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八百屋さんへ行こう

今日は書道教室がある木曜日だった。

しかし、先生がインフルエンザということ。

楽しみにしていたため、すこし残念。

私にわざわざ留守電を残しておいてくていたところをみると、

生徒全員に電話で伝えているようだった。

それを思うとすぐに電話に出られなかったことが悔やまれる。

「さて、留守電の返事はどうしようか……」

しばらく悩む。

とりあえず、折り返そう。

「ゆっくり休んでください」

なにも考えていなくても、ちゃんと言葉は出るものだ。

「2月に振り替えておきますからね」

思ったより明るい声で、先生は応えてくれた。

だが、その声からは体のだるさと格闘しているのが伝わる。

どうか、早くよくなりますように……。

残念さはいつの間にか消え去り、本心から先生にお大事にと思った。

昨日のことになる。

パソコンの機嫌がすこぶる悪かった。

noteに投稿するためにエッセイを書いている途中だった。

完全に固まった――。

人もパソコンも体調を崩しやすい時期なのかも……。

先生との電話を終えて、そんなことを思った。

予定と違い、時間が空いてしまった。

こういうときは、大きな贅沢ではなく、小さな贅沢がいい。

いつもと違う場所で買い物。それくらいがちょうどいいだろう。

と、いうことで、隣町の八百屋さんへ電車でむかう。

その八百屋には、おなじ敷地内に魚屋もあって、

ご飯の献立が決定していなくても、

買い物カゴ片手に歩き回っていれば自然と頭のなかで、

レシピが組み立てられていく。

だから、ノープランでとりあえずは突撃!

まず目に飛び込んでくるのは、目の覚めるようなオレンジ色の山。

なるとみかん――青い籠にはいったオレンジ色というより橙色に近い美味し

そうな果実。

温泉に入っているお猿さんのおでこを連想させる燃えるような橙色は、

見ているだけで、頭のなかが冴えわたっていく。

いける!

このまま、素敵な出会いとともに今日の献立よ、決まってしまえ!

次に足を踏み入れたのは、野菜売り場。

そこを華やかに彩っていたのは、「ロマネスコ」。

幾何学的な形状。

世界一美しい野菜と言われているようだけど、

見た目が細胞の集まりのようにも見えるから、

苦手な人は苦手かも、と私もすこし鳥肌。

でも、「ロマネスコ」という名前は、

世界遺産みたいでちょっとかっこいい。

あまり馴染みのない野菜だったから、

帰宅して調べてみたら面白いことがわかった。

ロマネスコは、カリフラワーの一種で、花言葉が「お祭り騒ぎ」というでは

ないか。

花言葉って、いったい誰がつけるのだろうか。

間違えても、「花言葉――細胞」や「花言葉――鳥肌」は嫌だけど、

「花言葉――お祭り騒ぎ」は、なんていうかせっつかれて急いで考えた感じ

がしなくもない。

あー、八百屋さんに行ってこんなに楽しめるなんて。

赤やみどり、きいろのカラフルな野菜や果物が私を取り囲むなか、

「いらっしゃい いらっしゃい いらっしゃい!」

「やすいよ やすいよ やすいよ!」おじちゃんの威勢がいい声が、

より一層、購買意欲を掻き立てる。

まさに、八百屋さんはお祭り騒ぎだ!


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