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■昔語りはわれのみやせん―ビギナーズ・クラシックス版『和泉式部日記』

えりたです。

大河ドラマ『光る君へ』第30話では、颯爽と「あかね」さんが登場しました。彼女は、のちに「和泉式部」という名で中宮彰子さまにお仕えする女性です。

和泉式部は、恋多き情熱的な女性と言われています。彼女の詠む歌は、その時々に心にぐっと来たものを素直に吐露したような、どこにも誰にもおもねることのない、まっすぐな気持ちを伝えるものが多く伝わっています。

そうして、彼女はたくさんの和歌と、『和泉式部集』『和泉式部日記』を残したのです。

個人的な思い出になりますが、『和泉式部日記』は、私が大学生のころ、初めて読んだくずし字の本です。活字で読むより先に、くずし字読解練習本として読んだため、『和泉式部日記』といえば、幼稚園児の「仮名文字読本」みたいな印象を持っていたりします(笑)

読み始めた頃は、あまりにも字が読めなくて、一字ずつ調べながら読んでいました。そのため、アタマの中に響く音はほぼカタコトでした(笑) 次第にすらすら読めるようになりました。が、「字を読んでいる」気持ちが強かったため、内容は二の次だったのです。……今思えば、たいへんもったいないことをしました。

というわけで♬

せっかく大河ドラマのなかで「和泉式部」さんにお目にかかれるわけですし、今回は大学生のころきちんと読めなかった『和泉式部日記』を読み直してみたいと思います。




■ビギナーズ・クラシックス版『和泉式部日記』

今回、『和泉式部日記』を読むにあたって、どの本で読もうかと本屋さんをぐるぐるしました。そうして選んだのは、やはり初心者にとって最も読みやすい「角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス」シリーズでした。

■ビギナーズ・クラシックス 日本の古典『和泉式部日記』
■角川ソフィア文庫
■和泉式部/川村裕子編
■2007年8月
■680円+tax

恋多き女、和泉式部が秀逸な歌とともに綴った王朝女流日記の傑作。為尊親王の死後、その弟の敦道親王から和泉式部へ便りが届き、新たな恋が始まった。あまりにも身分が違う相手で、しかもかつての恋人の弟との恋。夫婦関係がゆるかった当時としても異例の関係だ。正妻のいる宮の邸へ迎えられ、正妻が出て行ってしまうという結果を招く。恋故の苦しみと喜びはいつの世も変わらない。王朝の恋の世界を知るための最適の入門書。

裏表紙解説より引用

■和泉式部と敦道親王のこと

和泉式部は、受領層の父を持つ中級貴族の娘です。『光る君へ』のまひろ(紫式部)と同じ階級の女性と考えられます。

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