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行政・大学勤務経験も含め教職経験20年以上のらいだーです。 授業や学級経営、学校組織マ…

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行政・大学勤務経験も含め教職経験20年以上のらいだーです。 授業や学級経営、学校組織マネジメント、人材育成、働き方改革など教育に関する内容を気の向くままに書いています。 Twitter→https://twitter.com/neweasyridder

最近の記事

マンパワーだけではなく、仕組みで解決できないか模索する ~10月の自殺、過去5年で最多(厚生労働省)~

 令和5年10月に自ら命を絶った小・中・高校生は45人で、過去5年間で最多となったことが厚生労働省の集計で分かりました。内訳は、小学生が2人、中学生が14人、高校生が29人です。年間の自殺件数は増加の傾向にあり、以前、深刻な状態が続いています。  このような中、文部科学省は、昨年11月に児童生徒の自殺予防会議を開き、昨年6月に公表した「こどもの自殺対策緊急強化プラン」の説明等をしています。  会議では、以下のような考えや意見等が出されたようです。  ①自殺予防教育には教員

    • デジタルシティズンシップを考える ~禁止にならざる得ないこともある?~

       10年前と違い、中高校生の家でのインターネットの利用率が95%を超える今、SNS等などのネットトラブルは、子どもたちにとって身近に起こる問題です。情報モラルに関する指導は、もはや「禁止」では対応できず「考えて」「適切に」使えるようにしていくデジタルシティズンシップ教育が求められています。  そのような中、各自治体・学校においては、活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」等を活用して、子どもたちの情報活用能力(情報モラルも含む)の育成を図っていることと思います。また、タ

      • 教育委員会が「自律的」な学習を推進していくには、何をすればよいか?

         学習の主体である子どもが「自律的な学び」をしているのか「他律的な学び」をしているのかよって、個別最適な学びや協働的な学びの在り方も変わってきます。  多くの授業は「他律的」に学習が仕組まれています。  教師が学習内容や学習方法を決定し、教師の決めた指導過程に沿って、子どもたちは自分のペースで学習することになります。  この場合、個別最適な学び(個に応じた指導)を決めるのは教師自身になります。教師が子どもたちの実態を見ながら学習形態も決定していくことになります。  授業力

        • 教育観を磨くためにはどうしたらよいのか?

           日ごろの教育活動は、その人の教育観をベースに行われています。  意識しているかどうかは別として、一人一人教員は教育観をもっており、教員になる前の自分の受けてきた教育、教員になった後の経験等をもとに形成されているものと思われます。  大雑把に言えば、教育観は意図的につくられたものではなく、体験や経験を通して自然につくられてくるものと言えるでしょう。    「教育観をもつ」ではなく「教育観を磨く」となると話は少し違います。  「磨く」という行為は主体的なものです。   結果的に

        マンパワーだけではなく、仕組みで解決できないか模索する ~10月の自殺、過去5年で最多(厚生労働省)~

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          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~深い学び~

          「深い学び」についても「主体的な学び」「対話的な学び」と同様に探究的な学習の過程を一層重視し、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」という学習過程の質的向上が求められています。  探究的な学習の過程では、各教科等で身に付けた「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」の資質・能力、また、各教科等の見方・考え方を活用・発揮する学習場面を何度も生み出すことが期待できます。  探究的な学習のメインは、問題解決的な学習が発展的に繰り返されていく一連の学習活動です

          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~深い学び~

          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~対話的な学び~

           以前より、総合的な学習の時間では、他者とともに探究的な学習に取り組むことを大切にしていました。ですので、引き続き、多様な異なる他者と力を合わせて課題を解決していくような、質的の高い学習過程を展開していくことが求められています。  小学校学習指導要領解説(総合的な学習の時間)には、多様な他者と対話する価値を三つ挙げています。  一つは、他者への説明による情報としての知識や技能の構造化です。   子どもたちは、身に付けた知識や技能をもとに、他者に説明することを通して、知識と

          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~対話的な学び~

          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~主体的な学び~

           総合的な学習の時間において、探究的な学習にするためには「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の学習過程が繰り返される中で、子どもたちの資質・能力が高まり、学習がさらに深まっていくことが重要になります。  学習指導要領では、探究的な学習の過程における「主体的・対話的で深い学び」の実現のポイントが整理されています。  今回は「主体的な学び」の視点で考えてみます。  「課題」を自分事にする  探究的な学習の学習過程において、子どもたちが主体的に学ぶため

          探究的な学習の過程において「主体的・対話的で深い学び」を実現するには? ~主体的な学び~

          探究的な学習と「主体的・対話的で深い学び」の関係

             今、探究的な学習が再びクローズアップされています。  探究的な学習が求められる背景として、少子高齢化の加速、グローバル化やAI技術の発展、自然災害の発生など、社会の変化が激しく予測困難な時代が到来していることが挙げられます。  このような時代の中で、従来は重視されていた「同じ内容を正確に早くこなす力」よりも「複雑で正解のない課題に問題に取り組む力」 「他者と協働して問題を発見し、課題を解決する力」 「互いの価値観を尊重しながら、答えを共創していくしていく力」 などが

          探究的な学習と「主体的・対話的で深い学び」の関係

          一斉指導の何がどう問題なのか

           「一斉指導の何がどう問題なのか」  この問いを考えることは、個別最適な学びの実践を検討していく上で、重要になります。一斉指導と個別最適な学びは二項対立するものではありませんが、それぞれのメリットとデメリットを理解することは、両者のよさを引き出す実践につながります。  多くの人が考える一斉指導は、基本的に1つの教材、1つのペース、1つの筋道、1つのゴールという構造になっていると考えます。  もちろん、この構造の中でも多少の複線化は図られます。  例えば、算数科においては、問

          一斉指導の何がどう問題なのか

          児童生徒の実態を受け止め、子どもの主体の教育を考える ~義務教育に関する意識に係る調査結果~ 

           文部科学省HPに、令和4年度実施の「義務教育に関する意識に係る調査」が公表されています。  義務教育に関する意識に係る調査:文部科学省 (mext.go.jp)  この調査の目的は、義務教育や学校に期待されている役割、授業や学習スタイル学校生活等について、教職員、児童生徒、国民の意識を調査することにより、義務教育における課題を把握し、中教審等における議論や今後の政策立案に当たっての参考にすることです。  本調査結果は、自治体別には公表されていませんが、全体的な結果概要

          児童生徒の実態を受け止め、子どもの主体の教育を考える ~義務教育に関する意識に係る調査結果~ 

           デジタル採点のよさのみ並べてみた

            デジタル採点システムは、学校現場において大きな変化をもたらしているようです。その利点は多岐にわたりますが、教師や子ども、学校全体の教育プロセスに好ましい影響を及ぼしていることが確認されています。  以下、学校関係者の声を通じて、このシステムの利点について紹介します。 1. 効率的な採点プロセス  従来の手動での試験採点は、大量の時間とエネルギーを必要とする作業ででした。しかし、デジタル採点により、この状況は変わりました。教師はテストの回答を手動で集計する手間を省くこと

           デジタル採点のよさのみ並べてみた

          自由進度学習を考える➁ ~自由進度学習に対する教職員の考え方~ 

           前回のnoteで自由進度学習の前提として、学級に「安心・安全な風土」等が必要なことを書きましたが、今回は自由進度学習に取り組むにあたり、「教職員は何を大切にしているのか」について考えてみます。    【個別最適な学びと協働的な学び】(奈須正裕著)には、「自学・自習」「マイプラン(単元内自由進度学習)」「フリースタイルプロジェクト」等に取り組む山形県天童中部小学校について、以下のことが書かれています。   私は、「自由進度学習」の充実が図られている多くの学校は、太字の文の「

          自由進度学習を考える➁ ~自由進度学習に対する教職員の考え方~ 

          自由進度学習を考える① ~質の高い自由進度学習が成立する前提は?~

           今、様々なスタイルの自由進度学習の実践が出てきています。  書籍等で紹介される自由進度学習の中には、「それは自由進度学習か?」と批判されるものありますが、それは「自由進度」、つまり個々のペースで学習を進めること等のとらえ方の違いだと考えます。  私は、自由進度学習には様々なスタイルがあって良いと思いますし、「〇〇が自由進度学習である」とスタイルを定義づける必要もないと考えています。  教育委員会は、自由進度学習に限らず、様々なモデルを作ってしまいがちですが(学校からの要望

          自由進度学習を考える① ~質の高い自由進度学習が成立する前提は?~

          教育実践を低下させる教員組織の3つの要因

           今回は、河村茂雄氏の話をもとに、教育実践の低下・停滞を招く要因を、教員組織の面から考えてみます。  学校型の教員組織は、フラット型の要素が強いので、ピラミッド型の企業や自治体に比べ、比較的、個人裁量、自由度が大きいです。    それゆえ、授業や学級経営の方針が共有されていなくとも、ほとんど支障なく、日々の教育活動を行うことができますし、個業意識が強くなり、相互にあまり干渉しない(多忙で干渉したくてもできない)という雰囲気もあります。  河村茂雄氏は、教育実践を低下させる

          教育実践を低下させる教員組織の3つの要因

          働き方改革で管理職が留意すべきことを改めて整理してみる

              現代の働き方改革において、管理職の役割は極めて重要になります。労働時間の適正化や職員の健康と幸福の促進は、組織内の生産性と持続可能な学校運営に密接にかかわるものです。  以下に、管理職が留意すべきポイントを改めて整理してみました。 健康への影響への理解と対応 長時間労働が健康に与える影響は避けて通れません。週55時間以上労働することで脳卒中リスクが35%、虚血性心疾患リスクが17%も高くなるというデータが示されています。このようなデータを踏まえ、部下の健康と安全を最

          働き方改革で管理職が留意すべきことを改めて整理してみる

          組織内に風を吹かせる

           今回は「学校組織マネジメント」について考えてみます。  学校組織マネジメントを推進する基本理念として「チーム学校」があります。この概念については、あらゆる場面で幅広く使われていますが、その意味を学校全体で共通理解することが大切です。  チーム学校とは、「団結することを促すこと」「全員で同じ取組をすること」「協力して仕事に取り組むこと」といった表面的なものではありません。もちろん、学校でおそろいのTシャツをつくることでもありません。    チーム学校とは、校長の指導の下で、

          組織内に風を吹かせる