは自分が得意とする状況で、直感をより多く使うのか、感受性の方が得意なのか、あるいは知覚に頼っているのかということを知る必要がある。

いつの間にか新刊と返却本の本を整理する仕事を行っている書店員であれば、その仕事が「できてしまう」とき、イメージがよぎるのか、結論がわかってしまうのか、冊数やタイトル、時期などのつながりから意味を見出すことができるのかということを特定する

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09.3つの感性の特徴

09.3つの感性の特徴

3つの感性のうち直感は、イメージが浮かぶという視覚により近い感性である。
「見た」ときに「わかる」という感覚があり、実際に見えたかどうかは別として見た感覚で「わかる」。
おでこ付近の脳の部分を使っていることがわかっている。

スポーツ選手の中には、新しい技術を習得するときに、直感によって習得のスピードを上げる人がいる。
このタイプの人はたとえば技の状態をよく観察して、イメージが自分のものになれば習

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08.感性を磨く

08.感性を磨く

正直、感性の磨かれた接客者は恐ろしい。
彼らは頭の中を読んでいるのではないかと思うほど、考えていることやニーズを特定する。
お客が自分では気づいていないことさえ明らかにしてしまう。

感性はしかし、超能力や霊能力ではない。インチキ占い師のように誰にでも当てはまることを言って相手を納得させるスキルでもない。
具体的には直感と、感受性と、知覚であることが多い。
「であることが多い」というのは、他にも感

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07.本質を追求すること

07.本質を追求すること

本質を追求しようとして何かを行う卓越した接客者は実はいない。
彼らは2つの行動を身につけていて、それが結果として本質の追求につながっている。
2つの行動とは「マルコポーロのように行って、見る」と「氷山の下を調べる」ということである。

彼らはこの2つを当たり前のように行う。しかも継続して行う。
この2つの方法を通じて彼らは学ぶ。
その様子はそれを行わない人が見ると変質的にすら映る。
そこまでするか

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