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世界の剣

寝物語にパバンの日記を聞かせてもらってから、“冒険”に心ひかれてきた。独学で文字を覚え、写本まで読みさえした。
世界の果てにたどり着いた男。
東の砂漠の果て、全てが砂と風に呑まれる“終わり”をその目で見た男。
僕は彼にずっと憧れていた。


今日も家の仕事を早めに切り上げ、海岸に来ていた。
先日の嵐で露わになった巨大な空洞。明かりもある。今日こそ中を確かめるんだ。
危険は理解していたし、期待もしていない。彼への憧れが起こした小さな冒険のつもりだった。

意気揚々と中に進んでいくと、ある時突然辺りが整然とした。
人工物。
とんでもないものを見つけたのではという喜びと不安。

最奥に着いた時、他の何より眼前の壁に目を引かれた。壁に描かれた巨大な絵。その左半分が何かすぐに分かった。日記で目に焼き付けた図。
この世界の地図。
そして右半分の意味に気づいた時、この場所を見つけた不安など消し飛んだ。

世界に果てなどあるものか。

【続く】

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