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ギャンブルがいかに無駄で無為で非生産的で無益で勿体なくて下らなくて不毛で愚かで儚くて虚しくて不経済的であるかについての僕の省みと嘆きと戒め

教わって2か月、まだパチスロのパの字も知らないような青い青いギャンブラーの僕だが、昨日まであったギャンブル熱に、たった今突如として、しかし確かにサッと血の気が引くような冷めと飽きと下らなさが湧いてきたので、本記事ではタイトル通り

パチスロもといギャンブルが、いかに無駄で無為で非生産的で無益で勿体なくて下らなくて不毛で愚かで儚くて虚しくて不経済的であるかについて述べると共に、そしてその見せかけの享楽に一時でも身を投じていた僕自身に対する痛罵と嘲笑を、他ならぬ僕が他ならぬ僕自身の為に浴びせ掛け、昨日までの僕がどれだけ怠惰でバカでアホで世界一救いのない大マヌケであったのかについて述べていこうと思う。それを見て情けのない人間だと苦く笑っていただければ幸いである。

■ここが無益:時間と金銭感覚が少しずつ狂っていく哀しみ

僕が興じていたのはとりわけスロット、ギャンブラーなら誰もが一度は嗜むであろうジャグラーという機種であった。レートは「20スロ」、1000円でだいたいメダル46枚(=1枚約20円)と交換して遊べるというもの。

目押し(特定の絵柄を狙って止める)は基本不要。ただただリールを回し続けていると、200分の1くらいでピカッとマークが光り出し、ボーナスゲーム。ボーナス次第で約2000円or6000円分のメダルを獲得し、それを元手にどんどんメダルを増やしていく、というのが基本的な遊び方になる。

ところがこの46枚、ほとんどは1分で消える。そしてほとんどの人間は、一瞬でお金が消えていくことに始めは恐怖する。そこで辞められればどれだけ敏い人間であろうか。

しかし不幸にも当たることを覚えてしまうとOWARI NO HAJIMARIである。

あと〇円で勝てる、あと〇円分取り返さないといけない、の底のない沼に嵌まり、より多く、より多く、より多く、より多く、お金を溶かしていく。光が見たい。光が灯る度にジワッ…と頭が少しずつおかしくなっていく

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その光は、形容しがたいカタルシスと甘美さと憧憬とが入り混じった色を放っている。見てしまったが最後、もう引き返せない

そうなれば「どうやったら勝てるか」「どうやったら負けを減らせるか」という思考プロセスに移るのは至極当然である。

のめり込みの結果として、ギャンブルへの投資が増えるほどギャンブルのことを考える時間が増え、ギャンブルのことを考えるほど、ギャンブルへの投資が増えていく。できたはずの事が、使えたはずのお金と時間が、じわじわとしかし確実に減っていく。自分の中の「この位ならいいか」のハードルが良くない方向へと下がっていく

これに気付くのに2か月もかかった。

であるからして、僕は救いようのないバカである。僕はギャンブルで遊んでいたつもりだったが、どうやらギャンブルにいいように弄ばれていただけのようである。

長い時間を掛け続け、だらだらと賭け続ける。有り金を溶かすという結末にだけ注目するなら、ドブに直接お金を捨てるほうが冗談抜きでよっぽど有意義である。ギャンブルとはそれほど愚かな行為であり、僕という人間はそれほど愚かな人間である。

期待値的にもっとも損をしないギャンブルの遊び方は、そもそもギャンブルをしないことである。

しかし、お金と時間、両方を無駄にしてしまうことは何もギャンブルに限ったことではない。ではギャンブルの真のヤバさとは一体。


■ここが無益:精神衛生上非常によろしくないという嘆き

一人で打っているだけならまだいい。しかし実際は、不特定多数の人間が列を成し、黙々と打ち続けている。これがヤバい。

無意識のうちに当たっている人を憎たらしく思ってしまうし、反対に僕が当てているときは何の根拠もないのに周りより偉い人間に一瞬なった気がして終いには見下し始める。しかし、その喜怒哀楽を声に出して吐き出すことができないというジレンマ。

これらが組み合わさることで、最後には「僕が負けている時に勝っている人間は、負けている僕の事を見下している」というあるはずのない稚拙で短絡的な心象投影の方程式が自分の内に見出され、その衝動が架空の敵を作り出し、その敵を打ち破るために、また絶え間ない時間とお金の投資へと走らせるのである。

つまりなにがヤバいかと言うと、ギャンブルによって、本来なら感じる必要のない異常な感情の揺れ動きが起きてしまい、精神の安寧秩序を正常に保てなくなるのがもうホントにヤバくて愚の骨頂なのである。

大当たりの高揚感はまやかしに過ぎない(大当たりも結局次の資金に吸われる)のに、もう次はそれより大きい当たりでないと満足できなくなる。それなのに、大負けの喪失感は本物なのである。どちらの結果に行きつくとしても、激しい感情の起伏が、気付かぬうちにしかし確実に心を擦り減らしてゆくことはもはや自明である。

であるからして、僕は救いようのないバカでアホでマヌケである。そして先ほどと異なり、この僕=バカアホマヌケの方程式は正しい。


■ギャンブルから何か得られたものがあるとするなら

・僕はバカでアホでマヌケで運のない人間である、という自己分析

一部の人間は大なり小なり「周りとは違う」だとか「自分だけは正解」というなーーーーーーんの根拠もない、勇気を紙一重で誤解した視野狭窄と都合のいいバイアスに陥っているのだが、漏れなく僕もそちら側の人間であったようだ。

この揺るがない事実に、たかが万札数枚と数か月で気付くことができたのであれば、痛いが良い勉強代であったと考えたい。何か大事な判断を下すとき、自分がバカであるという材料は正確な客観的思考を助けてくれるだろう。勇気と無謀さを履き違えることもなくなるだろう。

・自分の理性の弱さ、欲望の強さ、引き際の悪さの理解

「自分が望むようなビジョンは大抵描けない」「波に乗っている時が一番危ない」ということである。これはネガティブに生きるとか後ろ向きな考えを持つとかそういう訳ではなく、

身の程を知っていれば、自分がどんな人間か分かっていれば、不確実性が伴うような出来事に遭遇した時に誤った選択をしなくなるし、より思慮深く生きることができるようになる(はず)というむしろポジティブな自己批判なのである。

ギャンブルには負けたが流石に自分自身には勝てるようにしないとマズいので、世界一マヌケな僕から学んで、世界で二番目にマヌケな僕くらいには成長できたらいいと思う。

・人間性を失くすな

お金と時間を失くすだけなら良いが、擦り減った人格を取り返すためには恐らくそれ以上の労力を要する。スロットの機械とにらめっこし続けている時のような無機質さで人と接するようになった時には人生お終いである。

そして、この記事ではギリギリ「お金」と言えているが、とうとう言葉遣いが「カネ」と言ってしまう位のレベルの低さになっても人生お終いである。

マザー・テレサの言葉を借りるなら、言葉や行動はいつか運命になる。ギャンブルで人生の一切を捻じ曲げられるなんてたまったものではない。せめて、人間らしくである。

・快楽との距離感

美味しい食べ物の大半は体に悪く、心地よい睡眠の多くは寝てはいけない場面で訪れ、快楽には大抵、後ろめたさが付き纏う。

快楽それ自体を得ようとすることは悪い事ではなく、その行き過ぎが罰せられるべきなのである。一時の快楽の追求がどんな結果をもたらすかは想像に難くなく、それによって自分を律するべきだと考えた。

あと、これは意見なのだが、機体に書いてある「スロットは適度に楽しむ遊びです。」という文字のサイズは早急になんとかすべきである。なぜなら、あんな小さい文字で書かれたところでギャンブラーが賭け事を辞めるはずが絶対になく、なんの足止めにもなっていないからである。


■どうしても気になるアナタへ

まず、一ヵ月の可処分所得を算出します。算出できたら、予定ごとに対応した大まかな予算を割り振っていき、最後に余った分を更に半分にした額が5000円以下である場合のみ遊びに行きましょう。

当たらなかった→当たらなくて正解です。おめでとうございます。いかにギャンブルが下らないか、どれだけお金が大切なものか分かったと思います。ギャンブルは危なく、それに気付けたあなたは素晴らしく、美しいです。

当たった→お疲れさまでした。あなたがそれで稼いだお金は、多かれ少なかれ先ほどまでのあなたの価値観を歪めてしまいました。得られた快楽は酷く淀んでおり、もう手遅れです。早急にメンタルクリニックの受診をおススメします。

ということで、ギャンブルは嫌いだけど一回だけ行ってみたいというアナタは、多分そのまま行かないほうが良いです。「どんな世界なんだろう?」というその疑問を一生持ち続けて、清く正しく生きる方がよっぽど身の為です。


■あとがき&僕という愚かな自分自身と向き合って生きていく

ということで、ビギナーズラックなんてものも実力も持ち合わせていない僕でしたがそのおかげで多くの良くも悪くも気付きを得ることができました。

僕は、この酷く欲望に忠実な僕自身をどうにかして手懐け、愚かな自分自身と向き合って生きていこうと思います。

ビスマルクの「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」が示すように、自分で痛い目を見ないと分からなかった愚者である僕を他山の石として、皆さんはどうか皆さん自身のために僕の事を軽蔑し、嘲笑ってください。他者の失敗経験から学び取る賢者になって下さい。

ギャンブルは無駄で無為で非生産的で無益で勿体なくて下らなくて不毛で愚かで儚くて虚しくて不経済的な行為です。

だから、もう二度と賭け事はしません。賭けてもいいよ~!

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おしまい


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