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遠藤良二の短編小説集

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短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
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2021年6月の記事一覧

生と死

生と死

#殺意 #女

 俺は人を殺した。生まれてくる子を身ごもった女を。
なぜ殺したかというと強い殺意があったからだ。俺はその女と付き合っていた。どうして殺意が芽生えたかと言うと、女に男の影があったからだ。
 俺はよく思い込みが激しいと言われる。それが高じて、女は浮気をしているのだろうと思ったわけだ。だが、証拠はない。最近、女の携帯に男の名前で電話がかかってくる。それも、女が風呂に入ってる間に。女は俺に

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【ショートショート】俺と彼女の行く末

【ショートショート】俺と彼女の行く末

#不倫 #浮気  

 俺は旦那のいる女性を好きになってしまった。同じ会社の後輩の女性を。

 俺は29歳で彼女は23歳。彼女は新入社員で沙耶(さや)という。ちなみに俺は一輝(かずき)。
 話を聞いてみると、高校生の頃妊娠し、親の反対を押し切って出産したという。今は、その彼と結婚し4歳の女の子がいるみたいだ。

 後輩の沙耶はとてもいい女だ。よく気が付くし、自分に厳しく人に優しい。艶っぽさも兼ね備え

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【短編小説】未来

【短編小説】未来

 僕は父と母と姉の4人暮らし。山奥の方に住んでいるので車の免許は必須だ。

 僕は今年、高校を卒業した19歳で市井悟志という。身長は180cmくらいで細身。高校卒業してすぐに髪を茶色に染めた。ずっと前から染めたかった。お洒落というやつ。
 職業は実家が農家なのでその手伝い。ちなみにミニトマトと野菜を作っている。
 顔は自分で言うのも何だが、目は細く、鼻筋が通っていて、口は小さくイケメンだと思う。そ

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嘘

#嘘 #パーソナリティ障害 #カウンセリング

 俺は嘘をついた。さまざまな嘘。例えば、仕事をやすむためについた嘘。熱があるから、おなかが痛いから、親を病院につれていくから、俺は上司をだましていると同じだ。

 そして月末の給料日には収入が少なく友達から足りないぶんを借りている。ほぼ毎月。かえすお金もままならないので、最近ではその友達とは連絡がつかないときが増えた。きっと、あきれていると思う。

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抱擁

抱擁

#ナンパ #抱擁 #軽い女 #好きもの

 今、俺の隣には女が寝ている。飲み屋で知り合った奴。

 ケツの軽い女で、飲み屋で
「一緒に飲まないか?」
 と誘うと、すぐに俺の隣の席に座った。
「名前は何ていうんだ?」
 訊くと、
「アキっていうの。貴方は?」
 言うので、適当に、
「裕二だ」
 言っておいた。初対面の酔っ払った女相手に本名を言ったって忘れているだろう。女の名前もきっと偽名だと思う。

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初恋

初恋

#小説 #恋愛 #嫉妬 #童貞 #初恋

 僕は君の夢を見た。果てしなく続く大地を君は走っていた。どこまで走るのだろう? と疑問に思ったのを夢ではあるが覚えている。現実の世界で見た君とは体型が全く違っていて、夢の中の君はガリガリに痩せていた。僕が好きな女性の体型は少しぽっちゃりしているくらいがいい。なぜ、そのような違いが生まれたのだろう。片方は夢だから、ということか。夢の中の世界は何でもアリだ。高

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