見出し画像

探究的な学習と「主体的・対話的で深い学び」の関係

 

 今、探究的な学習が再びクローズアップされています。
 探究的な学習が求められる背景として、少子高齢化の加速、グローバル化やAI技術の発展、自然災害の発生など、社会の変化が激しく予測困難な時代が到来していることが挙げられます。

 このような時代の中で、従来は重視されていた「同じ内容を正確に早くこなす力」よりも「複雑で正解のない課題に問題に取り組む力」
「他者と協働して問題を発見し、課題を解決する力」
「互いの価値観を尊重しながら、答えを共創していくしていく力」
などがより重視されるようになります。   
 OECD(経済協力開発機構)が15歳を対象に行っている国際的な生徒の学習到達度調査(PISA)を見ても明らかです。今や世界的な潮流となっています。

 「探究的な学習」が注目されるのは、先に述べたような変化の激しい予測困難な時代が到来しており、その社会に対応するための資質・能力を育成するために有効な学習であるからと言えます。

 しかし、「探究的な学習」というワードは、前学習指導要領からあり、そこでは「探究的な学習における児童の姿」(図1)も示されていました。
 それでは、現学習指導要領において、探究的な学習は何が変わったのか?
 その答えの1つが、主体的・対話的で深い学びにより、一層、その質を高めていくことが求められるようになったことです。

 「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間編」の第2節 探究的な学習過程における「主体的・対話的で深い学び」には、以下のことが書かれてあります。

探究的な学びとは、日常生活や社会に生起する複雑な問題になっていて、その本質を探って見極めようとする学習のことであり、問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動のことである。 

 前回の改訂では、総合的な学習の時間を探究的な学習とするために、「課題の設定」「整理・分析」「まとめ・表現」の学習過程が繰り返される中で、児童の資質・能力が育ち、学習がさらに高まっていくことが示された。

 そして、その過程で、実社会や実生活との関わりのある学びに主体的に取り組んだり、異なる多様な他者との対話を通じて考えを広めたり深めたりする学びを実現することが大切とされてきた。 

 したがって、総合的な学習の時間において「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善を重視することは、探究的な学習の過程をより一層質的に高めていくことに他ならない。  

 なお、今回の改訂で重視される「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の三つの視点は、子供の学びとしては一体として実現されるものであり、また、それぞれ相互に影響し合うものである。単元のまとまりの中で、それぞれのバランスに考慮しながら学びの状況を把握し改善していくことが求められる。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総合的な学習の時間編

 次回は、探究的な学習の過程における「主体的・対話的で深いな学び」の実現についての視点を、学習指導要領を紐解きながら整理していきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?