■歴史上の人物の日常を垣間見る―藤原道長『御堂関白記』について
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、『源氏物語』の作者である紫式部が主人公です。彼女は平安中期、今からちょうど1000年ほど前の時代に生きていまいた。
その時期、最も大きな権勢を誇っていたのは藤原道長です。彼は、四人の娘を天皇の后として入内させ、彼女たちの生んだ皇子たちの外祖父として長く政権を維持しました。現代の教科書で言うところの「摂関政治」ですね。
私たちは学生時分に日本史でこれらのことを学びます。ですが、これ以上のことは知らないんですよね、実は。
紫式部の本名とか(とりあえず「まひろ」ではない)、后に仕える女房たちが実際どのような生活、仕事をしていたのかとか。イメージだけはふんわり持っているけれど、実際の生活がどう営まれていたかなどは、まったくと言っていいほど知りません。
それは「藤原道長」についても同じです。
上に書いたようなことは知っています。でもそれ以上の知識はなく、「この世をば我が世とぞ思ふ望月の……」の和歌を詠んだ通り、「この世の全てを手に入れた平安時代を代表する権力者」みたいなイメージだけで留まっています。
でも、せっかく今年は大河ドラマという形で一年間かけて、彼らのことが詳しく描かれます。そうして映されたフィクションはフィクションとして楽しむとしても、史実を知らないままでは勿体ないではないか。そんなことを思うのです。
じゃあ、どうするか。
平安時代中期の上級貴族たちは「日記」を付けていました。有名なところでは、藤原実資の『小右記』、藤原行成の『権記』が挙げられましょうか。また、藤原道長も日記はつけていました。それは『御堂関白記』と呼ばれ、道長自身の直筆で、あるいは、写本の形できっちりと残っているのです。
藤原道長は関白になったことがないのに、その日記の名称は「御堂関白記」と伝わるあたりの面白さはさておき。
ちょうどよいことに角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスシリーズで、この『御堂関白記』が出ているのです
というわけで、今回は藤原道長著『御堂関白記』のご紹介いたします。
■『御堂関白記』について
■藤原道長著・繁田信一編
■角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス日本の古典
■933円+tax
■平成21年6月
■日記の書き方に性格って出るよね
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