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2代目繫盛のルールその20「スタッフは給料では動かない」【創業組が嫉妬する2代目マネジメント術㉛】

「ルールその20 スタッフは給料では動かない」

給料出してるんだから、やって当然という間違い。

嫌われる経営者の象徴的な一言に「給料払ってるんだから、やって当然」と言う言葉があります。

過去15000人のデータを含む120年間の研究を分析した結果、「給与と仕事の満足度の関連はほぼ無い」と言うことが分かっているそうです。

また、ハーバードビジネスレビューが出した論文によると「給料の高さと従業員のやる気にはわずかな関わり合いしかない」と言うことが分かっています。

もっとも、食う物もままならないような生活ならば別ですが、今どきの若者は、食うに困ってなどいません。

では、なぜ今どきの若者は、給与額や休み、福利厚生を重視するのでしょうか?

彼らが、採用条件を重視するのは、最低限の生活を保障したいからではなく、自分らしく暮らせるかどうかの判断基準として見ているのです。ですから、入社後、自分が思い描く自分になれそうもない職場であれば、いくら条件面を良くしても必ず離れていってしまいます。

また、別の研究で、頑張った対価として報酬や賞与を与えた時のモチベーションのアップがどれくらいの期間持続したかを計測したところ、たったの一週間だったそうです。しかも、行動の変化を求めるためには10%以上の報酬の増額が必要だと言うことも分かっています。一割も報酬を増額させてもわずか一週間しかやる気にならない(笑)焼け石に水とは正にこの事です。

結論として、「給料の高さで彼らを仕事に縛り付けることは出来ない」と、はっきり示されています。

「給料払ってるんだからやって当然」と経営者が思って従業員をアゴで使うと、従業員は「働いてやってるんだから給料出て当たり前」と感じる。そうなると、給料をアップしても働く側は不満を募らせ、退社が相次ぐ負の連鎖と言うことにも、、、

若者が求めているのは、、、居場所。

若者が求めているのは条件じゃない。それは、僕の経営者としての経験でも感じていますし、多くの社長が感じている事だと思います。

では、彼らはいったい何を求めているのでしょうか?

それは、社会的な認知、社会的な居場所だと僕は考えます。ここに居ていいんだ、自分はこの会社に認められているんだ、と言う実感です。

そんなものは、自分で勝ち取れ!と思う方もいらっしゃると思いますが、いつの時代でもそうやって勝ち取っていけるのは一部の人であり、大多数はそうではありません。特に経営者の方は、自分が特別であるという自覚に乏しいため、やたらと経営者マインドを周囲に押し付けがちです。

あなたの会社に競争はあっていいです。しかし、それと同時に認める文化があることが大切なのです。

「うちは、ちゃんと認める文化があるよ!」

そう言うそこのあなた。

あなたの会社では、もしかしてスキルで認めようとしていませんか?

スキルで認めるという事に人事評価の落とし穴があります。

あなたな会社の事業設計図を描いた時に、実際に手を使って行う作業は全体の3割ほどで、圧倒的に管理・運営と言う頭で行う作業が多いことに気が付かれたと思います。スキルとは手でする仕事。つまりスキルで評価するという事は、残りの7割の仕事をしている人の評価を見逃しているという事になるのです。これは大問題です。

また、新入社員こそあなたの会社に居場所を求めているのに、スキルで評価してしまうと彼らの評価は当然低くなり、彼らに居場所を認めることが出来なくなります。

ですから、そもそもあなたの会社の評価制度を管理・運営目線に切り替えることが大切なのです。

エルベランでは、社員の評価をスキルではなく管理・運営で分けています。

通常のケーキ屋さんであれば、仕上げのチーフ、焼き場のチーフ、仕込みのチーフと言ったようにスキルでそれぞれ評価しますよね?

しかし、エルベランでは、モラル管理チームリーダー、タイム管理チームリーダー、ロス管理チームリーダーと言ったように運営で評価します。
この最大のメリットは、通常、新入社員が入った時に、仕上げのチームに編入したとしてもすぐには仕事を任せられず、会社側は仕事上で評価できない、新入社員側は仕事に参加できない状態がある程度続くところを、
例えばタイム管理班に編入した場合、16時に作業を急ぐよう号令を出す、早く終わるためのアイデアを出す、などの事であれば積極的に参加することが可能であり、ベテランと同じように評価対象に入れられるというところです。

そのため、社内部外者を出さない仕組みづくりが可能となり、みんなに居場所のある会社運営が可能となります。

スキルで評価してしまうと間違えた人を昇進させてしまうことがあり、会社が上手く回らない事があります。それは、先程ご説明したように残りの7割の仕事に注目していないために、スキルはあっても管理・運営の出来ない人を自社の要職に就けてしまったがために起こる悲劇です。これをやってしまうと、あなたの会社(とその周囲)は、誰も幸せになれません。

「スタッフは給料では動かない」

居場所を創る仕組みを構築することが出来るのは、あなたの会社であなた一人。

是非、社員がみなあなたの会社に居ていい証明が出来る仕組みを創って、安定した会社運営を目指しましょう。

創業組が嫉妬するような2代目マネジメント術で豊かで幸せな人生を送りましょう!

エルベラン2代目オーナーシェフ 柿田衛二



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