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老舗せんべい店の新たな挑戦〈おかきの量り売り〉イベントレポート

おせんべいが好きな人も、人から貰わないと食べないなって人にもちょっと聞いてほしい老舗おせんべい屋さんのイベントの話がある。

めずらしくて、楽しくて、おいしく食べながらSDGSにも貢献できる。創業100年を迎えてもなお挑戦をし続けるおせんべい屋さんの話だ。


木漏れ日が差すpopupの看板


2024年1月。東京都の上板橋に本社を構える中央軒煎餅が三日間にわたり「gram Kakeccoグラムカケッコ」なる、おかきの量り売りポップアップイベントを開催した。

中央軒煎餅は2023年に創業100周年を迎えた老舗煎餅店。2023年から始まったおかきの量り売りポップアップは今回で3回目の開催となる。

GRAM kakeccoとは
大切に育てられたお米を美味しいおかきにする工程で、どうしても出てしまう欠けたおかき、味は変わらないけれど見た目で弾かれてしまうおかきをフードロス削減のためにシリーズ化したのがkakecco。このkakeccoを量り売りでお楽しみいただけます。

店内の掲示物より引用



このイベントでは、およそ10種類前後のおかきを好きな味を好きな量だけ買うことができる。

しかも容器の持参も可能なので(私はHARIOの蓋つきビンを持参。容器は店舗で用意もあり、紙袋かラベル付きのビンを購入することもできる)欠けたおかきをおいしく消費するだけではなく、ここでもSDGSへの配慮がされているのだ。(ビンは洗えば繰り返し使用ができるし、リサイクルもできる)


今回開催されたgram Kakeccoグラムカケッコのラインナップはこちら。

塩おかきMix、小粒あられMix、だし醤油とだし海苔巻Mix、ざらめ、冬味Mix、ゆず七味、アーモンドメープル、リゾコッティ(2種のナッツ&バター風味)、揚げ餅Mix、黒胡椒

見てわかる通り、中央軒のせんべいは定番から変わり種まで多種多様な煎餅を作っているのだ。

冬味Mixには柚子ざらめやキャラメルおこしも入っているし、ワインのお供にもおすすめされているリゾコッティはビスコッティをヒントに玄米で作られたおせんべいで、ナッツ&バター風味、パルミジャーノレッジャーノ&ブラックペッパー味というから驚きだ。


夏の初開催時に選んだおかきたち。季節に合わせたラインナップがうれしい。

そう、中央軒は定番だけではなく変わり種も大の得意なのだ。

私はもともとせんべいは好きだし、昔からよく食べてきたけど(子供舌なので好むのはハッピーターン、雪の宿、味しらべあたりだった)自ら進んでお店で買うようになったのは中央軒煎餅が初めてなように思う。


初めて口にしたのはKumitteという別シリーズだったのだけど、トマトペッパー、桜えびレモン、胡麻ごぼうという変わり種に心を踊らせ、食べた瞬間あまりのおいしさに急いでお店のHPをしらべ、読み耽った。


元の写真が見つからないのでInstagramから感想付きの写真を再喝。


チョコ×おかきなんておちゃめなシリーズも。


おせんべいに限った話ではないが、お菓子だと◯◯味と書いてあっても期待していた味よりパンチが弱く、風味程度だなと思うことが少なくないのだけど、中央軒のおかきは違う素材の組み合わせでも、それぞれの味がまっすぐに伝わってくる。加工品とは思えないくらいに、素材の味が本当においしいのだ。


今回の2024年1月開催のときのもの。お気に入りのだし醤油&海苔巻をたくさん入れてもらった。


今回のイベントのラインナップで個人的におすすめをするならば、

だしの風味が香りたつだし醤油と、海苔が生きているだし海苔巻Mix(社長が毎年おかきに合う海苔を自ら選んでいるというこだわりぶり)、ゆず七味、甘じょっぱさがやみつきになるアーモンドメープルを薦めたい。


量り売りイベントでいろんな味を試せることでどんな味か分かるし、通常の買い物の参考になるのでありがたい限りだと思う。

そして大事なことだが、試食もできる。本当にありがたい。

机の上に置いておくと、いつでもつまめておやつ時間の幸福度が上がる。


このイベントは過去3回開催されており、今のところ私はその3回を全て参加するという皆勤賞を達成している。

その理由はそうそう他では見ないイベントだからというのもあるし、単純においしくて味が好みだからなのだけど、それだけではない。中央軒煎餅は思わず応援したくなるブランド力が強いのだ。


創業100年の老舗であるにもかかわらず、中央軒煎餅は新たな挑戦を止めない。

現代に合った商品開発にも抜かりがなくて、ワインとのペアリングを推奨しているイタリアの伝統菓子のビスコッティから着想を得たリゾコッティ、キャンプでの食体験を促すおかき生地「CANP de OKAKI」などがある。


また、今回のイベントで使われているおかき「Kakecco」は実際に販売もされていて、SDGsへの取り組みとしてKakeccoの売上の3%を国際NGOワールド・ビジョン・ジャパンを通じて「水と食糧のための募金」への支援を行っているらしい。(現在の累計支援金額は、2024/01/16 時点で2,307,605円)


過去のポップアップイベントではこわれおかきが配合された「食べられるスプーン」も試食させてもらった


今まで何度もこのお店のおせんべいを食べてきたけれど、実は本店に行ったのはこのイベントをきっかけにして初めてだった。


HPなどの読み物から真面目で心意気のよいブランドだなと思っていたのだけど、実際にお店に行ってみると、期待が崩れないというかブランドを体現したかのような人たちがそこにはいたのだ。


汗の滴る夏に行われた初開催の時は、入店時にスタッフさんからお冷やを手渡しでいただき、そして3回目の開催となった冬には夏場のお冷やは温かいお茶に変わっていた。(夏場のお冷やは熱中症対策にもなるし、寒さが厳しい冬の温かいお茶にはとても救われた)


どれを選ぼうか迷っている私に、コミュニケーションを取りつつ試食を勧めてくれたり、このおかきは大体何枚で何グラムかみたいなことを教えてくれたり(お店のスタッフさんなのだから当たり前と言われればそれまでなんだけど、知識量に驚いた)、こちらがちょっとしたある感想を伝えた時も、製造のスタッフに伝えます、社長に伝えます、みたいな言葉がすぐに出てくるのも好印象に感じられた。


スタッフそれぞれが自分の属しているブランドを大事に思ったり、良さを伝えられたり、自分ごとにして話せる人って正直多くはないと思っているのだけれど(接客に携わっていても全員が全員そうなるにはかなり難しいと思っている)そういう人に出会うとなんだかとても拝みたくなる。


他にもここには書ききれないほど小さなほっこりエピソードがあるのだけど……。とにかく、商品だけではなくブランドごと推したくなるようなお店作りが仕上がっていたのだ。



ちなみに余談だが、イベントのお会計後に参加させてもらったおかきのグラム当てっこゲームは予想が外れても参加賞として玄米チップス(超おいしい)(しかも味も選べる)をいただいた。こんなに楽しい思いを重ねてもいいのか。どうなっているんだ。

玉ねぎ味をおかずに白米食べられます。と思えるほど、少し強めの塩気とたまねぎの豊かな風味がやみつきになる。玄米なので健康意識を保ちつつ、揚げてある感じが背徳感のあるおいしさ。他にも桜海老味やパルミジャーノレッジャーノ味もある。


今回お話ししたおかきの量り売りイベントは現時点では次回開催日は未定だそうが、3回目まで続いたことを踏まえてどうか継続開催を願ってやまない。これからも中央軒煎餅の新たな挑戦を見届けるのがたのしみだ。


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