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魔術師フランスールの目覚め

「おじさま、本当に王と謁見されるのですか」

娘はそわそわと落ち着かない。これがあやつに連なる一族とはどうにも信じがたい。しかしその整った顔立ちと鮮やかな金の髪は、確かに面影があった。

「この私が戻ってきたのだ。当然であろう」

階段を上がり正門へたどり着く。
魔法が消えて久しいというのは事実らしい。正門は開かずの門と化し、みな勝手口から出入りしている。
この衛兵たちも王の権威を誇示する飾りに過ぎぬのか。

私は、喋ろうとした衛兵の言葉を遮った。「案内は結構。よく承知している」

衛兵は私達を睨みつけ、武器を構えた。

「扉の方は迎え入れているようだが?」

衛兵らに許諾の印のことを言う必要はあるまい。
これほど時間が経っても、この宮殿は宮廷魔術師たる私を受け入れてくれる。封印される羽目になった失敗を思えば、実に寛大なことではないか。

どうやって開けただの何だのと言い争っている衛兵たちを横目に、宮殿へ足を踏み入れた。

【続く】


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