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陽はまた昇る、昇らせる

まだ太陽は昇らないのか。今日の夜の軍勢は全て退けたはず。
朝焼けの騎士は戸惑っていた。遥かな昔の太陽王と夜の后の戦いの末、緩衝という役割を承って幾星霜、このような事は初めてだった。

夜の后が取決めを破ったというのか。ならばなぜ次の敵が来ない。
もはや待てなくなった頃、夜の中を一人歩いてくる者が見えた。おお、あれはまさか。こんな事が起こって良いはずが無い。

「お主の仕業か、夕暮れの狩人よ!」

朝焼けと夕暮れが同時に訪れた。


「人間の時以来なのに何言いやがる。相変わらず融通の利かねえ奴だから、俺から来てやったってのに」

夕暮れの狩人はおどけて言った。

「これはお主たちがやったのでござろう!」

「馬鹿言いなさんな、后も消えたんだ。こいつは夜じゃない――闇だ」

騎士の眉間に深く険しい皺が寄る。

「何か知ってそうなのは月の姫君くらいか。着いてくるかい?」

「無論!姫はお主らに肩入れしすぎる嫌いがある!」

夕暮れは笑った。

【続く】

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