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緑の風に吹かれて【日常エッセイ】

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自由気ままに書いたココロのエッセイです。
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#コラム

人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった。

人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった。

「人が恋に落ちる瞬間をはじめて見てしまった」

このセリフは羽海野チカさんの漫画「ハチミツとクローバー」(*略してハチクロ)の中のセリフ。私の大のお気に入りのセリフだ。どうして私が知っているのかと言うと、実はうちの奥さんは大の漫画好きで、とくに羽海野チカさんの大ファンなのだ。

このハチクロの漫画本を、彼女は全巻揃えている。(ちなみに今は「3月のライオン」も最新刊まで全部揃えている。)

それで以

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美しい神社と28才のお爺さんと。

美しい神社と28才のお爺さんと。

奥さんと二人で古いテーマパーク(かな?)へ出掛けた。二人ともその日は特に予定もなく、旅行雑誌にも載っていないようなところだけど、ドライブがてら出掛けてみた。

辿り着くと、そこには古い実術品のようなの造形物がいくつも飾られていて、意外とお金がかけられていた。園内にはだれもいない。昔は賑わっていたのだろうなと思う。平日とはいえ、時の流れは寂しいものだ。

しばらく二人で歩いていると、不意に声を掛けら

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彼女が作る不思議な魔法。

彼女が作る不思議な魔法。

先日のこと、うちのマンションの1階ロビーの蛍光灯が切れていた。その前日に、その蛍光灯が点滅していたので、これは切れるかなぁと思っていたら、案の定だった。

夜、仕事から帰ったときに玄関が暗いと、それこそ暗い気持ちになってしまう。切れかかっていた時に、うちの奥さんにも教えていた。そして切れてしまったその日に、また、彼女に私は教えた。

「とうとう玄関の蛍光灯が切れていたよ」

すると彼女はこう答えた

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今日はどうだった?と彼女に聞くと。

今日はどうだった?と彼女に聞くと。

私は夜遅くに仕事から帰ると、まず、奥さんにこう尋ねる。「今日はどうだった?」と。それは彼女の仕事での出来事を聞くためだ。

彼女は今、雑貨店(服や小物のインテリアとかいろんなものを売っている。)でレジのパートをしている。パートだから短時間ではあるけれども、レジに立っていると、いろんな出来事が起こるようで、その話を聞くことが、私の小さな楽しみになっている。

これは最近、聞いた話。

いつものように

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抱えきれないほどの。

抱えきれないほどの。

「当たっちゃったのよね」と奥さんが言った。

どうやら前日に買った福袋の中に目録が入っていたそうで、「高級地場産の肉をプレゼント!」みたいなことが書かれてあったらしい。

「当たったのはうれしいんだけど、家に持ち帰ったときに気づいたんだよね。3日以内に受け取ってくださいだって。デパートで気づいていたら、その場でもらったのにぃ!」と、言葉はちょっと怒ってるふうでも、声はとてもうれしそう。また、デパー

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たった一言のメールの返事。

たった一言のメールの返事。

元旦の朝。私はいつも、朝は決まった時間に起きるので、いつものように朝食を食べて、朝のnoteを投稿し、読みかけの本の続きを読む。

そのうちガサゴソと物音が聞こえてくる。どうやら奥さんが起きたようだ。彼女の場合は決まった時間に起きることはなく、パートが休みの時は、だいたい寝たいだけ寝ている。

普段はすぐに私の部屋に来ることはないのに、私の部屋にやってきて、ピロンと寝癖をつけたまま、寝ぼけたままの

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彼女とクリスマス・イルミネーション

彼女とクリスマス・イルミネーション

うちの奥さんと一緒に、近くの大型ショッピングモールへ行った。はじめて来たのだけれども、まだ店は新しく、大型スクリーンなんかもあって、田舎モノの私達にとっては、すっかりおのぼりさんになってしまった。

いろんな店が中にはあって、それはもう一日では回り切れないほど。大きなクリスマスツリーや、何百万とありそうな電飾がキラキラととても美しい。たとえ何も買わなくても、見るだけでも十分に楽しめるというものだ。

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コタツとミカンと変わらないこと。

コタツとミカンと変わらないこと。

そうか、もう12月なのか。窓から見えるイチョウの木が、すっかり裸になってしまって、なんだかとても寒そうに見える。

「マフラーした方がいいんじゃない?」

仕事に行こうと思ったら、奥さんがそう言ってくれた。その言葉に、私にやっと、冬がやって来たような気がした。

そういえば昨夜のこと。仕事から帰ると私はいつものように、テレビを見ている奥さんに「ただいま」と言って着替えていると、彼女がじっと私を見て

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灯油とやさしい想い出の香り。

灯油とやさしい想い出の香り。

急に寒くなった。ようやくファンヒーターを出した。そして朝からいそいそと、近くのガソリンスタンドに行って灯油を買った。

さっき、ファンヒーターのタンクに灯油を電動ポンプで入れながら、ぼんやりと私は思った。

「灯油っていい匂いだな・・・」

いや、厳密にいえば、灯油の匂いがいい香りという意味じゃない。

その匂いから幼い頃のやさしい風景が蘇るというか、あの頃のぬくもりが伝わってくるというか・・・あ

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二人の好きなレジのやまちゃん。

うちの奥さんは、あるブランドのボトルコーヒーが好きなのだけど、その商品は、うちの近所では1店舗のスーパーにしか売っていない。(私が勤めているスーパーにはない商品。)なので彼女は週に2回はその店に行き、まとめて3本くらいを買っている。

そのたび彼女は「今日もやまちゃん、レジにいたよ!」と私に報告してくれる。この”やまちゃん(仮名)”は私たち夫婦の中では有名人なのだ。(名前は胸のネームプレートから知

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雨と紅葉とアイスクリームと。

雨と紅葉とアイスクリームと。

先日、奥さんと紅葉を見に車で出かけた。

峠にあるその場所は、もう見頃との情報だ。忘れないうちにと途中のコンビニでサンドイッチを買った。(以前、同じ場所に行ったとき、昼食をしようにも店がまったくなくて苦労したのだ。)

車で山道を走っていると、さっそく紅葉がたくさん目に飛び込んできた。わぉ!きれいだ!もう我慢できなくて、途中のパーキングエリアに車をとめて、早速、写真に撮った。私はミラーレス一眼で。

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好きなものに囲まれて生きてゆく。

好きなものに囲まれて生きてゆく。

うちの奥さんが、部屋の模様替えをすると言い出した。

そして私にこう宣言をした。

「これから私は、私の好きなものに囲まれて生きてゆく!」と。

いや、元からそうだし。

先日も、ファーストフード店でアイスクリームを買おうとしたときに、笑顔のかわいい若い女の子の店員さんが「今、ティラミス味とマンゴー味がおすすめですよ!」って元気よく言われて、奥さんはにこっと微笑みながらも「じゃ、このバニラで!」っ

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