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森のなかで植物を学び、食べ、触る|小石川植物祭2023レポート

東京都文京区にある小石川植物園で11月3日ー5日に開催された小石川植物祭というイベントに参加してきました。

「植物」と考える、まちのこれからを方針として掲げ、誰もが「植物」を学び、「植物」で学べる場をつくる。世代や分野を越えて、人や地域をつなげる。まちの資源を発見し、新たな価値を創造する。この3つを使命に掲げた、一年に一度開かれている循環型のプロジェクト。

小石川植物祭ホームページより


私も初めて参加した小石川植物祭。


年に一度開催されるこの催しは、広い園内全体が会場になっていて、植物を軸にした参加型のワークショップや、植物を使った飲食物の販売など、植物というテーマで多様な表現をしている人たちの活動をみて楽しむことができるのです。


ワークショップの一例…イチョウ染めのワークショップ、腐葉土作り体験、実物の植物の葉を取る葉っぱカルタなど。

物販、展示の一例…野草を使ったおばんざいの販売、真空パックになった植物標本の販売、(ペンダントの一部にもなる)植物から紐をつくるその過程の展示、体験など。


他にも園内を散策しながら行う体験型ツアーや、印刷産業が盛んな文京区ならではの活版印刷体験など、新たな知識を得られたり自分の手を動かしてできるワークショップなど様々な体験がありました。



今回は初参加ということもあり午前中に到着。
さっそく園内を歩きつつ、地図を見ながら目的地へ向かいます。

リーフレットのデザインもかわいい


……実!
天気は曇りときどき晴れ。光が差した時の光と影がきれい


まずはどうしても手に入れたかったものがあるCRAFT COLA WAVEブースへ。


今回のお目当ては、ずっと気になっていた日本草木研究所さんが作る「草木コーラ」

洗練されたデザインのラベル。園内で切り株を見つけたので撮りました


日本草木研究所は日本全国の里山の食べられる植物を研究するブランドで、モミ、ヒノキなどの植物を使った草木塩やシロップなどを製作、販売。


このイベントでは小石川植物園で採集したセキショウというショウブ科の植物を使いクラフトコーラを作ったということで、これは絶対に飲んでみたい……!と思い購入を決めました。


飲み方としては、販売しているのは原液のシロップなので炭酸水で3ー4倍に薄めて飲むらしく、炭酸水の他にもお酒や牛乳(チャイっぽくなるらしい)で割るのもおすすめだそう。

右手のオールスパイスは爪で割ると爽やかな香りが広がる


セキショウを手でちぎると香りがするということで、実際に体験させてもらうことに。


最初は自分の手の匂いが先に来たけど、後から追いかけるように鼻に抜けるような爽快感のある香りが。これは確かに言われてみればコーラの匂いに近いかもしれないと納得しました。


素人では決して辿り着けない植物の可能性。お菓子作りにスパイスを使うように植物を生かすこともできるのかな。どんな風味になるのだろう。一般向けの勉強会とかぜひ開いてほしいな……。


購入した草木コーラはとっておきの日に飲もうと思いまだ寝かせ中。飲むのがたのしみです。





CRAFT COLA WAVEブースに立ち寄ったあとは、園内が混み出す前に少し早めのお昼ごはん。お弁当とレジャーシートを持参したので原っぱで秋空ピクニックをしました。

お弁当は塩おにぎりとツナ入りにんじんしりしりとカニカマ入りたまごやき

この辺りの木は背が低くて見晴らしが良く、日に当たりながら外で食べるごはんのまあおいしいこと。


気候のいい時期は機会を見つけてはピクニックをしている気がするなあ。まあ外で食べればレジャーシートを引かなくたって、パンひとつだってそれはもう立派なピクニックなんですよ。



園内は広いから人の多さは気にならないし、耳には鳥のさえずりと近くで行われている葉っぱかるたの読み上げる声が聞こえる。

なんとも平和な時間の穏やかさに、思わずずっとこんな時間が続けばいいのになあと思ったりした。



ごはんを食べたあとは園内を散策しつつ、ブースを見て回り

……実!
生えたてのイチョウかな
実〜!!!


ムジナの庭+小石川植物園環境整備チームのブースへ。

同行者が希望したアロマミスト作りのワークショップに参加することになり、私は横で見学することに。


内容としては小石川植物園で採取したヒノキの蒸留水をベースに気に入ったアロマを数種類選んでブレンドしアロマミストにするというもの。

ベースとなるヒノキの蒸留水はやさしく木特有のやや甘い匂い。この香りが家の中に漂ったら自宅にいながらも森林浴している気分になれそう。

同行者は普段から好きな香りのベルガモットを多めに2種類ほどのアロマをブレンドしていました。





アロマミスト作りを終えたあとは園内を半周して、散策も終盤に。



このあたりは背の高い木々が多く、ただただ圧巻。普段の日常で見上げる行為ってあまりしないかなと思うのですが、こういう自然の中に入ると思わず何度も空を見上げてしまう。



どこまでも伸びる高い木は世界から覆い隠すように茂っていて、月並みで子供みたいな感想だけど、本当に自然はすごいのだと感じさせられた。

人の手でどうにかできるようなものではなく、昔からそこに自生していて、自らの力で適応して生きてきた。すごい、すごいなあ。




日本庭園に向かう道中は高低差があって木々の間から東京の街並みを覗くことができる。



日本庭園には大きな池を囲むように芝生があったり、小さな橋があったり、小石の上を渡ったり……。

池の後ろにそびえ立つ木々たちはもはや森ではなく山のよう。これが東京だなんて信じられないなあ。少し歩けば東京ドームがあるんですよ……?

木々が水に反射していてきれい
水が流れている場所も


園内をぐるっと一周したところで散策はおしまい。


ブースを見たりお昼を食べたりしながらの散策だったので、滞在時間は3時間くらいでした。園内をただ歩くと1時間強くらいなのかなあ。


今回は立ち寄りませんでしたが、温室もあってかなり見応えのある植物園なのでゆっくりと時間に余裕をもって訪れるのが良さそうです。


いろいろな都心の公園を訪れてきたけど、他の同じような場所に比べて小石川植物園は舗装されたコンクリートの道ばかりでなく、いい意味で整備されすぎていない里山という感じで個人的にはかなりお気に入りの場所になりました。

播磨坂沿いの飲食店はテラス席や窓が開けっぱなしで風通しが良さそうなお店が多くありました。春とか秋は気持ちがいいだろうなあ。


使う駅によっては少し歩きますが、茗荷谷駅からの道は播磨坂沿いにセンスのいい個人店が多く並んでいてよりみちが楽しかったので、ぜひふらっと散策してみてくださいね。春は桜の名所になるそうですよ。


(余談ですが、レセンシエルという洋菓子屋さんのトンカとバニラのスコーンが目を見開くくらい個人的に大ヒットだったのでおすすめしたいです。トンカとバニラの香りがむわんむわんで咀嚼した口を開きたくなかった……)


自然からたっぷりとエネルギーをもらった小石川植物祭。木々に囲まれて自然に五感を集中させる時間は思ってた以上に心身を癒してくれました。


今回このイベントに参加することで、普段私たちの身近にあるものの、知ることができていなかった植物の可能性を知る一歩になりました。


スタッフ、出展者のみなさま、すばらしいイベントを開催してくださりありがとうございました。また普段植物園の整備をしてくださっているみなさま、ありがとうございます。

また来年も開催があればぜひ足を運びたいです。
……クラフトコーラ、いつ開けようかなあ。






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