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下田と南伊豆を旅する 《1》 白浜神社

東京駅。
午前10時ちょうど。
特急「踊り子」7号が軽快なモーター音を響かせながら動き出すと、年甲斐もなく胸が躍った。

下田と南伊豆を巡る一泊二日の旅。
もし首都圏に暮らしていれば、伊豆は身近な観光地と呼べるのかもしれない。
それが南東北からとなると、時間や交通費の面で、越えなくてはならないハードルが何段も上がる。その分、ひと足早く春爛漫を迎えているであろう、青い海に囲まれた景色への期待も高まるというものだ。

「鉄道開業150年記念ファイナル JR東日本パス」の発売は、非常にありがたかった。
大人1名22,150円で、3日間連続、新幹線を含む JR東日本管内の鉄道路線に乗り放題。指定席を計4回まで予約できるうえ、自由席なら何度でも乗り降り自由。さらに、三陸鉄道や伊豆急行線など、JR以外の路線も多数含まれる。

熱海駅を発った「踊り子」号は、うららかな春の日差しを浴びながら、伊豆半島の東岸を縫うように南下し、終点の伊豆急下田駅を目指した。
僕は、東京駅で買った大船軒「鯵と小鯛の押寿司」弁当を味わいつつ、車窓に広がる相模灘の眺望を堪能した。
穏やかに凪いだブルーのグラデーション。
薄く霞んで水平線に浮かぶ伊豆七島の島々。
事前に「えきねっと」で海側の座席を確保しておいたのは言うまでもない。

下田駅前でレンタカーを借り受け、最初の目的地である白浜神社(白濱神社)へと向かう。

白浜神社は、正式には伊古奈比咩命神社(いこなひめのみことじんじゃ)といい、縁結びと子授けにご利益のある神様だそうだ(意識して巡ったわけではないが、下田・南伊豆には、縁結びにまつわる神社や恋人の聖地とされる観光名所が多かった)。
伊古奈比咩命とは夫婦の、商業と漁業の神様である三島大明神も祀られ、たいへん縁起がよい。
一説には、はるか2400年前に開かれた伊豆最古の神社で、その後、源頼朝が参拝し、北条早雲も信仰したとのこと。

何とも愛くるしい狛犬。仔犬?
この辺りでは、河津桜はもう散りかけ。

古社らしく、境内では何本もの巨樹が天を衝き、坂道を登って本殿にお詣りすると、鬱蒼と茂る木の間から海鳴りの轟きが耳に届いた。
そう、白浜神社は、すぐ裏手が相模灘なのだ。
海自体が神様。そんな感懐が湧いてくる。

(訪問日:2023年3月7日)


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