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絵本と本の壁

絵本にどっぷりハマって、もうそれなりの年数ですが、本屋さんの絵本コーナーに踏み込むときの戸惑いを以前は感じていました。一般書でそんなことはまったくないのですが、絵本コーナーの手前には、まるで壁があるかのようです。

壁の正体

小学生の頃、百貨店やスーパーで、気がついたら目の前が女性の下着売り場だったとき、恥ずかしてその場を一刻も早く立ち去りたい気持ちに陥ったものです。

その壁の正体とは、その場に似つかわしくない・居てはならないという禁忌意識とも言えます。

誰に何を言われるわけでもないのに、他人の目が気になっているわけですね。“自意識過剰”と言ってしまえば、それまでなのですが、“絵本は子どものもので、成人男性が興味関心を持つのは恥ずかしい”という固定概念に囚われていたのでしょう。“親戚の子どもにあげる絵本を買いに来たんですよ〜”的な雰囲気を醸し出しながら、絵本を見ていたことさえありました。

もうそれは機会ロス

そういえば学生時代に、ほんの一瞬、絵本に興味を持ったことがあります。それはテレビの「日曜美術館」で新宮普さん作「いちご」が紹介されたときで、その世界観に興味を持ち、現物を見たさに当時、地元京都・河原町にあった駸々堂書店さんを覗いたことがあります。行きつけの本屋さんでしたので、店内のどのあたりに絵本コーナーがあるかはわかっていたのです。

赤い表紙がとてもインパクトのある絵本でしたので、それは比較的すぐに見つかったのですが、恥ずかしくて、中身をパラパラと見ただけで、“残念やけど思ったほどのインプレッションないわ〜”と自分を納得させ、その場をそそくさと立ち去った記憶があります。

もしあのとき絵本「いちご」にしっかり向き合っていたら、ドンハマ★の絵本デビューは、もっと早かったかもしれません。機会ロスしていますね。

それから30年以上を経て、今では、絵本に習慣的に触れるようになった私は、さすがに絵本コーナーでも自然体で過ごせるようにはなって来ましたが、それでもたまに気にすることがあります。

ジェンダー意識にも影響

先日、20代の男性と話をしていたときに、彼は、絵本には普段触れる機会はないとのことでしたが、私から「旅する絵本♡」のことを聴いているうちに絵本に興味を持ってくれたのです。ですが、やはり絵本を見に行くとなると「もじもじ感」がどうも出してしまうようでした。

以前、大人向けの絵本活動の中で、アンケート調査をしたことがあるのですが、そういう恥ずかしさを感じた経験のある人は、1割程度という回答でした。これは絵本への関心がすでにある人が回答者の中心と考えると、“絵本と本の壁”を感じる人はもう少し増えて、全体的に2〜3割くらいいるのではないかと思います。特に、男性にその意識が強いと思われますので、絵本に触れる機会を増やすことは、ジェンダー意識の変容にもつながるのではないかと期待します。

えほん未来ラボ(えみラボ)では、これまで絵本に触れる機会があまりなかった方にぜひ手に取ってほしいと思っています。ですので、私としても、この“絵本と本の壁”を超える試みにも近々チャレンジしたいと考えています。

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