教員免許更新制度廃止によって教員の資質向上はどうなる?
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教員免許更新制度廃止によって教員の資質向上はどうなる?

株式会社エデュテクノロジー

文部科学省は11月、「教員免許更新制」について、来年度中に制度を廃止したいという考えを発表しました。

1.教員免許更新制とは?

現在、小・中・高校の教員は10年ごとに講習を受けて免許の更新をする義務があります。「免許更新」というと、車の免許のように飲酒運転をした人が免許停止になったり運転できる視力があるか計られたりといったことが思い浮かぶかもしれません。しかし教員免許の更新というのは、不適格な教員を排除するものではなく、教員が最新の知識・技術を身に付けることで社会の尊敬と信頼を得ることを目的としたものです。

具体的には、以下のような内容の講座を受講します。


出典:文部科学省「(参考資料) 免許状更新講習の内容について」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/008/08091201/001/001.htm


講習はあわせて30時間以上受講・修了する必要があります。まず教員各自が文部科学省や大学のホームページなどを確認し、講習を選択。次に各自が大学などに受講を申し込み、受講後は大学などが発行した修了証明書を添付し、教育委員会に更新の申請を行います。

2.どうして廃止の流れが出た?

教員免許更新については、30時間以上という講習の長さや講習自体の満足度の低さなど、これまでに多くの課題がありました。10年ごととはいえ、日頃から多忙な教員が満足度の低い講習を30時間も受講するというこの更新制度は、長らく教員にとって大きな負担となっていました。

教員免許更新講習の満足度

※2021年7月に文部科学省が公表した数字。グラフは弊社作成

教員が受ける講習の負担などの課題を受け、文部科学省は今年3月に、中央教育審議会に「教員免許更新制」について抜本的な見直しを行うよう諮問しており、7月には教員免許更新制について廃止する方針を固めました。

教員免許更新制度が廃止されることに対して、最も気になるのは、今後どのように教員の資質能力を保持していくかということでしょう。人材確保や教員の負担感を考慮すると、オンライン研修などの検討が必要だと文部科学省は述べています。その意向を受け、中央教育審議会は11月に、現在の制度を廃止の上、教員の研修受講履歴の管理などに取り組むことが適当だとする審議結果を文部科学省に報告し、文部科学省が来年度中に制度を廃止する意向を発表しました。

以下の資料では、「主体性が発揮されない」「10年に1度の講習では常に最新の知識を学び続けていくことができない」「個別的な学びができない」などといった現行の免許更新制が持つ課題が記載されています。

文部科学省「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて 審議まとめ 概要
https://www.mext.go.jp/content/20211129-mxt_kyoikujinzai02-000019168_2.pdf

3.今後制度はどうなる?

教育が担う重要性が依然として高い現代において、教員には主体的に学び続けることが求められています。しかし、その満足度の低さから教員免許更新制は学びの阻害ともなります。中央審議委員会の報告には、教員の研修受講履歴の管理や学習コンテンツの開発への取り組みが適当だとも述べられました。

来年度中の「発展的解消」が進められている「教員免許更新制」ですが、今後免許更新の制度はなくなるのでしょうか。

文部科学省は、2021年2月に発表した「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」の中で、教員免許更新制の方向性を以下のような表現で述べています。

・必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるあり方を総合的に検討
・教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的な検証

引用元:文部科学省『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン https://www.mext.go.jp/content/20210201-mxt_kyoikujinzai01-000012476-1.pdf

文部科学省が発表している、中央審議委員会の「皆さんからの10の質問にお答えします!」という資料では、教員の新たな学びについて、以下のような点が強調されています。

  • 大きな時代の変化を前向きに受け止め、教員自身が探究心をもって主体的な姿勢で安心して学び続けていけること

  • 大きな時代の変化を前向きに受け止め、教員自身が探究心をもって主体的な姿勢で安心して学び続けていけること

  • 教員の個性に応じた最適な学びにより強みを伸ばすこと

  • 知識技能の取得のみならず教員にふさわしい資質能力を身に付けるための協働的な学び

  • 体系的・計画的に学びを進められる仕組みづくり

  • 質の高い学習コンテンツを提供するプラットフォーム的なシステムの構築

  • 研修や研究だけではなく様々な現場を学びとして捉える

  • 学びの成果を可視化し人材活用などに利用

引用元:文部科学省「皆さんからの10の質問にお答えします!」https://www.mext.go.jp/content/20211129-mxt_kyoikujinzai02-000019168_1.pdf

4.教員の資質向上につなげるには?


文部科学省や中央審議委員会の資料からは、大きな流れとして、免許更新制とは異なる形で教師の研修制度が整備されていくと読み取ることができます。

個別最適な学び・社会の変化への対応・学び続ける仕組みづくりなど、現代社会全体に求められている学習への姿勢を、教員自身も必要としています。法改正後に具体的な仕組みが整備されることも予想されますが、どのような制度を設計すれば教員の資質向上につなげ、また研修内容をより現場のニーズに即したものにすることができるでしょうか。皆様はどうお考えですか。


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