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雑記

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#金融市場

文脈最適化原理

効用極大化の限界

現在の経済学が基づいている近代経済学においては、効用の極大化ということが人の基本的な行動原理として定義され、それに基づいて功利主義的に自らの効用極大化行動を正当化し、そしてそれを定量化することによって、貨幣価値で図ることのできる効用によって計量的な経済学を構築することが可能になっている。しかしながら、効用というのはあまりに一般的な意味であり、そしてその効用実現のために貨幣による

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ミクロとマクロの利益一致のために

ミクロレベルで自己利益極大化のために戦略的行動をとると、ゲーム理論に基づいてマクロ利益はゼロサムゲームとなり、マクロ利益の極大化は望めない。その世界観からは、ミクロの利益極大化の競争社会か、マクロの利益増大のために皆で足並みを揃える共産主義的社会かの二者択一的なものになる。いかにしてこの不毛な二項対立から脱することができるのだろうか。

合成の誤謬解決を考える諸条件

これを考えるためにはいくつか

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経済核反応としての金融商品

核反応は、核物質を臨界に達するようにして連鎖核分裂を引き起こすことで起きる。金融商品とは、それを経済において疑似的に再現したものだと言えるのかもしれない。

金融市場

すでに何度も書いているように、金融市場はケインズ的美人投票を数値化して具現化したようなものであると言える。もともと株式市場の観察からそのような表現に至ったのであろうから、その発展形である金融市場がさらに精緻にその具現化を行うように

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金融市場とは何か

生活が保証され、自然価格が市場メカニズムによって純粋に需給を反映して定まるようになった時、一体金融市場とは何を意味するのだろうか。

生活が保障された中での金融の意味

生活が保証された状態では、あえて人と関わる必要もなく必要最小限の関わりで生きてゆくことができるようになる。そんな状態で、それでも資金を借りて何かをしたいという状態はいったい何を意味するのだろうか。それは、まず、自分のやりたいという

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情報の効率的拡散のために

情報拡散の現状

完全情報に近づくほど市場がうまく機能するというのは、ミクロ的に選択肢が増えるということから明らかではあるが、一方で情報量が増えれば処理能力の限界からその中から必要な情報を選び出すのにコストがかかるようになる。そこで、現実社会では、経済的功利主義を基本に据えて、利益インセンティブに基づいて競争的に情報取得を図らせることで、経済的な擬似完全情報に近づけそれによって資本の最適(?)配分

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功利主義で動く市場の是非

市場メカニズムは功利主義に基づいて動くべきものであるか否か。ここで考えるべきなのは、功利主義というのが、損か得かという経済的価値判断に基づいて行われるべきものなのか否か、ということではないだろうか。この部分に、功利主義を経済学に適用する時の問題点が集約されているように感じる。

功利主義は損得勘定か

前回の労働のところで見たように、労働を純功利主義の観点から捉えれば、損得勘定とは関係なしに自分の

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金融緩和と実体経済

日銀が新たな?公開市場操作を導入したようだ。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い取る「指し値オペ」という物らしい。この手法が新しい物なのかどうかは、日銀ウォッチをしていたわけではないので知らないが、いずれにしても小手先の手法をどれだけ変えたところで対して影響はないのだろうな、という気はする。

金融緩和が実体経済に効いていない理由はただ一つ、緩和が金融市場の中でとどまり、実体経済に届いて

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相対的戦略性がもたらす連動性

戦略という言葉には二種類がありそう。自分の目的合理性を追求する主体的戦略と、他者との相対性で有利な行動をとる相対的戦略だ。主体的戦略は、自らの価値実現のために合理的行動をとるという点で、少なくともその目的が排他的ではなくそして公開されていれば、価値を生み出す行動として有効だといえる。一方で、相対的戦略は、他者の行動への反応で自らが有利になるように行動する、という点で、主体的に価値を生み出す行動では

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