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デジタルシティズンシップを考える ~禁止にならざる得ないこともある?~

 10年前と違い、中高校生の家でのインターネットの利用率が95%を超える今、SNS等などのネットトラブルは、子どもたちにとって身近に起こる問題です。情報モラルに関する指導は、もはや「禁止」では対応できず「考えて」「適切に」使えるようにしていくデジタルシティズンシップ教育が求められています。

 そのような中、各自治体・学校においては、活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」等を活用して、子どもたちの情報活用能力(情報モラルも含む)の育成を図っていることと思います。また、タブレット端末の家庭への持ち帰りも進み、長期休業中の宿題をデジタル配信した学校も多くなってきたのではないでしょうか。

 子どもたちは、タブレット端末を授業や家庭学習、係活動や委員会活動、朝の会のスピーチ等、日常的に活用することによって、失敗しながらも、その使い方や学び方を学んでいくものです。

 しかし、先生方からは次のような声が聞かれます。
 「いくら学校で指導しても、タブレット端末で不適切な使い方をする子どもがいるのではないか。」
 「持ち帰らせると子どもが何をしているか分からない。」
 「不適切な使い方をして問題が起きたらどうするのか。」
 このような先生方の気持ちはよく分かります。
 学校において発達段階を踏まえ、適切な指導・支援を行っていたとしても「ネットトラブル」は、必ず起こるものだからです。 
 トラブルの多い学級・学年の担任は、正直、子どもたちにタブレット端末を持ち帰らせたくない気持ちが強いのではないでしょうか。

 学校を離れ、学校外のタブレット使用でネットトラブルが起こった場合、誰の責任になるのでしょうか。基本的には家庭の責任になるでしょう。
とは言え、学校も知らんぷりはできない状況にあります。

 子ども個人の端末で起こったネットトラブルではなく、学校貸与の端末であればなおさらです。トラブルが起こった時、特に被害者側の保護者は学校の指導等について説明を求めてくるケースが多いと思います。いくら学校で使い方のルールを決め、デジタルシティズンシップ教育を行っていたと説明しても納得できないこともあるでしょう。

 特にいじめにつながるような重大事案が、学校貸与のタブレットを起点として発生した場合、学校での指導が細かに問われることになるかと思います。重大事案が頻発したら、タブレット端末の一時使用禁止ということにもなりかねません。そうすると子どもたちの学習権が奪われることになります。

 なかなか難しい問題ですが、学校、子ども、保護者、地域と考え方を共有して取り組むしか方法はないと考えます。

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