記事一覧
スメルズライクティーンスピリット
レディオヘッドを聴き
村上春樹を読んでいた
まだSNSなんてなかった
10代最後のあの頃
俺は幸せだった
ニルヴァーナを聴き
キルケゴールを読んでいた
まだYouTubeなんてなかった
10代最後のあの頃
俺は幸せだった
【短編小説】『ある島の不可能性』第2話
八
詩的な謎かけではあったが、明らかなメッセージが一つ読み取れた。とにかく夜に森に行け、ということだ。島に到着したのが正午であったため、八時間ほど待たなければならない。赤ちゃんはすやすやと眠っている。私はとりあえず椅子に座り一息つくことにした。喉が渇いていたので、リュックに入れて持って来た水筒の水を飲み、少しだけ仮眠をとることにした。
九
窓から差し込む夕陽に目を覚ました時
【短編小説】『ある島の不可能性』第1話
一
私は仕事の海外出張である島に行くことになった。その島はニューギニア島の近くにある無名の島だということしか事前に情報は与えられていなかった。ネットで検索しても何も情報は得られなかった。もちろん私はその業務命令に内心納得してはいなかったが、仕事だから仕方ない。私のような妻も子もない独身男がとやかく理由をつけて人生における新しい試みを受け入れない手などないのだ。
二
フライト
フランシス・ベーコンの絵画についての覚書
フランシス・ベーコンの絵画は、描かれた肉のフォルムの強烈な主張がある。歪められた肖像がかえって対象の「そのもの性」を表現し、ベーコン自身の言葉で言えば、観る者の神経に直接訴えかけてくる。
それはそれでいいし、ベーコンの絵画は好き(画集や評論本を何冊も買って読んでいるくらいには好きだ)なのだが、ひとつひっかかるのは、ベーコンのそういう絵画には、余白や奥行きがないように思えるという点だ。主張や狙い