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記憶に残った景色、味、場所を振り返る|2023

ついこの間年を越した気さえするのに、早いものでもう2023年もおしまい。

よく年長者が口にしていた、年を重ねるごとに一年が早くなるという言葉が身に染みるようになってきたこの数年です。


去年の振り返りnoteを読み返してみると、今年はゆるやかな地獄と向き合ってきたような〜と綴っていましたが、2023年はそんな地獄との付き合い方を覚え、相変わらず自分自身とよく向き合った一年になったと思います。


どんな事柄にも言えることですが、最中は暗闇の中でひたすらにもがいて気がつかないだけで、後から振り返るとその時なりによくやっていたなあと感心することの方が多かったりもする。


何度経験してもその最中はもう明るいところになんて戻れない!と思っているのですが、出口は突然現れたり、気がついたら抜けていたなんてことも往々にしてあるのだよなあと思ったりもします。



なんとなく生きていくコツは年々覚えていくけど、それでもやっぱりむずかしく思う日もあるわけで。今年もなんとか、食を中心とした体験や景色に支えられてやってこれた一年でした。

というわけで、記憶に残った景色、味、場所を振り返る|2023 今年もやりたいと思います。


よかったらこれを読んでいる皆さまもカフェで、おうちで、頭の中で思い返したり紙のノートに書いたりして、一緒に一年を振り返ってみませんか?




◯記憶に残った景色


よく行くお菓子屋さんからお花を持たせてもらった日。クッキングペーパーに包まれた姿さえも愛おしい。ちょっとした幸せの共有がうれしいなと感じた。

去年に引き続き今年もたくさんピクニックをした。外で食べるごはんはおいしいし、なんてったって気持ちがよい。
食べものと自然の風景、いい景色だ。

自然にもたくさん癒してもらった。

普段の日常で上を見上げる機会ってあまりない気がするけど、公園に行くと上ばかり見ていることに気がついた。いつもより高い空、葉の色が移り変わる木々たち。見ないともったいないね。

同じバラでも咲き方が違ったり、雫がつくだけで表情がまるで違う。


はやり病の波が落ち着きを見せてきたからなのか、今年は今まで開催を中止していた季節の風物詩が戻って来たように思う。

春は桜をみて、夏は風鈴の音を聞き花火を見てお祭りに参加した。秋はイチョウ並木が見事な好きな街に出掛け、冬はクリスマスマーケットに出向いてノンアルコールのホットワインを飲んだ。

日々の合間を縫って四季を感じられたことがとてもうれしい。これからもそうでありたい。

横浜中華街にある中国茶喫茶の悟空茶荘さん。お店の雰囲気やお茶が好きなのもあって度々来ている。

春に数年ぶりに訪れたのだけど、このビードロのような窓から風を感じつつ裏道を歩く人々を眺める時間がなんだかとても良かった。

お茶を飲みつつ飲茶をつまんでぼうっとする時間のなんと贅沢なことか。異国を思わせる店内は時間の流れもゆっくりしているように感じられた。

創作撮影をさせてもらった日。

記録写真とは違って、企画、場所、服装、終いには仕草や表情までこだわることができる創作写真はある種、本来この世にはなかったものを作り出しているに過ぎないと思わせられる。

幻想のようなものを見せてもらっている感覚に近いのかもしれない。見たいものを、見せてもらっている。この日のテーマは祝祭だった。

小石川植物園へ初訪問。
催しものきっかけで訪れたのだけど、植物園というよりかは里山という感じかした。

整備され過ぎていない園内は初めてみる植物も多く、自然との距離も近く感じられる。葉っぱの上を歩いて、木々の合間から光を浴びて、数え切れないくらいいい景色の連続だった。

国立新美術館で開催していた現代美術家 大巻伸嗣さんの展示。巨大な部屋での大型インスタレーションだ。

分かっていたつもりになっていたけど、空間を作り上げるということは、そこに流れる時間や空気感までもを操ることなのだと感じさせられた。

光沢のある透明な布が背面から吹く風に合わせて波のように動くめく。ライティングは天井と横の二箇所のみ。波のように足元から攫われそうで、ただ見ていると闇に飲み込まれそうだった。

振付家/ダンサーの鈴木竜さんのパフォーマンスにも立ち会えた






◯記憶に残った味

今年もたくさんの楽しい食体験に巡り会えた。
ここに載せきれないほどに話したい食の話がある。けれど今回はいくつか厳選して(本当は全部話したい。泣く泣く厳選……)お話しさせてもらおうと思います。


◯ノーレーズンサンドイッチとトラヤあんスタンドのコラボレーション(Equal製フレンチクルーラー)

ノーレーズンとトラヤあんスタンドの胸熱すぎるコラボ。もちろんメインであるあんバターサンドもおいしかったのですが、個人的にはそこにEqualさんが加わった最強布陣で作られた一日限りのあんペーストフレンチクルーラーが忘れられない。

食べたら涙出た。食べ終わった後に興奮し過ぎて接客に出ていた平野さん(ノーレーズンのディレクター)と後藤さん(Equalのパティシエ)にギラッギラの笑顔でおいしかったです!!!!と伝えてしまった恥(お二人ともびっくりしたり嫌な顔せずニッコニコで反応してくださってうれしかった)

シャリ、ポテ、ぷるるん。きな粉シュガーの香ばしさが鼻腔をくすぐって、あんとカスタードの相性の良さが脳に直に届く。まさに三位一体。ビジュアルも良過ぎるので、拡大バージョンの写真も載せちゃいますね。ドゥン。



◯サダハルアオキのマロンパイ(サロンデュショコラ2023限定品)

エシレバターの旨味と、あつあつとろっとろのクレームマロンに深みのあるチョコレートが口の中いっぱいに広がる。このおいしさは背徳感がすごい。パイが口周りに付こうとも手が油脂まみれになろうとも無心で食べた。これを焼きたてで提供してくれたの本当に本当に感謝です。ありがとうございます。



◯マテリエルの7月のデセール

グリルパインにマンゴーとココナッツのヴァシュラングラッセ、南国のジュレetc……。すべてのパーツが完璧で、組み合わせて食べても素晴らしくおいしい。これこそがアシェットデセールの醍醐味なんだと思った。夏を舌で感じる多様な酸味の使い方が見事で、ひと夏の記憶に強く残る一皿だった。


◯小抜シェフによるプレスキルショコラトリーのボリビアカカオのパフェ(Ufuフェス限定のパフェ)

油断したら涙が出そうになるくらい圧倒的に感動させられた。

ショコラティエとしての挨拶かのように飾りチョコからもう格が違う。線が細いのに鼻に抜ける風味ははっきりとしていて、丁寧な仕事をされているのがわかる。

ボリビアカカオのソルベはカカオが違うだけでこんなにもチョコレートの表情は変わるのかと驚かされたし、初めて口にしたクププアイスは発酵食品を思わせる独特の酸味があった。この植物たちが生まれ育ってきた環境を想像させるような野性味のあるユニークさ。

合間に変化を促す洋梨や柚子のジュレの角がない香りの広がり方は完全にアロマだった。バニラを纏わせた洋梨のコンポートはあの世の食べ物かと思わせられるくらい極上の甘味でクラクラした。

最初から最後まで夢を見させてもらったパフェ。食べ終わった後もしばらく余韻が抜けなくてぼうっとしてしまった。



◯フルミナのサラダ

サラダ嫌いが進んで食べるサラダことフルミナのサラダ。食べ終わりたくないと思うサラダがこの世にあるなんて衝撃だった。

具材はサラダ嫌いも黙るトクベツ仕様で、生ハムにチーズに温泉卵、キャロットラペにナッツ、極め付けは苺まで入っているのだ(季節にもよるのかもしれない)セットのスコーンについてくるブルーベリーバナナジャムを混ぜればおいしさはさらに輝く。



◯菓葉絆のケークトロピカルカカオ

ガトーショコラの類はなんとなく味の想像がしやすいのでわざわざ選ぶことってそんなになかったんだけど、菓葉絆さんを信じてよかった。

ケークトロピカルカカオは完全に未知の味だった。アマゾンカカオ独特の風味をふんだんに味わえる生地は口に入れるとほろっとした食感から水気を含んだ食感へ変わる。セミドライのフルーツたちはアマゾンカカオと合わせることで、よりエキゾチックなケークになる。

口の中でいい香りが充満して気分はほろ酔い。



◯レセンシエルのバニラとトンカのスコーン

目を瞑って鼻から吸い込むとバニラとトンカの甘美な香り。まさに香りにこだわりがあるパティスリーが作るにふさわしい香り菓子。このスコーンの前でずっと呼吸をしていたいと願うほどに夢見心地になれる香りだった。寝香水にしたいよ。




◯記憶に残った場所


年始に訪れた川越。神社やお寺が多いからか三が日でも開いているお店が多くて、色々なものをつまみながら街を散策できたのが楽しくて印象に残っている。普段は物販のみであろうお店が軒先で甘酒を売っていたり、屋台を出していたりするのが非日常感があり心が弾んだ。

鰹節がかかった出汁醤油だんご的なもの
椿の花が浮かべてあって、その綺麗さに思わず見入ってしまった
紋蔵庵併設のカフェ。一見分かりづらいが店内奥に進むと裏庭がありそこで買ったお茶を飲むことができる。隠れ場所感があっておすすめです。


椿が見頃を迎えた時期の椿山荘。
椿山荘の広大な庭には多種多様の椿が植えられていて、見頃を迎えるとインスタレーションが行われる。

道に散りばめられた椿の花に光が射す景色は言葉を飲むほどうつくしく、日常をいっとき忘れさせてくれた。

白い椿がめずらしくて気に入った
花は向きひとつ変わるだけで表情を変える
椿山荘の内装は和洋折衷で何度訪れてもうっとりする
歩いているだけでたのしい


ホテル内のラウンジ、ル.ジャルダン
居心地の良さもさることながら
緑のカラーグラスとカーペットは一目で気に入った



中央軒煎餅のイベント。
せんべいの固定概念に新しい風を吹かすような味のラインナップとおいしさに惹かれて好きになったブランドなのだけど、ブランドをもっと好きになるきっかけになったのが「グラムかけっこ」
おかきの量り売りイベントだ。

製造過程で生まれた欠けてしまった約10種類のおかきを自分の好きな量を選んで購入できるイベント。

どれも試食可能という大盤振る舞いで、本当に気に入った味だけを無駄なく買うことができる(量は知識豊富なスタッフさんに相談も可能、不定期開催)ビンや袋の持ち込みも歓迎。ゴミも食品ロスも削減できるサステナブルなイベントで、何より楽しみながら買える参加型イベントなのが良い。

親切なスタッフさんとコミュニケーションを取るのも楽しく、とてもいい思い出として残っている。

元々ブランド自体のファンでもあったけど、心が温まるような場づくりをこの目で見て、より一層親しみをもって好きになった。また開催する時があればぜひ参加させてほしい。

机の上に置いてあるとついつい伸びる手を止められない





〜〜〜〜〜

少し振り返るつもりが思いの外長くなってしまいました。何かを思い出そうとするとその道中に拾い物があって、立ち止まって……の繰り返しをしてしまいそうになりますね。

そんななかでも気がついたのは、景色、味、場所で区切って振り返りをしても、そのほとんどに食が入っていること。自分は本当に食に支えられて生きているのだと改めて感じることができました。

ストックしてあるおやつとか、お店の店主さんとの何気ないやりとりだとか、夜に飲む温かい飲み物のやさしさだとか、そういうものに日々救われています。



私は毎年年末になるとノートとペンを用意して一年の振り返りをする時間を設けているのですが(今年はロイヤルホストにて取り組みました)内省することで自分が忘れていた実はやり遂げていたことや、見過ごしやすい体験などを思い出してあげられるような気がします。


この一年をどう歩いてきたか、どんなものが見えたか。


足跡を辿って少しだけ過去への思いに耽ったら、どんな今であれ今ここにいる自分を認めてあげて、おいしいものを食べる。そうすることでふっと一息ついて年末を迎えられる気がします。

来年のことは
また来年に考えればいいですからね。



noteではメンバーシップもやっていないし、普段読者の方とコミュニケーションをとったりすることもほとんどないので、そもそも読んでくれている方は存在しているのか……?と半信半疑なのですが、来年も変わらずに創作活動をしていけたらと思いますので、どうか見守っていただけましたら幸いです(お気軽に応援や温かいコメントいただけましたらとても喜びます)

よかったらみなさんの今年記憶に残った景色、味、場所があればコメント欄でお話し聞かせてくださいね。


それでは、今年残りわずかですが、温かい飲み物やおやつを片手にどうかご自愛ください〜:)

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