外来の風景)歳をとると食事は少なくなる?

70歳台夫婦。最近、食べるとすぐに満腹になり以前よりも食事の量が少なくなったと夫。妻は以前のように食べて欲しいので、食べて食べてと、食事を作って提供。歳をとると満腹になりやすく、そんなに食べなくなるのは生理的なことと反論する夫。
以前ほどは食べたくない夫と食べさせたい妻。

歳をとるとどのくらい食事量が減るのか?なぜ減るのか?
厚労省の資料(2013年)にまとめられていた。
「超高齢化社会を見据えて、高齢者がよりよく生きるための日本人の食事を考える」

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000015824.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042643.pdf

最後の「まとめ」は以下の通り:
身体機能や栄養状態の加齢変化として、
・身体活動量、口腔機能は低下する。
・消化吸収能力が加齢により低下する可能性を示すエビデンスは一部あるが、まだ不足していると考えられる。

本文では、消化・吸収機能の変化として、
・炭水化物(100g)の吸収不良を示す割合は高齢者ほど多い。
(※炭水化物100g≒ご飯(白米)約300g、どんぶり大盛)
・カルシウム吸収率は加齢に伴い低下する。

さらに、
・ヘリコバクター・ピロリ感染は高齢者ほど高率で、それに伴う低酸症による鉄・ビタミンB12の欠乏が挙げられている。
・一方、小腸の影響吸収能力は加齢による変化がほとんどない、ことも紹介されている。

また、エネルギー代謝では
・基礎代謝は加齢と共に減少(約10年の経過で1〜3%減少)。
・特に男性で減少率が大きく、加齢に伴う除脂肪組織(主に骨格筋)の減少が想定。

ここまで見てきて、
高齢になるに伴い、基礎代謝は低下するため必要なエネルギー量は少なくなる、消化管での吸収力の低下はハッキリしていないが、炭水化物の吸収能力は落ちそうだ。
さらに、嚥下機能、身体的活動、社会的要因なども影響していることが分かった。

冒頭の夫が言うように、歳をとると食事をそれほど欲しなくなるのは生理的なこと、は当たっているようだ。
※病的な食欲減少では精査が必要なことも忘れてはいけない。

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