教育実践を低下させる教員組織の3つの要因
今回は、河村茂雄氏の話をもとに、教育実践の低下・停滞を招く要因を、教員組織の面から考えてみます。
学校型の教員組織は、フラット型の要素が強いので、ピラミッド型の企業や自治体に比べ、比較的、個人裁量、自由度が大きいです。
それゆえ、授業や学級経営の方針が共有されていなくとも、ほとんど支障なく、日々の教育活動を行うことができますし、個業意識が強くなり、相互にあまり干渉しない(多忙で干渉したくてもできない)という雰囲気もあります。
河村茂雄氏は、教育実践を低下させる教員組織の3つの要因として以下のことを挙げています。
1つ目は「教育実践の曖昧さ」です。
学級集団づくり・授業づくりの大きな目標・方法が共有されていないこと、自分の実践を「見える化」されることを嫌がる傾向があることを指摘されています。
確かに、自分の実践の「見える化」の最たるものである授業を、積極的に公開してフィードバックを求める人は少なく、多くの人は、評価されるのことを避けるため、できるだけ人前で授業をしたくないと考えているかもしれません。
2つ目は「教員組織の相互不干渉な状態(疎結合システム)」を指摘されています。自分も仕事において評価されたくないので他者も評価しないのが、組織の暗黙のルールとなっている状態です。
これでは、教員組織は自発的に改善されることなく、より停滞していきます。いや、それどころか大きな問題に発展することがあります。
例えば、隣の学級担任が「体罰っぽいことをことをしているのではないか」と感じたとき、相互不干渉であれば気になりながらも介入することはない、または介入が遅れるでしょう。そうなれば、子どもたちが大きな被害を受けることになります。
3つ目は、個業意識になります。
評価される機会がすくないため、自分流のやり方を押し通す、固執する傾向があるということです。ベテラン教員の中には、「この20年間、この教育実践を行い成果も出ている。だから、実践を変える気がない。」という人がいます。これは、その人の意識改革の問題もあるかもしれませんが、学校組織に相互評価するシステムがないこと(あっても形骸化していること)、評価する共通の指標がないことが要因と思われます。
河村氏は、この3点に介入しなければ、教員組織は確立せず、教育実践は向上しないと言われています。
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