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曇戸晴維@Daily Narratives Writer
2023年1月31日 03:51
お義姉さんと、観光の予定の調整をしていく。 二人とも史跡にはあまり興味ないみたいだから、食べ歩き中心に、思い出に残るように写真映えするようなスポットを多めにした。「ここ、行ったことある?」 友達から勧められて行ってみたいと見せられたのは、最近、若い子に流行っている通販のアンテナショップみたいなものだった。 わたしは若い子向けなのかなあって思い込んでたから、ちょっとだけ気後れして使った
2023年1月31日 03:49
一人っ子のわたしは、兄弟姉妹というものに憧れを抱いていた。 だって、周りの仲の良い友人たちにはみんな、兄弟姉妹がいて、甘えたり甘えられたり、ケンカしたり。 私の両親は共働きで忙しい人たちだったから、物心ついた時には、ひとりでお風呂、ひとりでごはん、ひとりでテレビ。 まあ、慣れっこだったけど。 そんなだから、私は友人たちの話に、いいなあ、と思っていたものだ。 わたしの夫にはお姉さんがい
2023年1月27日 01:23
「ただいま。」「こんにちはー。」「お邪魔します!」 思い思いの言葉を言いながら玄関を抜ける。 商店街をなんだかんだとゆっくり回っていたら、遅くなってしまった。「いらっしゃい。お義姉さん、ケイタくん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」「明けましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします。ほんと、新年からお世話になります。」「お義姉さんもたまに
2023年1月27日 01:22
あれは、暑い夏の日だった。 先に眠りについた妻を撫でていた手を、そっと退けて、いそいそとリビングへ行く。 煙草、携帯灰皿、スマートフォン、家の鍵、小銭、と、ひとつひとつ確認するようにポケットに詰めていく。 サンダルを履きながら、下駄箱の上に置いた携帯用の虫除け器具を持ち、玄関を出た。 夕立のせいか、マンションの廊下は湿度が高く、まとわりつくような空気が充満している。 マンションを
2023年1月27日 01:20
師走、とはよく言ったもので、私は誰の師になったつもりもないが仕事に生活と東奔西走し、あっ、と言う間にクリスマス、大晦日、正月が過ぎ去っていく。 妻との結婚生活も六年目を迎え、都合五回も一連のイベントを共に過ごせば、それは穏やかな日常に変わる。 一年の区切りを日常の連続だと認識できるようになったのは、いくつの頃だったろうか。 流れる時間はとても愛しい、平和な日常。 一月、季節は冬、真っ只中
2023年1月21日 21:00
翌日、土曜日だというのに出勤してから、連絡先も交換していないことに気付いた。 わざわざ友人に連絡して、高橋くんだかなんだか経由で聞き出すのも、なんだか億劫で、そんな具合だから彼氏のひとつもできないんだ、とか、その程度なんだから大して気になってないんだ、とか、色々考えたけど、とにかくあの晩から妙にスッキリしていて、それこそ憑き物が落ちたかのようにニコニコ笑顔で毎日が楽しい日々を送った。 彼
2023年1月21日 08:27
昔から、よく眠る子だった。らしい。 赤ちゃんのときも、夜泣きもほとんどせずにお腹が空いたときだけ泣くばかりで、あまりにもよく眠る。 死んだように眠る私を心配して、母や祖父が様子見で抱き起こしては大泣きされた、とは祖母の談。 中学生になるまでは夜九時には布団の中。 高校生――少し荒れていたあの頃でさえ、日を跨ぐまで起きていたことなんて、一度もない。 十時間は睡眠を取らないと満足できなくて
2023年1月19日 08:12
喫煙者には肩身の狭い時代になった。 健康増進法やら税の話やら、難しいことはよくわからないが、兎にも角にも昔のようにどこかしこで吸えるような時代は終わった。 町のタバコ屋は消え果て、コンビニでは電子タバコに切り替えろとうっとおしいくらいにキャンペーンが目に入る。 簡易的な喫煙所は消え果て、喫煙できる喫茶店や居酒屋を探すのも一苦労であり、換気を重視して作られた新しい喫煙所も、ニコチンとタールを
2023年1月19日 19:32
妻は、素晴らしい人だ。 よくある出会いで、友人の結婚式に新婦側の友人として来ていた彼女と二次会で意気投合して、連絡先を交換して、といったものだった。 飄々としていて、人の評価などどこ吹く風で、はっきりとした態度や物言いでバリバリと仕事やプライベートをこなしていく人だ。 しかし、付き合ってみると一転、拗ねたり甘えたり、急にくっついてみたり、近づこうとしなかったり。 どんなときでも、言いづ