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クッキーのサクサク感も科学が決める!

サクサクした食感のクッキーはおいしいですよね

これまで味や味覚にフォーカスしてみましたが、今回は食感のお話です。
食感はおいしさに直結する大事な要素ですが、実は今でも研究されている複雑な現象なようです。

それではさっそくクッキーの秘密を見ていきましょう。


クッキーはガラス!?

以前、チョコマーガリンのくちどけ温度は結晶の種類や形状が影響を与えているという紹介をしましたが、今回のクッキーは結晶ではなくてガラスです。

クッキーがガラス?と思われるかもしれませんが、ここでのガラスとは状態のことを表します。

固体には大きく分けて、2つあります。

1つは金属、氷、塩などに代表される”結晶”です。こちらは原子や分子が規則的に並んでいます。

一方で、窓ガラスやプラスチック、そしてクッキーは、原子が無秩序に並んだ”ガラス”状態です。アモルファスともいわれます。

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例外もありますが、一般的に高分子や構成分子がたくさんあるような物質は、規則正しく並ぶのが難しくガラス状態になりがちです。クッキーはいろんな種類の大きめの分子が混ざっているので結晶ではなくガラスになります。

ざっくりとした説明でしたが、ようはクッキーのサクサク感にはこの固体(ガラス)状態の物性が非常に重要ということです。


クッキーがガラスに変わるとき

一般的に、クッキーを作るときは小麦粉・卵・砂糖・水を混ぜてドロドロの種を作ります。
それを成型し、焼くことで私たちの知っているクッキーが出来上がります。

ここで重要なポイントしてガラス転移温度というものがあります。ちょっとわかりにくいですが、温度を冷やすと固くなる(=固体になる)よ!ということです。そのガラスになる温度をガラス転移温度といいます。

さらにこのガラスになる温度は水分の量によって変わります。はじめのドロドロの種は室温で液体(形が変わる)ですが、水を飛ばしたクッキーは室温では固体(形が変わらない)です。

つまりクッキーのガラス転移とは焼くことで水分を減らし、室温でも固体(ガラス)になれるようにしてやったということです。


食感を調べる

クッキーの研究の難しいところはその評価です。研究の多くはその複雑性をなるべく減らすために非常に単純な系で行うことが多いですが、食品は多くの材料の混ぜ物であることが多くクッキーもその1つです。

私たちが普段食べているものは、物理の目で見ると非常に複雑なんです!

多くのガラス(窓ガラスとか)の研究では、上述したガラスになる温度を調べて特徴をつかもうとします。
しかし複数成分のはいっているクッキーは複雑すぎて、この評価ではわかりにくいようです…

そこでもっと直観的にわかりやすい評価手法として力学的な調査が行われています。
これはクッキーの温度や水分量の変化とともに硬さを調べるということです。どんな状態でサクサクになるのかがわかれば、それを物理的に研究することができるというわけです。


しっとりクッキーはラバー状態

ラバー状態って何?と思いますが、ラバーとはゴムのことです。カントリーマアムに代表されるようなしっとりクッキーはおそらくラバー状態になっています。

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https://www.fujiya-peko.co.jp/countrymaam/より引用

ラバー状態とは、ガラスになる前のなりかけの状態。物理的には過冷却にあたるようです。

しっとりクッキーも冷やすとサクサクになるのはガラス転移温度を下回ることにより、ラバー状態→ガラス状態と変化するためです。室温で置いておけばまたしっとりしたラバー状態に戻ります。

このガラスになる温度(ガラス転移温度)はクッキーの材料で決まります。ガラスになりにくい(ガラス転移温度が高い)素材を使うと、同じ水分量でもしっとりしたクッキーになるようです。

最後に

はじめにクッキーの研究をしている人がいることに衝撃を受けました。

さらにクッキーの物質としての複雑性とそれを解明していくプロセスは非常に面白いですね。

こうやって見てみると私たちが普段知っているはずの物事もいまだに不明な点がたくさんあるんだなと感じます。

逆に言えば、私たちの身の回りには不思議なことがまだまだありふれているということではないでしょうか

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