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Consensus Report:Definition and Interpretation of Remission in Type 2 Diabetes
Diabetes Care, Online Ahead of Print articles for August 30, 2021に「2型糖尿病における寛解の定義と解釈」のコンセンサスレポートが掲載された。
米国糖尿病学会(ADA)が国際的な専門家を集めて、将来の臨床指針を支える情報の基盤を確立することを目的として、データ収集と分析のための用語と原則を提案。
① 「Remission, 寛解」
外来の風景)血糖値を割引する?
70歳代の男性。インスリンを1日4回打っており、自己血糖測定も行っている。今回は前回よりもHbA1cが上昇していた。話しでは、夕食後にお腹がへって菓子パンを食べることが多かったからとのこと。自己血糖測定を記入したノートを見ると、寝る前の血糖値は高くない。むしろ前回よりも安定している。はて?検査結果と話しでは、夕食後、寝る前の血糖値は高くなっていそうだが?
訊くと、パンを食べて血糖が上がった分、割り
外来の風景)歳をとると食事は少なくなる?
70歳台夫婦。最近、食べるとすぐに満腹になり以前よりも食事の量が少なくなったと夫。妻は以前のように食べて欲しいので、食べて食べてと、食事を作って提供。歳をとると満腹になりやすく、そんなに食べなくなるのは生理的なことと反論する夫。
以前ほどは食べたくない夫と食べさせたい妻。
歳をとるとどのくらい食事量が減るのか?なぜ減るのか?
厚労省の資料(2013年)にまとめられていた。
「超高齢化社会を見据え
減量手術との比較 DiRECT 2ys②
DiRECTにおける糖尿病寛解に関して、Bariatric surgery(減量手術)の対比がなされている。
DiRECTプログラムでの減量による糖尿病寛解のメリットとして(減量手術に比べて)、以下の点が挙げられている。
①経済的
※ちなみに、日本での減量手術費用は以下の例がある(減量手術.comから引用):
例)腹腔鏡下スリーブ状胃切除(4泊5日入院)
保険:約30万円
自費:
2年目に13%が離脱 DiRECT 2ys①
もちろん目標通りの減量ができなかった人もいる。
下の図は、各プログラムのフェーズでの継続者と離脱者の体重の推移を示したものである。
離脱者が多いのは、最初の3ヶ月(食事全置換フェーズ)に15名(10%)と1年目から2年目の間(減量維持期)に16名(13%)である。
最初の3ヶ月は強烈な食事療法のため離脱者が多い。
1年目から2年目の離脱者が多いのは、減量した体重を維持していくことの難しさを表し
DiRECT2年目も1/3が寛解 DiRECT 2ys①
Durability of a primary care-led weight-management intervention for remission of type 2 diabetes: 2-year results of the DiRECT open-label, cluster-randomised trial.
Michael E J Lean・・, Roy Taylor
Lanc
最初の3ヶ月で予測 Counterweight-Plus④
Counterweight-Plusプログラムの目標は,
12ヶ月で15kgの減量である。
どのような人がこの目標を達成できるのか。
DiRECTの結果から導き出された予測がある(下表)。
「最初の3ヶ月で10kg減量できれば半数が目標を達成する」
最初の3ヶ月が10kg未満では約1/3にとどまる。
DiRECT参加者のベースライン体重が約100kg。
つまり、最初の3ヶ月間は毎月3%以
Plusのプログラム Counterweight-Plus③
2004年のCounterweightプログラムの成功をうけて、その内容を
・「2型糖尿病の寛解」を希望する人
・「肥満手術でないより大きな減量」が必要な人
に対して作成されたプログラム。
プログラムの提供者は、
診療所の医師、看護師がメイン。
栄養士はCounterweight Specialistとしての派遣もある。
プログラムの構成は以下の通りで、ほぼDiRECTのものと同じである
・
おとなしいが大きな結果 Counterweightプログラム Counterweight-Plus②-6
DiRECTにつながるCounterweighプログラムの結果。
本研究は2年間だが、この論文では1年目のデータを示している。
2003年9月の時点で
参加者1256人
75%が肥満関連疾患が1つ以上
14%が糖尿病
33%が高血圧
14%が脂質異常症
平均BMIは36.9
平均年齢50.6歳
3,6,12ヶ月の体重変化は下図を参照。
12ヶ月で3.2kg減量。
5%以上の減量
実践的な介入 Counterweightプログラム Counterweight-Plus②-5
Counterweightプログラムの介入は、診療所において家庭医と看護師が日常診療で提供できる内容を意識して設定されている。
当然、コスト意識も高く、低コストで高い健康利益が得られる方法が考えられている。
①個別介入
・食事療法として、ベースラインから500〜600kcalのエネルギー減量の食事指導。
②グループ介入
・参加者10〜15人を1グループとして、減量目標、食事、買い物、料理、外食
4つのフェーズ Counterweightプログラム Counterweight-Plus②-4
Counterweighプログラムは4つのフェーズで校正されている(下図)。
フェーズ1)実践監査とニーズ評価
フェーズ2)実践支援とトレーニング
フェーズ3)看護師主導の患者介入
フェーズ4)評価
フェーズ1の実践監査とニーズ評価は、
診療所での肥満および併存症に関する基礎データ、体重計などの設備、肥満患者の知識・態度を評価した。
フェーズ2の実践支援とトレーニングは、
診療所の医師と
キーパーソンは3種の専門スタッフ Conterweightプログラム Counterweight-Plus②-3
Counterweightプログラムは、英国の7つの地域、合計80のGP(General practitioner:家庭医)の 診療所で実施された。
広範に散らばったの多くの施設で、同じプログラムを実行して、データを集めて、評価していくことは大変なことだ。
そこで、キーになるのが3種の専門スタッフ:
①weight management adviser (WMA)(体重管理アドバイザー)
②
医師の行動や診療システムに介入するConterweightプログラム Counterweight-Plus②-2
Counterweightプログラムは、英国のプライマリケア施設(クリニックや診療所)における肥満症(2型糖尿病ではない)を対象とした科学的かつ組織的な減量プログラムである。
J Hum Nutr Diet. 2004 Jun;17(3):191-208.
A new evidence-based model for weight management in primary care: the
Counterweight-Plus②-1「Counterweigh」①
今回のCounterweight-Plusだが、「Plus(プラス)」がついている。
そう、もともと「Counterweight」があって、そこに「プラス」されたプログラムなのである。
では、「Counterweigiht」とはどういうものなのか。
Counterweight、日本語では「分銅(計り)、つり合い」。
この名を冠したプログラム(Counterweight Programme)
Counterweight-Plus①コンセプト
Counterweight-PlusはDiRECTで実施された糖尿病寛解プログラムである。DiRECTの成功を受けて、プログラムを一般に普及させる目的で、Counterweight Ltd.(Counterweight社と言うのか)が提供。
そのコンセプトは明確である(タイトルの下にも書いてある)。
①糖尿病の寛解
②減量のサポート
③肥満外科の回避
④10%以上の減量
⑤経済的な効率
睡眠
英国は糖尿病の寛解が1つの目標
このDiRECTで用いられた減量プログラムは、Counterweight-Plusとして商標登録され、プログラム自体はCounterweight Ltd.という企業が中心となって一般に商業的に提供することとなった。
英国のNational Health Service(NHS)も後押しをして、英国糖尿病学会(Diabetes UK)の2020-2025年の戦略にも加えられことなった。
なんと、