ヒラサワエイコ

日本語教育コンサルタント|地方の日本語学校、地域日本語教室→大学院進学(上京)→日本語…

ヒラサワエイコ

日本語教育コンサルタント|地方の日本語学校、地域日本語教室→大学院進学(上京)→日本語学校(都内)→ビジネス系専門学校(都内)→日本語学校(山間部)→個人開業|言語教育の可能性を探究中。

マガジン

  • #言語教育を考えるヒント

    「日本語教育」もっと広く捉えて「言語教育」は今後どうあるべきか? 今の日本語教育に対する疑問や言語教育の可能性についてあれこれ考えて書いたことをまとめてみました。

  • #書評

    書評というか、本を読んで考えたこと、感じたことについて書いたものをまとめました。

  • 【連載】越境する日本語教育

    • 13本

    自称フルスタック日本語教師・フリーランスのえいこさんのマガジンです。業界を超えて、日本語教育がつなぐ世界について書いていきます。

  • 実習生のストーリー

    • 26本

    日本で実習生として働いています。日本の生活や経験したこと、学校で勉強していないこと、忘れられないこと、ホラー体験、お金持ちになる方法、日本人に知ってもらいたいことなどを書きます。

  • 山の日本語学校物語

    とある町に開校した「山の日本語学校(仮名)」の物語です。ITエンジニアの専門日本語教育、PBL(Project-Based Learning)を取り入れたカリキュラム、地域との連携などなど、新たな言語教育の実践とその可能性について当時の記録をもとに綴っていきます。

最近の記事

登録日本語教員の国家資格は必要か? ー日本語教師のキャリア戦略を考える

今回は、登録日本語教員について考えてみたいと思います。 2024年8月1日から、登録日本語教員になるための必須条件である「日本語教員試験」の願書の受付が始まりました。登録日本語教員として、登録を目指すのであれば、試験の免除対象者であってもなくても、全員、願書を提出しなければなりません。 「日本語教員試験」については、さまざまな情報が飛び交っているため、一次情報である文科省のサイトの資料を確認してください。 令和6年度日本語教員試験 👆のサイトから、日本語教員試験の出願が

    • 経験学習において具体と抽象を行き来する意味 〜セミナーからの気づき

      7月6日に奥多摩で行われた👇のセミナーが無事終了しました。 近くは地元から、遠くは、仙台、インドネシアから奥多摩までいらしていただき、また、オンラインでも多くの参加があり、非常に中身の濃いセミナーになりました。今回のnoteでは、セミナーでのやりとりを通して、気づいたこと、考えたことをまとめてみたいと思います。 セミナーでは、「山の日本語学校」の学習環境デザインを行う際、大切にしている私の学習観ということで、はじめに「越境学習」と「経験学習」についてお話ししましたが、今回

      • ボブ・マーリーと日本語教育〜衝動駆動のキャリア論

        先日、映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE」を見てきました。 これまで、ずっと閉じっぱなしにしていたドアを、久しぶりに全開にした、そんな感覚を得ました。 低音がずしんと腹に響くあの映画館の音響で、ボブ・マーリーが聴けるのは、それだけでテンションが上がります。 今回は、ふつふつと湧いてくるいろんな感情が冷めないうちに、ボブ・マーリーから出発した私のキャリアについて(なんじゃそりゃ)語ってみたいと思います。 日本語教育との出会い私がボブ・マーリーと出会ったのは、はるか昔

        • 【ブックレビュー】『日本語学習は本当に必要か』〜就労の日本語について考える(その②)

          前回の記事では、以下の書籍を元に「就労の日本語学習」について考えてみました。 村田晶子・神吉宇一編著(2024)『日本語学習は本当に必要かー多様な現場の葛藤とことばの教育』明石書店 👇が前回の記事ですが、長くなってしまったので、今回はその続編です。 前回記事を改めて読み返し、内容をまとめると、以下の2点が言いたかったのではないかと思います。 「就労の日本語学習」では、業務に必要な日本語を理解するための日本語学習が中心となっていて、相互のやりとりを中心とした言語活動の経

        登録日本語教員の国家資格は必要か? ー日本語教師のキャリア戦略を考える

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        • #言語教育を考えるヒント
          52本
        • #書評
          16本
        • 【連載】越境する日本語教育
          13本
        • 実習生のストーリー
          26本
        • 山の日本語学校物語
          40本
          ¥1,000
        • VOICEにほんごプロジェクト編集室
          10本

        記事

          【ブックレビュー】 『日本語学習は本当に必要か』 〜就労の日本語について考える(その①)

          2024年6月14日「育成就労制度」が、参議院で可決、成立し、3年後の2027年までに施行されることになりそうです。この制度が施行されると、今までより就労分野での日本語教育の重要性が増してきます。そこで、今回は、今後の就労分野の日本語教育のあり方について考えてみることにしました。 今回は、以下の書籍を元に考えてみます。 村田晶子・神吉宇一編著(2024)『日本語学習は本当に必要かー多様な現場の葛藤とことばの教育』明石書店 なかなか刺激的なタイトルです。 「日本語学習は

          【ブックレビュー】 『日本語学習は本当に必要か』 〜就労の日本語について考える(その①)

          「日本語教育の参照枠」に基づいた教育課程編成の際に陥りやすい問題点を改めて考えてみる

          今回の記事は、西口光一先生のYouTube動画をもとに「日本語教育の参照枠」に基づいた教育課程を編成する際、陥りがちな問題点について考えたことをまとめてみたいと思います。 今回参考にしたのは、日本語教育学会から出されている「日本語教育の参照枠とCEFR」シリーズ1回目のYouTubeです。 NKG TV シリーズ 「日本語教育の参照枠とCEFR」 第1回 日本語教育の参照枠をめぐる動きと課題 西口光一氏(大阪大学名誉教授、広島大学森戸国際高等教育学院特任教授) 今回取り

          「日本語教育の参照枠」に基づいた教育課程編成の際に陥りやすい問題点を改めて考えてみる

          【セミナーのお知らせ】日本語教育の未来を創る:PBLから学習環境デザインのあり方を探る

          いつもnoteをお読みいただきありがとうございます! 今回は、セミナーのご案内です。 2024年7月6日(土)に、「山の日本語学校」のあった奥多摩で、セミナーを行うことにしました。「日本語教育の未来を創る:PBLから学習環境デザインのあり方を探る」というテーマで、これからの日本語教育のあり方を参加者のみなさんと一緒に探求したいと思います。 今回のセミナーは、奥多摩まで行くのは難しいという方のために、ハイブリッドで開催することにしました。 セミナーでしたいこと私は、20

          【セミナーのお知らせ】日本語教育の未来を創る:PBLから学習環境デザインのあり方を探る

          コース設計のプロセスを知る ー『Can-doで教える』 ブックレビュー

          今回は、最近読んだ『Can-doで教える 課題遂行型の日本語教育』のブックレビューです。 来嶋洋美・八田直美・二瓶知子(2024)『Can-doで教える 課題遂行型の日本語教育』三修社 「日本語教育機関認定法」が施行され、日本語教育機関では「日本語教育の参照枠」に沿った教育課程の編成が求められています。Can-doという言葉もよく聞くようになりました。これまで、文型積み上げ式が主流だった授業から、大きな変革が必要になっています。 といっても、具体的にどうすればいいのかわ

          コース設計のプロセスを知る ー『Can-doで教える』 ブックレビュー

          「移民」の解像度を上げる 〜『移民をどう考えるか』ブックレビュー

          今回は、「移民」について考えてみたいと思います。 先日、某国の大統領が、「なぜ日本は問題を抱えているのか。それは彼らが外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」と発言したことがニュースになりました。 日本には、現在、3,223,858人(2023年6月末:出入国在留管理庁統計より)の外国人が住んでいます。これほどの外国人が暮らしているにもかかわらず、なぜ「外国人嫌い」と認識されてしまうのか、なんだかしっくりこなかったので、今回は、このニュースのキーワードとなる「移民」について

          「移民」の解像度を上げる 〜『移民をどう考えるか』ブックレビュー

          「日本語教師」の解像度を上げてみる 〜国家資格が一人歩きしないために

          「日本語教育機関認定法」が4月1日に施行されたのに伴って、日本語教育業界では、新しい動きが始まっています。前回記事では、4月1日からの動きをまとめました。 「登録日本語教員」という国家資格もいよいよスタートします。(といっても、実際に登録が始まるのは、2024年11月以降の予定です)この国家資格化に合わせて、「日本語教師」の国家資格を取りたいという声も聞かれるようになりました。Facebook等でも、日本語教師養成講座の広告をよく見るようになりました。 「登録日本語教員」

          「日本語教師」の解像度を上げてみる 〜国家資格が一人歩きしないために

          「日本語教育機関認定法」施行に伴う情報まとめ

          4月1日に「日本語教育機関認定法」が施行され、もろもろが本格的に動き始めました。今回は、関連する主な動きを自分の備忘録も兼ねて、簡単にまとめておきたいと思います。 日本語教育の位置付けこれまで日本語教育関連の業務を担っていたのは、「文化庁国語課」でしたが、「文部科学省総合教育政策局」の下に、「日本語教育課」が新設されました。 これまで、文化庁国語課の下に位置付けられていたことを考えると、ものすごい格上げです。 これに伴い、日本語教育関連の資料が「文部科学省」に移管されま

          「日本語教育機関認定法」施行に伴う情報まとめ

          「書く」ことをどのように扱うのか 〜「日本語教育の参照枠」の検討課題から考える

          今日は、「書く」ことについて考えてみたいと思います。 前々回の記事では、今後必要とされるコミュニケーションについて少し触れました。そこでは、日本語教育機関の可能性として、「仲介(mediation)」という概念に注目するべきだということを書いています。 この「仲介」という概念は、「文化審議会国語分科会日本語教育小委員会」(2024年2月22日)で提供された資料2の中で説明されています。 『「日本語教育の参照枠」の見直しのために検討すべき課題について ーヨーロッパ言語共通

          「書く」ことをどのように扱うのか 〜「日本語教育の参照枠」の検討課題から考える

          個人のキャリアをどう捉えるのか 〜「送り出し機関」が行う日本語教育の可能性から考える

          インドネシアに行ってきました。 インドネシアを訪れたのは、10年ぶりだったのですが、この10年間の発展には目覚ましいものがあります。特に首都のジャカルタは、高層ビルや高速道路、ショッピングモールなどがどんどん新設され、経済的な勢いも感じました。普段、高齢者の多い山の中に住んでいることもあって、まず、若者の多い都市の活気に圧倒されました。 今回の訪尼の目的は、送り出し機関が行っている日本語教育やトレーニングの様子を見せていただくことでしたが、日本語教育のあり方も、ずいぶん進

          個人のキャリアをどう捉えるのか 〜「送り出し機関」が行う日本語教育の可能性から考える

          日本語教育機関が「教育機関」へ転換するとは?

          今回は、日本語教育機関が、「教育機関」に転換するとはどういうことかを考えてみたいと思います。 日本語教育業界は、今、大きな転換期を迎えています。4月1日にいよいよ「日本語教育機関認定法」が施行されます。この法律の施行に伴い、これまで、法務省から認可を受けていた「日本語教育機関」が文科省の認可を受けるようになります。5年間という移行期間はありますが、「日本語教育機関」は、文科省から出されている指針に従って「教育課程」を編成し直し、新たに認可を受けることが求められます。 法務

          日本語教育機関が「教育機関」へ転換するとは?

          オンライン学習の効果 〜自主的な学習をどのように担保するのか

          今回は、「オンライン学習の効果」について考えてみたいと思います。 前回は、2024年3月5日に、総務省から公開された報告書をもとに、地域日本語教育の地域格差を解消するために何が必要か考えたことを書きました。 この報告書では、日本語教育の推進のために必要な措置として、「オンライン学習」を推進することが報告されています。前回は、この点について詳しく触れることができなかったため、今回は、「オンライン学習の効果」について書いてみたいと思います。 日本人の自主学習の実態まず、この

          オンライン学習の効果 〜自主的な学習をどのように担保するのか

          日本語教育の地域格差を解消するために必要なこととは?〜総務省の実態調査をもとに考えた

          今回は、総務省より出された「地域における日本語教育」の実態調査結果を読んで考えたことをまとめてみたいと思います。 今回の資料は、2024年3月5日に総務省から公開された以下の報告書です。 外国人の日本語教育に関する実態調査 ―地域における日本語教育を中心として―(結果報告書) 2019年6月に施行された「日本語教育の推進に関する法律」に基づき、2020年6月には「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」が策定されました。日本語教育推進

          日本語教育の地域格差を解消するために必要なこととは?〜総務省の実態調査をもとに考えた