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絵本は、原画の方が本当にすばらしいのか?

おそらくボクはかなりの絵本好きである。だから絵本のもとになった原画を見ることは、秘密の宝物を見るようなワクワク感がある。(いや、以前は、あった。)

原画を見て思うこと

これまで原画展に、そこそこ通って来たと思う。確かに、これが原画か!とその対面に感激することもあるが、多くは、特に何も感じないというか、普通だなぁと思うし、正直、絵本の方が魅力的で、原画がちょっと淋しく思ったことさえある。これが正直な感想だ。

原画サイズが視覚に与える影響とか、印刷技術の向上とか、いろんなファクターが絡んで来るとは思う。

一方、絵本好きな人の多くは「やっぱり原画はすばらしいですね〜」的なことをおっしゃることが多い気がする。それに対して「本当にそう思ってるのかなぁ〜」とか「そんなにすばらしいならぜひ見てみたいものよ〜」などと、へそ曲がりな私は、内心思うのである。

絵本作家はどう思っているのか?

なぜこのようなことを書こうと思ったかというと絵本作家(ということにしておきます)の井上奈奈さんがこの度上梓された『星に絵本を繋ぐ』(雷鳥社刊)にビビビッと来る一節を見つけたからである。

(印刷工程で)原画に近づけるための多大な労力をかけて作られた絵本でさえ、原画展では「やはり原画は美しいですね」という言葉が飛び交う現実に、「本の在り方」として違和感を抱きました。
このときの体験が、本作りにおいて最も美しい絵の状態を「原画」ではなく完成した「本」の時点にシフトしたいという考えに至り、「印刷」を画材として捉えることにしました。

『原画至上主義』的な考え方に違和感を持つ作家さんの気持ち。そりゃそうだよなぁ〜と思う。

別物として楽しむ

絵本が一般書と違う点は、やはりそこに「絵」があるという思いが強い。(ここでは、絵のない絵本もあるとか、挿し絵のある一般書もあるとか、そういう議論はちょっと横に置いておきます)

すると無意識に、絵本の「絵」の存在を最重視してしまう観念が生れてしまうのではないかだろうか。(自分にもそういうところがゼロではないと思う)

『総合芸術』と言ってしまうと余計に掴みどころがない感じもあるが、絵本は絵本、原画は原画として別物として楽しむのが一番良いに違いない。

作り手のこだわりが伝わってくる本

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作り手のこだわりを随所に感じる本を手にしていると、指先から心地よさが染みてくる。

井上奈奈さんの本書は、内容はもとより、その構成や紙質や装丁など、こだわりが、読み手に伝わってくる。

本の栞ひも(スピン)が、馬の尻尾になるように通常と天地逆に取り付けてあるなど、遊びココロも満載だ。※頭の固いボクは、これは装丁ミスではないかと勝手にドキドキしたくらい(^_^;)

本書を読んで、絵本や絵本作りにますます興味が湧いた。


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