![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8272582/rectangle_large_type_2_7c4f4a0d62b1752f6e84263fae02d6a3.jpg?width=1200)
陽はまた昇る、昇らせる
まだ太陽は昇らないのか。今日の夜の軍勢は全て退けたはず。
朝焼けの騎士は戸惑っていた。遥かな昔の太陽王と夜の后の戦いの末、緩衝という役割を承って幾星霜、このような事は初めてだった。
夜の后が取決めを破ったというのか。ならばなぜ次の敵が来ない。
もはや待てなくなった頃、夜の中を一人歩いてくる者が見えた。おお、あれはまさか。こんな事が起こって良いはずが無い。
「お主の仕業か、夕暮れの狩人よ!」
朝焼けと夕暮れが同時に訪れた。
「人間の時以来なのに何言いやがる。相変わらず融通の利かねえ奴だから、俺から来てやったってのに」
夕暮れの狩人はおどけて言った。
「これはお主たちがやったのでござろう!」
「馬鹿言いなさんな、后も消えたんだ。こいつは夜じゃない――闇だ」
騎士の眉間に深く険しい皺が寄る。
「何か知ってそうなのは月の姫君くらいか。着いてくるかい?」
「無論!姫はお主らに肩入れしすぎる嫌いがある!」
夕暮れは笑った。
【続く】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?