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絵本好きには、おすすめしません。

その絵本はね。オフィス街のビジネス書がいっぱい並んでいる本屋さんにあったんだよ。いつもの習性で、どんな本屋さんに入っても、つい絵本コーナーを探してしまう。場所がら、絵本コーナーと言えるかどうか、申し訳程度のスペースだったのだけど、その絵本はひときわ異彩を放っていたんだよ。

なになに? ももたろう? 誰だって知っている話だ。それにしても表紙は品がないのう~。登場人物たちが、へらへら笑いながら、よだれや鼻水をだら~っと垂らしている。なんじゃこれは!ウケ狙いの絵本かい!


「ガタロー☆マン」 ギャグマンガの鬼才と言われている人が描いたらしい。マンガのことは良く知らないから、この作者のことも知らない。絵本作家としては聞いたことがない名前だ。(しかしこの人も名前に星マークが入ってるんだな~と親近感がちょっとわく)

いかんいかん。相手のペースに乗せられそうになっている。まずは、拝読をばしてみんとな。

(ぺらり)※ページをめくる音

「むかしむかしあるところに・・・」まあ、お決まりのフレーズだわな。「おじいさんとおばあさんがすんでい・・・」ん、こんなところで次のページか?

(ぺらり)

「ました!!!」

鼻水だら~、よだれだら~。そして「ちーす」の合図でにっこり笑う、ハイテンションのおじいさんとおばあさんの姿がそこに!(なんじゃこりゃ!※ドンハマ★心の声)

(またぺらり)

ももたろうも・・・「ました!!!」

(ぺらり、ぺらり、さらにぺらり)

さる、きじ、いぬ・・・みんな、みんな、みんな

「ました!!!」「ました!!!」「ました!!!」

もう途中で、展開が先読みできちゃう。でも、このガタロー☆マン・ワールドに、途中でめくる手を止めることができません。

ドンハマ★の脳内には、大衆の前で、よみきかせしている自分の姿がくっきりと浮かんでいる。願わくば、大人も子どももドッヒャン、ドッヒャン、ウケてほしいものよ~などど思っている。

いかんいかん、ただのウケ狙いのこんなお下劣な絵本はだめですよ~。(マンガ家で絵本作家といえば、長新太さん。長さんのナンセンス絵本は好き。だって品があるじゃない。インテリジェンス感じるもん。)

でも、この「ももたろう」はいかん!ただ俗っぽく笑わそうとしているだけやん。ボクの頭の中で、かつて全国PTA協議会が「8時だヨ!全員集合~」をパージするかのごとく、この絵本は見せてはならない、ダメダメなやつと言っている。

読み終えたドンハマ★の手は、その「ももたろう」をつかんで離さず、ついにはレジまでもっていき「ました!!!」とさ。(おしまい)

《まとめ》

スゴく力強い絵本だと思いました。あとからじわじわとその凄さが沁みてきました。ガタロー☆マンさんは、マンガ界では謎の人物、鬼才であり、重鎮と言われている方のようです。この絵本に「内容がない」というご意見もあると思います。まったく否定いたしません。ただ笑うだけです。でも、それでいいじゃありませんか。私は、コロナやなんやらで「ただ笑う」ことさえ忘れていた自分に気付かされたんです。そういう人いま世界中にいっぱいいるんじゃないでしょうか?下世話というよりは、それをやり切る骨太で強靭な精神力に魅力さえ感じました。

「いつまでもくよくよしていないで、まずは笑って、顔あげて、前を向きましょう。それから次のこと(もっと大事なこととか)考えるのでも遅くないでしょ~」そんなことを言われた気がするんです。

この「ももたろう」を旅する絵本♡に仕立てて、ドンハマ★が旅に連れて行こうと思っています。

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