ドンハマ★

えほん未来ラボ(えみラボ)の代表です。絵本コミュニティを立ち上げて約8年。現在は「あり…

ドンハマ★

えほん未来ラボ(えみラボ)の代表です。絵本コミュニティを立ち上げて約8年。現在は「ありたい未来を絵本でソーシャルデザインする」という思いで、絵本を媒介に、社会や暮らしの新しい在り方を提案することが自分のミッションと考えています。https://ehonmirai-lab.org/

最近の記事

絵本は、対話型書物である~その効果的な問いについて~

絵本は、ひとり黙読することを前提として作られてはいない。あくまで、誰かが誰かに(例えば親が子に)、読んであげることを前提に作られているという考え方がある。絵本の活動をやりはじめて、この話を聞いたとき、思わずうなるくらい合点がいった。なるほど、だからよみきかせし、実際に声に出し、相手に聞いてもらうことで、その絵本の世界が広がって感じられるのだと。 絵本を使って、場作りをしているドンハマ★にとっては、そこに複数の人間が存在するということは、相互の対話が成り立つと言ってもいいだろ

    • 20XX年、不登校がなくなる日

      世界規模でSDGsの理念や実践が広がっている。20XX年、行き過ぎた経済格差と分断に辟易した人類が、ポスト資本主義社会を希求するようになり、サーキュラーエコノミーを軸にした技術革新によって、長年危惧されてきた地球温暖化や自然破壊、資源の枯渇化に一定の歯止めが掛かっていることが、この数年の地質調査や気象学の解析からわかってきた。 日本では、絶滅危惧が懸念されていた動植物(レッドリスト)は増加の一途をたどり、2020年代にはその数約4000種までに昇っていた。その後一部は、絶滅

      • FUTOKO(不登校)

        気付くと 一頭のトンボが 運転席側の窓のパッキンにつかまっていた クルマのスピードを少し上げると カラダを揺らしながら  そこにとどまろうとする さらにスピードを上げると いっそうカラダを震わせ ふんばっている 時速40㎞に逆らうその手足を離せば いとも簡単に自由の身となり 秋空に飛んで行けるだろうに  しかし 彼の恐怖心は それを許さない 私は アクセルをゆるめ そのカラダの揺れに合わせながら 車を進める 彼を 我が家にいる《孵化する前のサナギ》に 会わせたくなったの

        • 沁みる絵本

          2022年10月7日㈮ 丸善丸の内本店 滞在時間70分 14冊読了東京駅OAZOにある丸善丸の内本店。3階にある児童書コーナーに久しぶりに立ち寄りました。メンタルが平静だったころは、定期的に通って、新刊絵本をチェックしたものです。 入口のディスプレイには、酒井駒子さんの画集の展示があり、心が躍ります。これまでなら、とにかくたくさんの絵本が読みたい、一冊でも多く読みたいと気が焦りますが、今日は慌てない。チェックではなく、出会いが肝心なのです。 入り口あたりに置かれている店員

        絵本は、対話型書物である~その効果的な問いについて~

          絵本を広めるのは難しい

          Q)ドンハマ★さんは、絵本をいろんな大人に親しんでほしい、広めたいということですが、どうすれば良いとお感じですか? A)正直、これがなかなか難しいです。ボク自身は、何かのきっかけで絵本とズドーンと直接つながっちゃた。そうすると誰かを誘うとき「騙されたと思って、とりあえず1回、絵本のよみきかせ聞いてみて」的なアプローチになってしまうと思う。1回体験すればわかるからと…。 でもその人にとっては、その一歩がとてつもなく難しい一歩なのね。それに「1回体験して…」アプローチって、1

          絵本を広めるのは難しい

          エイプリルフールネタで幸せを

          毎年4月1日の数日前からそわそわする。今年はどんなウソをSNSで投稿するか、ひとりブレストが始まるのである。エイプリルフールにつくウソには、ボクの中に理想形があって、ホントかウソかが最後までよくわからないんだけど、なんかドキドキしてワクワクするというが一番良い。それは、上等な推理小説を読む感覚に近い。そして、最後は「だまされてあっぱれ!」と思ってもらえるのがサイコーなのである。読み手が幸せな気分になることは、何より大切なことなのだ。 ウソの物語を作ることは容易いけれど、そう

          エイプリルフールネタで幸せを

          メルマガ止めます

          えほん未来ラボ(えみラボ)として、かれこれ1年くらいメルマガ「えみラボの風fromドンハマ★」をやっていました。だいたい月1~2回くらいなので、こじんまりとした発信だったのですが、それを止めることにしました。 そもそも、自分の絵本の活動は、facebookを中心としたSNSが中心で、どうしても情報が届かない方々もいらして、その改善策として、メルマガを使っていました。対象者数は、500人程なので、大きくはないのですが、一定の割合で、メルマガからの反応もあることは、その時々で実

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          by your side #3 『パンを脳で食する』 

          我が家は、割とパン好きである。新しいパン屋さんを見つけるとバケットを買いたくなるし、自宅にはパン焼き器も置いてある。朝食は、基本パンである。 本屋さんに行っても『パン』を見つけることがある。絵本に出てくるパンである。子どものころ、「カラスのパンやさん」(かこさとし作・偕成社)にワクワクしたという方もおいでと思う。 思わずのどがゴクリ!となるようなリアルなパンの絵本もわりとあるものだ。代表格と言えば、彦坂木版工房の作品と言っても良いだろう。 絵本『パンどうぞ』(講談社)と

          by your side #3 『パンを脳で食する』 

          絵本と本の壁、再び。

          マーケットから見ていわずもがな、絵本も一般書も本である。書籍という大括りの中に児童書というジャンルがあって、その中に絵本というカテゴリーがある。児童書全体の約40%が絵本というデータがあるので、ひとつの集団を形成していると言える。 ちなみに出版不況が叫ばれて久しいが、その市場規模は、紙媒体だけに限れば、現在1兆2千億円で、最盛期の半分以下らしい。そのうち絵本の売上は今も微増していると言われてるものの、300億円強でマーケット規模が意外と小さい印象も持つ(児童書全体としては8

          絵本と本の壁、再び。

          絵本の原画を見たくなる気持ちと違和感

          前回に続いて、絵本の原画について考えてみたいと思う。今や、絵本の原画展は、美術館で開催される大掛かりのものから、作家さんの個展やグループ展としてギャラリーで開催されるもの、書店さんや図書館などが自身のギャラリースペースを使って開催するものまで、機会がとても増えている。 私が、絵本に興味を持ち出してまだ10年に至っていないが、この1〜2年の原画展の開催は数倍にもなっている感覚がある。これは私の原画展への感度が上がっている結果かもしれないのだが、日常的に至る所で開催されている印

          絵本の原画を見たくなる気持ちと違和感

          絵本は、原画の方が本当にすばらしいのか?

          おそらくボクはかなりの絵本好きである。だから絵本のもとになった原画を見ることは、秘密の宝物を見るようなワクワク感がある。(いや、以前は、あった。) 原画を見て思うことこれまで原画展に、そこそこ通って来たと思う。確かに、これが原画か!とその対面に感激することもあるが、多くは、特に何も感じないというか、普通だなぁと思うし、正直、絵本の方が魅力的で、原画がちょっと淋しく思ったことさえある。これが正直な感想だ。 原画サイズが視覚に与える影響とか、印刷技術の向上とか、いろんなファク

          絵本は、原画の方が本当にすばらしいのか?

          絵本好きには、おすすめしません。

          その絵本はね。オフィス街のビジネス書がいっぱい並んでいる本屋さんにあったんだよ。いつもの習性で、どんな本屋さんに入っても、つい絵本コーナーを探してしまう。場所がら、絵本コーナーと言えるかどうか、申し訳程度のスペースだったのだけど、その絵本はひときわ異彩を放っていたんだよ。 なになに? ももたろう? 誰だって知っている話だ。それにしても表紙は品がないのう~。登場人物たちが、へらへら笑いながら、よだれや鼻水をだら~っと垂らしている。なんじゃこれは!ウケ狙いの絵本かい! 「ガタ

          絵本好きには、おすすめしません。

          絵本と本の壁

          絵本にどっぷりハマって、もうそれなりの年数ですが、本屋さんの絵本コーナーに踏み込むときの戸惑いを以前は感じていました。一般書でそんなことはまったくないのですが、絵本コーナーの手前には、まるで壁があるかのようです。 壁の正体小学生の頃、百貨店やスーパーで、気がついたら目の前が女性の下着売り場だったとき、恥ずかしてその場を一刻も早く立ち去りたい気持ちに陥ったものです。 その壁の正体とは、その場に似つかわしくない・居てはならないという禁忌意識とも言えます。 誰に何を言われるわ

          絵本と本の壁

          by your side #2

          大人になって、絵本にハマって、約15年。 おそらく5,000冊位は読んでいて、 最近は、with COVID-19もあって、 自宅で独り読みすることも多い。 そして、ほっこりしたり、ほろっとしたり。 ああこんな時間が多くの人にあったらなぁと つくづく思う。 by your sideというのは、和訳すると 「あなたのそばに」という意味で、 絵本をそばに置くそんなライフスタイルを 提案したいという願いからつけた名前。 ときどき、そうやって絵本を紹介できたらなぁと思う。 『

          by your side #2

          by your side #1

          大人になって、絵本にハマって、約15年。おそらく5,000冊位は読んでいて、最近は、with COVID-19もあって、自宅で独り読みすることも多い。 そして、ほっこりしたり、ほろっとしたり。ああこんな時間が多くの人にあったらなぁとつくづく思う。 by your sideというのは、和訳すると「あなたのそばに」という意味で、絵本をそばに置くそんなライフスタイルを提案したいという願いからつけた名前。 ときどき、そうやって絵本を紹介できたらなぁと思う。 『たまごのはなし』

          by your side #1

          画「旅する絵本」ができるまで

          シンボリックな絵が欲しかった旅する絵本♡工房は、4月23日にオープンしましたが、そこにシンボリックな絵を飾ってみたいと思っていました。絵本作家の 長谷川集平さんにタブローの制作をお願いしたところ、快く受けてくださいました。 集平さんの作品を見る時、その絵の中で閉じて終わらない『問い』を読み手に投げ掛けてくる気がします。旅する絵本♡工房が、絵本の実験場という性格を持つ限りは、絵本という言葉から彷彿させるような「かわいらしさ」や「楽しさ」といった予定調和なイメージを崩す作品を期

          画「旅する絵本」ができるまで