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by your side #3 『パンを脳で食する』 

【プロローグ】
大人になって、絵本にハマって、約15年。おそらく6,000冊位は読んでいて、最近は、with COVID-19もあって、自宅で独り読みすることも多い。
そして、ほっこりしたり、ほろっとしたり。ああこんな時間が多くの人にあったらなぁとつくづく思う。
by your sideというのは、和訳すると「あなたのそばに」という意味で、絵本をそばに置くそんなライフスタイルを提案したいという願いからつけた名前。ときどき、そうやって絵本を紹介できたらなぁと思う。

我が家は、割とパン好きである。新しいパン屋さんを見つけるとバケットを買いたくなるし、自宅にはパン焼き器も置いてある。朝食は、基本パンである。

本屋さんに行っても『パン』を見つけることがある。絵本に出てくるパンである。子どものころ、「カラスのパンやさん」(かこさとし作・偕成社)にワクワクしたという方もおいでと思う。

思わずのどがゴクリ!となるようなリアルなパンの絵本もわりとあるものだ。代表格と言えば、彦坂木版工房の作品と言っても良いだろう。

絵本『パンどうぞ』(講談社)と出会ったときの感激は忘れられない。ページをめくるたびに、焼き立てパンの良い香りが鼻孔に吸い込まれていくような錯覚に陥る。これが版画でできているというのも驚きであったが、むしろ版画だからこその味わいがそこにはあるのだと今ならわかる。

その彦坂木版工房のお仕事をまとめた作品集が出版された。『ちゃいろときいろ』である。絵本だけでなく、商品パッケージや企業プロモーションに使われた作品も含め、100点以上の作品と何篇かの制作エピソードが収録されている見応えのある一冊である。

開いてみれば、生唾ゴクリものであることは間違いない。読了するまでに、大量のパンを脳で食することになるはずだ。

これらの作品を生み出す彦坂木版工房のアーティストユニットがスゴいのは言うまでもないのだが、味わい深さを醸し出す無数の茶色と黄色のインクユニットにもすごみと神秘さを感じるのである。

画集なので、正直そこそこ高価ではあるのだが、この1冊のある暮らしは、「きょうも腹が減る」というささやかな幸せを確実に連れてきてくれる。ありがたいことだ。


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