アストロマジシャンズ・リベンジ・アンド・ザ・マスカレイド

宇宙空間に漂う瓦礫の中で、4800億年ほどうごめき続けている者がいた。純白に輝く彼/彼女は、その顔にピタリと吸い付いている仮面にずっと苛まれていた。しかしついに開放される時が来たことをマガスは直感した。ようやくこの宇宙の生物も、アストロ魔術師たる彼/彼女の足元程度の技術を持ったことを。そして今ここで二つの派閥がくだらぬ諍いをしていることを。

彼らの次元兵器と私の魔力、そしてこの背中の亜神仙装置の力を使えば仮面を剥がせるはず。残骸とはいえ私の無謬宮に攻撃を向けさせるのは気が進まぬが、機は逃せぬ。
1須臾(フェムト)秒で彼/彼女は決心した。仮面が抑えきれずに漏らした僅かな魔力を使い、生物の精神に干渉し、彼らの乗る巨大戦艦の次元兵器をマガス自身に向かって発射させたのだ。そして次元断層が到達した瞬間、1プランク時間の狂いもなく亜神仙装置に残りの魔力を流し込んだ!

仮面は三つに裂け、マガスの純白の顔から剥がれ落ちた。一つは亜光速で吹き飛び、一つは次元の狭間に消え、そして一つは干渉時の次元逆流で戦艦内部へ転移した。

歓喜!歓喜!歓喜!
だが喜ぶ時間も惜しい。こんな仮面をつけさせたあの僭称者を必ず殺す!

永劫天帝ガスタカイオス!

一刻も早く、奴の到達した第∞次元の『遥けき御座』に向かって――おかしい、魔力が殆どない。こんな魔力では次元を昇るどころか、奴の多次元超々立方魔法陣のいい餌食ではないか。

……まさか!仮面は魔力を抑えるのではなく、蓄えていたというのか?全て奴の手の内だというのか!

仮面はどこだ!


ドーランと仲間たちは、ツギハギだらけのボロ船で今日も戦場泥棒に出ていた。戦闘中から戦場漁りなんて馬鹿げてるが、それだけ見返りもでかいってもんよ。
しかしこの日見つけたものは、あまりにも”でかすぎ”た。いや、彼らが見つけられたのだ。

船体が砕ける音と激しい揺れに突然襲われ、そして突然止んだ。

「流れ弾か!?」

(続く)

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