【軽貨物】運転席で泣いて#02_UNCONTROLLABLE-制御不能(後編)

▼概要

閲覧頂き誠にありがとうございます。
ドラトーク運営、note担当：濱田 崇裕（ハマダ タカヒロ）でございます。

今回の記事は、運送業におけるドライバーの「体験談」に関する発信でございます。

この「運転席で泣いて」というコーナーでは、我々の想定を遥かに超えるクレームを量産してきた配送ドライバー達を紹介していきます。

今回の記事は、以下の記事の続きとなっております。
先に以下記事をお読み頂いた方が本記事をお楽しみ頂けるかと存じますので、是非一度お読み下さいませ。

【軽貨物】運転席で泣いて#02_UNCOTROLLABLE-制御不能(前編)
https://note.com/drtalk_official/n/nf9dbe68b5b37/edit

尚、「運転席で泣いて」というコーナーでは、読者様に誤解を抱かせないために本コーナーの趣旨を記載した記事を公開しております。
以下記事の「▼本コーナーをお読みになる前に」という見出しは、必ずお読み頂きたく存じます。

【軽貨物】運転席で泣いて#01_徘徊ダイナソー(序章)
https://note.com/drtalk_official/n/nb12591386c1c/edit

それでは、後編をお楽しみ下さいませ。

【PR】ドラトークの詳細・インストールはこちら！

▼研修3日目

さて、研修3日目になりますね。
ちなみに、朝の挨拶時点で何故かやつれており、「昨日は飯を食ベてないので...」と仰っていました。
研修2日目にサボってまで賭けた競馬には、負けたということだけはわかりました。

この研修三日目は、彼の運命を決定づける日でしたね。

おさらいですが、彼の情報は以下です！
・コードネーム：競馬ん（けいばん）
・年齢：50代後半
・業務内容：鮮魚などの水産物の配送
・特徴：すぐにサボる、じっと出来ない、全然話を聞かない
・好きな競馬新聞：日刊競馬
・備考：自分の都合でしか動かない、荷物を大切に扱わない

研修3日目は、貨物量が多く、納品の手間の掛かるものも多かったのです。

鮮魚を配送する際に泳いでいる状態で飲食店様へ納品することがございます。
この泳ぎの状態の鮮魚が、研修3日目は私の配送コースに2匹いました。
この泳ぎの鮮魚はとても容積が大きい発泡スチロールに海水をパンパンに張り、ポンプを付けて梱包されているため、めちゃくちゃ重く納品も手間がかかるのです。

本日は私が横乗りをし、彼の配送マナーの研修をすることになっていたため、彼には泳ぎの魚を扱ってもらうことになりました。
上記の泳ぎの鮮魚2匹を二つ積むと重量で包材が割れる可能性があるため、彼の軽バンまで必ず一つずつ丁寧に台車で運ぶように指示しました。
彼は相変わらず良い返事で、「はいっ！！！！」と発言し、作業に取り掛かりました。

すると、彼の居る後方で、「ズガアアアアン！」という効果音が響き渡りました。
「のかこらぁぁぁ！！」といった奇声を上げながら、台車にぶん投げるような形で乗せるのです。
流石の私も参りました。
全く言うことを聞いてないのです。

「さっき言うたばっかやのに、全然聞いてへんやん！」
「返事に全てのステータスを吸い取られたんかこの人は...」
そんなことを思いながら、走って彼に駆け寄り、注意しました。

以下のように注意し、彼に丁寧に言い聞かせました。
・「競馬んさん、丁寧に扱って下さいと伝えましたよね？」
・「わかってますか？その発泡スチロールが割れたら、中の魚が死んでしまって弁償になりますよ？」
・「重くて運べないなら手伝うので声を掛けてください、まだ研修期間である以上はいくら経験者でも必ず指示は聞いて下さい。」

すると彼は安定の「やってもうたぁ....しもたぁ...」という顔をしながら、彼なりの弁明を展開し始めました。
取り急ぎ、出荷時間も近づいてきているので、「次は本当に気をつけて下さいね」とお伝えをし、引き続き作業に戻って頂きました。

一瞬、荷主さんと納品で話をしていると、また後方で「ドゴォ！！」という鈍い大きな音が聞こえてきます。
それに伴って、「ああああああ！！！」という阿鼻驚嘆が聞こえてきました。

そうです、彼です。
「競馬ん」さんの嘆きの声ですね。
急いでまた駆けつけると、とんでもない光景が広まっていました。

泳ぎの発泡を台車に縦積みで二つ乗せているのです。
しかも、縦積みをした上の方の発泡に思いっきり亀裂が入り、水が凄い速度で漏れ出しているのです。
中には鯛が泳いでいるのですが、鯛が割れた包材の中で暴れ倒しています。
生きたまま運んでいるので、ビッタンビッタン暴れています。
死力を尽くして生きようと、鯛が足掻いているのです。

そんな鯛を「あああああ...」と嘆きながら鯛を見つめる彼。
何故か割れた包材から漏れ出す海水をその身に浴び続けている彼。
そんな彼を思いっきり叱りつける私。
急ぎで代わりの鯛を持ってくる荷主様。

当然、あれだけ暴れ回っていた鯛は、ぐでーんとしていました。
あんだけ元気やったのに...鯛...無念やなぁ...

まさか鯛も、こんな生命を脅かされ方は想定していなかったでしょう。
なんとか荷主様には必死に謝り倒し、新しい泳ぎの鯛を用意して頂き、事態を納めることができました。

彼には「荷物は絶対に丁寧に扱うように」と重々指導しました。
というか、流石に叱りましたね。
「次、荷物投げたら業務委託契約を解除しますからね！」と。
いや、人に対して怒るのは十数年ぶりなんじゃないでしょうか。

「申し訳ございませんでした！！！！」
「この競馬ん、天地神明に誓って荷物を投げません！丁寧に扱います！」
「この競馬ん」・「天地神明」とかなんか言い方が腹立つなぁとか、相変わらず返事だけは超一流やなぁとか思いましたが、流石に彼も応えたようなのでその日を終えることにしました。

▼研修最終日

さて、研修最終日となりました。
昨日は散々なことがございましたが、心機一転で彼が独り立ちできるようにという思いで、研修を開始しました。

しかし、流石は「競馬ん」、彼に対する評価を下方修正したにも関わらず、遥かに想定を超えてきました。
開幕オープンで既に梱包が終えられている発泡スチロール2箱を、「よっ！！」と言いながら配送車にぶん投げていました。

ぶん投げられた荷物は、それはそれは美しい弧を描き、競馬んの軽バンに一回バウンドして着地しました。
「ちょっと狙ってたポイントからズレたなぁ…」みたいな不満な顔をしていたのも、彼の底の知れなさを色濃く表現して下さってますね。
取り急ぎ、この光景を拝見した私は「ああ…やはりこの人は…」と思いながら彼の業務委託契約の解除の旨を告げました。

こうして、私と彼の刺激的な日々が終焉を迎えました。
本当に...終わりとはあっけないものですね。

とりあえず絶対に放置できないこととしては、先日の誓いですね。
「この競馬ん、天地神明に誓って荷物を投げません！丁寧に扱います！」という発言は、一体なんだったのでしょうか。
彼は、一体何に誓ったのでしょうか。
今思うと、壮大なフリだったとしか思えません。
まるで上質なお笑い芸人のコントを共に演じた気分です。

てか、「この競馬ん」って言い方なんやねん、武士やんw
自分のことを「この競馬ん」って言い方せんやろ、現代人はw
ちょいちょいオモロいのを挟んでくんなやw
あと、人の話全然聞かへんのに、「天地神明」とか難しい四字熟語をよぉ知っとんなw

彼は良い意味でも悪い意味でも度胸・勇気があり、何よりも途轍もない火力を持ったギャグを時折かましてくれるので、倍以上年齢が離れた方に対して恐れ多いのですが、私個人的には大変ポテンシャルを感じておりました。

ただ、いかんせん制御不能過ぎるために、断腸の思いで業務委託契約を解除せざるを得ませんでしたね…

寧ろ、今振り返ると、我々は彼を持て余していたのかもしれません。
「彼は弊社で収まるような器ではなかった」ということだったのかもしれません。
誠に、我々の力量不足を痛感させられた限りでございます。
現在、彼がどこで何をしているかは不明ですが、きっと新天地ではご活躍されていることでしょう。

▼さいごに

今回の記事はいかがでしたでしょうか？

紹介したような事態に陥らないためにも、研修には真面目に取り組み、現場責任者の指示はしっかりと受け止め、貨物は大切に扱いましょうね。

本記事が配送ドライバーの皆様にとってのお楽しみとなり、お役に立たてたのであれば幸いでございます。

ドラトークでは、もっと面白い投稿やお役立ち情報が掲載されておりますので、一度利用してみて下さい。

皆様と一緒に軽貨物運送業界を盛り上げて、ドライバーに就業される方の幸福度を上げていきたく存じますので、応援を何卒宜しくお願い申し上げます。

今回は以上となります。
閲覧頂きありがとうございました。

【PR】ドラトークの詳細・インストールはこちら！

-----------------
▽ドラトーク 運営
・Twitter：https://twitter.com/drtalk_official
・公式LINE：https://lin.ee/LRIhE0C
・運営企業：株式会社canuu（カヌー）
・企業HP：https://canuu.jp/
・担当：濱田 崇裕（ハマダ タカヒロ）
・法人問合せ：takahiro.hamada@canuu.jp
-----------------