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だれかの記憶をのぞくような食と街の物語。photographer/ writer。おや…

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だれかの記憶をのぞくような食と街の物語。photographer/ writer。おやつや街歩きに関するエッセイがメインでたまに小説を書きます。お仕事のお誘いは各SNSのDMから受け付けております。

マガジン

  • 私の偏愛おやつキロク

    おやつを愛してやまない私が、偏愛的におやつのあれこれを語る不定期更新マガジンです

  • #今日はどんな街に行こうか

    カフェや食べ歩きなどの「食」と、散歩して出会う「街」の風景とともにその街の魅力をお伝えする自主的街歩き連載です。

  • 創作大賞2023「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

    〈創作大賞2023 お仕事小説部門 応募作品〉日本の南、海辺のドライブインが舞台のお仕事小説。ある事情で東京からリゾートバイトしにきた主人公が、初めて訪れた南の地で自然や人に癒されながら自分と向き合う明るい逃避行物語です。

  • [短編小説]#不器用な彼らは、今日もおいしい寄り道をする

    #不器用な彼らは今日もおいしい寄り道をする は、主におやつをメインとした食べ物がテーマの創作ショートストーリーです。人生に迷ったり、つまづいたり、不器用な彼らが食を通してほんの少し救われる話を1話完結で綴っていきます。

  • #安心する場所でおやすみ

    短編の物語を読むような、カフェや喫茶店のはなし。東京を中心とした一人でも行きやすい、心落ちつくお店を紹介します。

最近の記事

  • 固定された記事

am07:00、朝の渋谷で写真を撮りながら東京を再考してみた

昨年の4月から1年が経った。 情勢が目まぐるしく変わる中、海外はもちろん国内の旅行も気軽には行きづらくなり、その結果か様々なメディアや雑誌の特集などで東京を再考しているものがよく目に入るようになった。東京のホテル、昔から続く老舗の飲食店、東京の街を撮り下ろしする企画。 今まで見えていなかったもの、見てこなかったものを見つけるような、自分たちの足場を確認するような視点の変化。小さな箱庭に閉じ込められた今、私自身も東京というひとつの街を改めて考えてみたくなった。 週末の午前

    • 老舗せんべい店の新たな挑戦〈おかきの量り売り〉イベントレポート

      おせんべいが好きな人も、人から貰わないと食べないなって人にもちょっと聞いてほしい老舗おせんべい屋さんのイベントの話がある。 めずらしくて、楽しくて、おいしく食べながらSDGSにも貢献できる。創業100年を迎えてもなお挑戦をし続けるおせんべい屋さんの話だ。 2024年1月。東京都の上板橋に本社を構える中央軒煎餅が三日間にわたり「gram Kakeccoグラムカケッコ」なる、おかきの量り売りポップアップイベントを開催した。 中央軒煎餅は2023年に創業100周年を迎えた老舗

      • おやつを蓄え家篭り、そしてはじまる新しい年

        あたらしい年、2024年が始まって数週間が経ちました。 毎年思うことですが、三が日が明けてからの日の経ちかたはあっという間で早いものですね。 すべてが0からはじまると思うと背筋が伸びる気持ちもありつつ、これからまた日々を重ねていかねばいけないと思うと、少し気が重くなったりもしたり。まあそんな感情も当たり前にあるよね、ということで、今年もそれなりにやっていけるように、日々少しずつ精進できればと思います。 今年の年末年始は例年と同じで、基本は家に篭りつつ、この時期ならではの

        • 記憶に残った景色、味、場所を振り返る|2023

          ついこの間年を越した気さえするのに、早いものでもう2023年もおしまい。 よく年長者が口にしていた、年を重ねるごとに一年が早くなるという言葉が身に染みるようになってきたこの数年です。 去年の振り返りnoteを読み返してみると、今年はゆるやかな地獄と向き合ってきたような〜と綴っていましたが、2023年はそんな地獄との付き合い方を覚え、相変わらず自分自身とよく向き合った一年になったと思います。 どんな事柄にも言えることですが、最中は暗闇の中でひたすらにもがいて気がつかないだ

        • 固定された記事

        am07:00、朝の渋谷で写真を撮りながら東京を再考してみた

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        • 私の偏愛おやつキロク
          1本
        • #今日はどんな街に行こうか
          3本
        • 創作大賞2023「ここは、海辺のドライブインライトハウス」
          4本
        • [短編小説]#不器用な彼らは、今日もおいしい寄り道をする
          4本
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          6本

        記事

          私の偏愛おやつキロク|第1回 お菓子の包み

          小腹が空いた時につい手が伸びるおせんべい、ゆっくりとお茶と一緒にたのしみたい焼き菓子、おうちで映画を見る時には欠かせないスナック菓子。 普段食べるおやつも とっておきの日に開けたくなるようなおやつも 同じように愛している。 わたしの生活の必需品はおやつだ。 見ると心がコトリと動いて、食べると元気をもらえる。無くても生きていけるけど、あると生活に彩りが増える。 安まるときも、悲しみに暮れるときも いつだって私の側にはおやつがあった。 おやつを愛してやまない私が、偏愛的

          私の偏愛おやつキロク|第1回 お菓子の包み

          森のなかで植物を学び、食べ、触る|小石川植物祭2023レポート

          東京都文京区にある小石川植物園で11月3日ー5日に開催された小石川植物祭というイベントに参加してきました。 私も初めて参加した小石川植物祭。 年に一度開催されるこの催しは、広い園内全体が会場になっていて、植物を軸にした参加型のワークショップや、植物を使った飲食物の販売など、植物というテーマで多様な表現をしている人たちの活動をみて楽しむことができるのです。 ワークショップの一例…イチョウ染めのワークショップ、腐葉土作り体験、実物の植物の葉を取る葉っぱカルタなど。 物販、

          森のなかで植物を学び、食べ、触る|小石川植物祭2023レポート

          わたしを守る、健やかに生きていくために必要なもの

          生きていくうえで、生活を続けていくうえで、必要なもの。軸になるもの。これがあれば「大丈夫」な自分でいられるもの。 このものさえあれば、この人さえいれば、はたまたこの時間さえあれば。 それは家族や恋人という他者だったり、熱を捧げる趣味や仕事だったり、人によって答えは様々だ。選び取ったものの背景にはその人の価値観やバックボーンも深く関わっているだろう。 大なり小なり膨大な選択をし続けていく日々の中で、ゆずりたくない柱となるものを問われたなら、私はきっとこう答える。 おやつ

          わたしを守る、健やかに生きていくために必要なもの

          〈青森の旅する朝食〉からはじまる、朝の谷中さんぽ

          いつのまにか今年も残り2ヶ月。 10月に入ったといえども日中は日が差せば暑いし、気温が少し下がれど湿度があれば涼しいとは言い難い。 思い返すと5月くらいからすでに夏は始まっていたのではないか。どんどん四季の狭間が薄れていくような感覚さえ覚える。 ここ数年の酷暑は対策を取らなければ命すら奪いかねないほどの暑さで、体力に自信がない自分は夏は少しばかり様々な選択肢が狭められるように思う。 酷暑の影響を受けてか、今年の夏は特に多くの個人飲食店で朝や日暮れからの営業時間を設ける店

          〈青森の旅する朝食〉からはじまる、朝の谷中さんぽ

          〈おしらせ〉note創作大賞に作品を出品しています

          noteをいつも読んでくださるフォロワーのみなさまへ向けてお知らせがあります。たまたまこの記事に辿り着いた方も、そんなに長いお話ではないのでこのまま読み進めていただけるとうれしいです。 ただいまnoteにて開催中のコンテスト「創作大賞2023」わたくし江口も4つの作品を応募しています。 〈エッセイ部門 応募作品〉 〈オールカテゴリ部門 応募作品〉 過去作品3作に加えて 新作として初の試みに挑戦し[お仕事小説]を書き下ろしました。 〈お仕事小説部門 応募作品〉全4話か

          〈おしらせ〉note創作大賞に作品を出品しています

          続:現代の和菓子はおもしろい《練り切り編》

          「現代の和菓子はどんどんアップデートされている。洒落ていて、新しくて、おいしいんだ!」 現代の和菓子のおもしろさを伝えたくて書いたnoteには、たくさんの反響をいただきました。読んでいただいた皆さま、ありがとうございます。 私は和菓子の作り手ではないし、お店の人として広報をしているわけでもない。 でも、若者の和菓子離れと言われている現代でも、こんなにもめずらしくて、心がときめくような和菓子は今もなお作り手の方達の努力で絶えず作られている。 新たな挑戦を応援したいのなら

          続:現代の和菓子はおもしろい《練り切り編》

          ep4:夜に持ち出すピクニックバスケット|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          この1週間何をしていても頭はどこかうわの空。 朝起きることも食事を取ることもできる。仕事もこなせる。職場の人たちとの会話にも参加できる、笑える。でもふと気持ちが途切れるとぼうっと心ここに在らずな状態になってしまうのだ。 そう、この間訪れた初老の彼女に言われた 「迷子のような顔」で。 新たな地に移り住み、ドライブインライトハウスで働き始めて数ヶ月。色々思うところがあってここに来ることを選んだけれど、最初の頃は新しい生活に慣れるので精一杯で感傷に浸る暇もなかった。 もう何も

          ep4:夜に持ち出すピクニックバスケット|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          ep3:トマトパインハンバーグをもう一度|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          note創作大賞2023、お仕事小説部門応募作品です。単体でも読めますが、連載作品なので続けて読んだ方が話はわかりやすいです。前回のお話はこちらから。 ある日それなりに混雑したお昼時を過ぎたころ、食券の券売機のところで立ち止まっている高齢の女性がいた。 食券の買い方がわからないのか故障かと思い、テーブルの片付けを後にして女性の元へと向かう。 「どうされましたか?何かお困りですか」 少し腰を曲げ目線を合わせて問いかけてみる。 券売機を見つめたまま女性は話し出す。 「あ

          ep3:トマトパインハンバーグをもう一度|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          今すぐどこかへ行けるとしたら

          本当は今日、今月1ヶ月間だけ提供される期間限定のパフェを食べに行きたかった。 童話の中に出てくるような可憐な見た目と好みの味が想像できるそれをプレスリリースが出た先月から楽しみにしていた。 でも今月の出費を数え直して行くことを諦めた。 一回がらがらに崩れたものを立て直すのは心身ともにフルパワーの状態じゃないと結構難しい。先の生活の見通しができなくて、経済的にも余裕がない。 いつの日かある人に言われた言葉を思い出す。 深く考え込むと負のループにハマって身動きが取れなく

          今すぐどこかへ行けるとしたら

          ep2:朝のまかないそばと海が見える美容室|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          note創作大賞2023、お仕事小説部門応募作品です。 単体でも読めますが、連載作品なので続けて読んだ方が話はわかりやすいです。前回のお話はこちらから。 ドライブインライトハウスのシフトは基本的に3パターンで組まれている。開店の8時前から午後まで、お昼から夜手前まで、夕方あたりから閉店の23時まで。私は大体夜手前までの時間で出勤することが多く、今日は開店時間に合わせた出勤だ。 朝7時30分、今日の天気は曇り。 晴天時の目が覚めるような青い海こそないが、うっすらと青みを帯び

          ep2:朝のまかないそばと海が見える美容室|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          ep1:夕焼けパフェと夏の入道雲ソーダ|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          note創作大賞2023、お仕事小説部門応募作品です。 第1話、夕焼けパフェと夏の入道雲ソーダ 海の奥底まで見通せそうな透き通る青い海。 今日は快晴。まだ残暑の厳しい9月は、外に出ずこうやって室内から海を見ているくらいがちょうどいい。 太陽の光が海に反射してビー玉のように白くキラキラと輝く。窓ガラス越しに見ていて直接照り返しを受けることはないが、思わず目を細めてしまうくらいにまばゆい。 もうこの地に来て3ヶ月経つが、東京生まれ東京育ちの自分にとってこの海の色には未だに

          ep1:夕焼けパフェと夏の入道雲ソーダ|連載小説「ここは、海辺のドライブインライトハウス」

          桜を浴びた春散歩

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