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★★小川糸『ライオンのおやつ』■2020年本屋大賞2位。■末期癌患者の主人公が最後の時を過ごすホスピスでの物語。■受賞作の割にあまり好みではなかった。死にゆく人の話は辛いが、涙なく読めるのは、食欲そそる料理描写のためか、死を忌避する本能ゆえか。生きていることを有り難く思う。合掌。
★★★凪良ゆう『流浪の月』(2019) ■2020年本屋大賞。■女児誘拐事件の「被害者」で、愛する父が他界し、愛する母に捨てられ、性暴力被害者の主人公更紗(さらさ)と、2次性徴の来ないカルマン症候群の「犯人」文(ふみ)の歪な「愛」■生きる上での性の重みを再考。
ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』(2018)
■2021年5月の読書。
■いつも楽しく拝聴しているポットキャスト番組「over the sun」パーソナリティ、ジェーン・スーさんが書いた、主に父親と家族についてのエッセイ。
■まず、構成が良い。「この人はタダモノじゃないな」と予感させるお父さんとのやりとりを綴った面白父娘エッセイなのかと思えば、読み進むにつれて徐々に明らかになる家族の黒歴史。そのクライマックス「小石川の家1・2」は悲しい件
森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(2008)
■2021年3月の読書。最近は中学受験本ばかり読んでいたので、久々にノートに記しておこうと思えた本なので、簡単に。
■小学4年生の子供がねだり、1年前くらいに購入していた。つい最近、同名の映画を地上波で放送していて、気になったから読んでみた。
■裏表紙をめくった注意書のところに、2008年に刊行された角川文庫をもとに一部を書き換えて読みやすくしたものと説明があるものの、あくまでも角川つばさ文庫
原田マハ『たゆたえども沈まず』(2017)
■2020年10月の読書
■こちらも2018年本屋大賞ノミネート作品。
■ポスト印象派の中でも日本人が愛してやまないゴッホ。フィンセント・ファン・ゴッホを献身的に支えたもう一人のゴッホ 、すなわち実弟で画商のテオドルス・ファン・ゴッホと、同時代に生きた日本画商の林忠正、そして忠正の後輩でテオの盟友の加納重吉が主な登場人物。加納重吉以外は実在する人物たちで、19世期のヨーロッパ美術界を揺さぶった
瀬尾まいこ『そして、バトンはわたされた』(2018)
■2020年10月の読書。フィクション。
■プロローグとエピローグが良い作品は、だいたい本筋も良いというのが私の個人的な意見で、本書はまさにその典型。ワクワクした気持ちで読み始めることができて、読後の気分もとても良かった。
■血は繋がっていなくても、自分のことを本当に愛してくれる家族がいたら、子供は、人は、真っ当に育つ(のだろうか)。とにかく、子を想う「親」たちの愛が溢れていて、心があたたかく
山崎元『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(2015)
■検索したら、図解版だの動画版だの沢山出てくる。話題になった本の様子。『億男』に続き、お金と素敵な付き合い方を考えるシリーズで読んでみた。
■金融入門前の読者にとっては、とにかく分かりやすいし、面白い。タイトルの通り難しいことは意図的に省いてあって、金融商品について簡単に理解することができるのが良い。
■5年前の本なので古いんだろうけれど、この本ではなんとなく頼りないインタビュアーの「実験台」
平野啓一郎『ある男: A Man』(2018)
■2020年9月の読書
2019年本屋大賞ノミネート作品
弁護士の城戸は、以前の依頼者から奇妙な相談を受ける。再婚した夫が死去し、絶縁状態だった彼の実家に連絡を取ったところ、全く別人と判明したのだった。彼の身元を追跡する過程で、過去、家族、そして愛と人間の関係や本質を見出していく物語。
読み始めた時、ある男とは城戸のことだと思った。読み進めていくと、依頼者里枝の2度目の夫「大祐」のことだと思
■川村元気『億男』(2018)
■2020年9月の読書
弟の借金を肩代わりしたために家族と別居している主人公、図書館司書の一男。ある日宝くじで3億円が当たり、突然のことに混乱した一男は、大学時代の親友で大富豪となった九十九(つくも)を訪ねるが、翌朝九十九が3億円を持って失踪する。3億円と九十九を探すべく、九十九の友人と会いながら、自分なりのお金と幸せの答えを模索していく物語。
一男、九十九、十和子、百瀬、千住、万佐子、、と登