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新王伝
<神世の昔>
ひどく乾いた風が、荒れ地にしがみつくように生える草木から、僅かな精気すら奪い去っていく。疥癬に冒されたように、薄汚い地肌が斑に露出している。
決して晴れぬ曇り空からは、冷たさだけの雨が思い出したようにまばらに降る。その水を舐めたところで、絶望の味しかしない。
風は運ばず、奪うのみ。水は濁り腐る。
世界のすべてが衰えていた。
「もはや私の手には負えない。すまない」
ああ、そんな。大いなる英雄よ!残された最後の可能性はあなただけだと言うのに。
どうか、どうか戻ってきてくれ!
ああ、ああ、ああ……。
他の仲間達は、すでにその命の輝きを奪い取られ、その身が崩れ朽ち始めている。我が身もそう長くはない。
すまぬ、今を生きる生命たちよ、これから生まれる子どもたちよ。我々は失敗した。戦いに負けたのだ。この罪を背負って生きることも、もはや出来ぬ。
このような世界にしたこの我々を、どうか悪と呼び給え。
<二千年後>
【続く】
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