デモン・フェラー 伐鬼の斧
分厚い雲が晴れることはなく、陰も日向もない灰色の日々が続いていた。
昼とも思えぬ薄暗さの中、少年エモーは小さな体に襤褸をまとい、通りですりの獲物を物色した。
肋の浮いた牛が道に転がるゴミを難儀そうに避けながら牽かれている。向かいでは怒り顔の坊主が気の滅入る辻説法をしている。肌寒い乾いた風が、カラスの鳴き声と鼠の死骸の腐敗臭を運んでくる。
後ろの酒場では、腹を満たす以上の喜びは提供していない。ここのぶどう酒も気づけば随分と薄くなった。スープに犬猫の肉が入ることが珍しくなくなった