ヨロイマイクロノベルその15
141.
川面は花びらで覆われていた。けれど一本も桜の樹が見当たらない。気になって上流へ向かって土手を歩く。花筏の景色はいつまでも続いた。夕暮れ前になり、スポーツドリンクの粉を撒いている老人に出会う。これが四月の川に溶けると春の終わり風になるのさ、と潰れた声で教えてくれた。
142.
「もう転がす時代は終わりだ」とフンコロガサナイが言う。そいつは糞を立方体に固める。球体派のフンコロガシとの対立は必至だ。にらみ合いと罵り合いが長く続いた。両派の糞が完全に乾き切るころ、未曾有の