tuburech

おすすめされた本・映画の感想を書きます。

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最近の記事

「さみしい夜にはペンを持て」/古賀史健

「さみしい夜にはペンを持て」/古賀史健 尊敬している同僚が絶賛していたので、読んでみました。 苛められっ子のタコジローの姿に、身につまされるものがありました。自分も、中学生の頃は、片田舎の進学校で、人間関係に思い悩み、また、学園生活というのには、逃げ場のない閉塞感があって、タコジロー同様、鬱屈とした日々を過ごしていたのを思い出しました。 そういった、(多分)中〜高校生独特の閉塞感、苦手な人物とも、日々関わることを要求され、うまくやることを期待される状態、そしてそこでうま

    • 「音楽とデザインの幸福なコラボレーション」 村上春樹さん×村井康司さん

      昨日、村上春樹さん(以下、春樹)のトークショーに行ってきました。 春樹は、中高時代から個人的なヒーローの一人です。 ただ、たまにニュースとかで見て、おっ、春樹が出とるねぇ!とか思うことはあっても、まぁ、生で見れるタイミングとかはないんだろうなぁ…と思っていました。そんな中、職場の同僚から、早稲田大学を中心に、時折行われている講演会とか、トークショーの存在を教えて頂き、まぁ、とはいえ、応募しても当選しないんだろうな、と思っていたら、まさかの当選の知らせがあり、万難を排して、

      • 『グレイテスト・ショーマン』(2017)

        大学生の頃、実家に帰った時に、姉貴に誘われて映画館で『レ・ミゼラブル』を観たことがある。ミュージカル映画、みたいなのをあんまり観たことがなくて、最初は、アン・ハサウェイって、ホント、美人だなぁ…と思いながら観ていたんだけれども、だんだん、ヒュー・ジャックマンというか、ジャン・バルジャンが、物悲しい顔で、何の前触れもなく歌を歌い始めるのがツボにハマってきて、そもそもジャン・バルジャンってなんだよ、みたいな気持ちになり、笑いを堪えられなくなって、姉貴共々、ずっと涙を流して笑いなが

        • 『オッペンハイマー』(2023)

          研修医1年目の時に、無口な上司と福岡に学会発表旅行に行ったことがあった。夜は完全に別行動だったので、思い切って、博多のビルの映画館で、『インターステラー』を観た。 映画を観ている間中、BGMの使い方というか、その音量の大きさというか、マシュー・マコノヒーの顔の、恐ろしいほどのシリアスさに圧倒というか、圧迫されるような感覚を味わうこととなった。 と同時に、主人公が宇宙に放り出される瞬間の圧倒的な孤独感とか、不安感に、働き始めたばかりの、(無口な上司との学会旅行を余儀なくされ

        「さみしい夜にはペンを持て」/古賀史健

          『ミツバチのささやき』(1973)

          子どもの頃は、愛媛の山奥に住んでいたので、10分も歩くと、ベトナムの農村地みたいな風景が広がっていたり、汚い池があったり、用途不明の沼があったりした。夜の散歩ということで、一人でその沼付近に行ったりすると、なにか、netherworld的なものの入り口に立っているような気がしたものだ。 なので、子供時代というのはそういうもんなんだ、というような考えが自分の中にあって、現状の生活で、自分の娘に、そういう感覚を味あわせてあげられているだろうか?ということは、考えてしまう。どこと

          『ミツバチのささやき』(1973)

          食事は人生を変える/Kanekin

          食事は人生を変える(自分史上最高のカラダになるためのフードハック術)/Kanekin ・body is a temple、みたいな物言いがあって、そういう考え方は、とても素敵だと思う。坊さんがお寺を掃除するように、自分の体を大切にしたい。 ・ちょっと前に、実家で、上裸の状態の父親を見る機会があって、その時、肌の質感が、お爺さんじゃん、と思った。先日観た『Perfect Days』でも、役所広司が銭湯に入るシーンがあって、役所広司自体は、めちゃくちゃ格好いいんだけれども、胸

          食事は人生を変える/Kanekin

          『PERFECT DAYS』(2023)

          大学時代の友達が絶賛していたので、『オッペンハイマー』と迷ったけど、観てみた。ヴィム・ヴェンダースは『パリ、テキサス』とか好きだし、Slice of Life的な映画というか、ジム・ジャームッシュの『パターソン』っぽい、みたいな話もあって(『パターソン』自体、可愛らしい映画だな、くらいの感想しかなかったけれども)、『オッペンハイマー』は、多分、暗い気持ちになるんだろうし、対して、『Perfect Days』は、キャッチコピーは「こんなふうに、生きていけたなら」だし、5月病を先

          『PERFECT DAYS』(2023)

          「モモ」/ミヒャエル・エンデ

          数年前から、「人心が、荒廃している」…と感じる事が多くあります。 特にそれを実感するのが、X(旧Twitter)の「おすすめ(For You)」の項です。 自分は、大学生の頃からTwitterのアカウントを持っていましたが、当時は、友達が、「今起きた」とか、「飯食った」とか呟くのを見て、おぉ、そうか…と思うだけ、という非常に小規模なものでした。ただ、それによって、生きることの孤独感がまぎれる、というような効能があるような気がしていて、こりゃ、画期的なSNSやがな…と思って

          「モモ」/ミヒャエル・エンデ

          「DIE WITH ZERO」/ビル・パーキンス

          「DIE WITH ZERO -人生が豊かになりすぎる究極のルール-」/ビル・パーキンス これも、『苦しかった時の話をしようか』をお勧めしてくれた後輩が、研修医時代の苦しい時期に買って読んで、奮い立った一冊、みたいなことで挙げてくれました。 そういった事は自分にもあり、研修医時代、いろんな要因で鬱状態に陥っている時に、このままではいけない、と思い、なんらか救いを求めて、『GRIT -やり抜く力-』という本を買って読んだことがあります。 「やり抜く力が、成功するためには大

          「DIE WITH ZERO」/ビル・パーキンス

          『レナードの朝』(1991)

          『レナードの朝』 大学生の頃から、何度か観ようかな、と思って、医療モノか〜とスルーしていたのですが、今回お勧めを頂いて見ました。 個人的な人生ベスト映画の一本が『グッド・ウィル・ハンティング〜旅立ち〜』なのですが、そこでのロビン・ウィリアムスの演技が好きで、『レナードの朝』でも、なんか眩しそうな表情をするところとか、神経質そうに顎を触る所とか、作り笑いっぽくニカッ!と笑ってすぐ真顔に戻る所とか、どことなく『ウィル・ハンティング』のショーン先生に通ずる所があり、古い知り合い

          『レナードの朝』(1991)

          「ボクの音楽武者修業」/小澤征爾

          「ボクの音楽武者修業」/小澤征爾 「大人になるということは、たび重なる経験のために次第にこうした体のふるえるような新鮮な感激がうすれ、少なくなることだそうだが、もしそれが本当なら淋しいことだと思う。」 と小澤征爾さんは書いています。 この感覚というのは、なんとなく分かります。 思春期の頃、何か音楽を聴いていて、感動すると、背筋に冷たいものが走り、体の震えが止まらなくなるような感覚を日々感じていて、通学中の電車の中でもたびたび同様の状況に陥り、日常生活に支障を来すほどだ

          「ボクの音楽武者修業」/小澤征爾

          「苦しかったときの話をしようか」/森岡毅

          「苦しかったときの話をしようか」/森岡毅 薦めてくれた先生が、「研修医になりたてで、うまく行かなくて、辛い時に読んで励まされたんです…」と言っていて、「父から我が子に宛てた手紙」という体裁を取っていることもあり、「父さんにも、こんなに苦しかった時期はあった。だけどね…」みたいな、温かい内容なのかと思いきや、基本的には就活 how toというか、自己分析how toという趣がある。それはそれで、興味深く読めた。 大学生の頃、それまで他愛もなく音楽や、映画の話ばかりしていた友

          「苦しかったときの話をしようか」/森岡毅

          「思考の整理学」/外山滋比古

          「思考の整理学」/外山滋比古 「東大・京大で一番読まれた本」…みたいに帯に書いてあって、ほな、読んでみますか…とか思って受験生の時に買って、なんかピンと来なくて挫折した一冊。 「こうすると思考が整理されますよ」みたいな、「滋比古メソッド」的なノウハウ本なのかと思いきや、河合隼雄さんの『こころの処方箋』を思わせるような、知的エッセーというか、悪く言うと、「これからの時代、君たちはグライダー人間ではいけない。飛行機になれ!」みたいな、夏休み前とかによくある校長先生のお話のよう

          「思考の整理学」/外山滋比古

          「国家と教養」/藤原正彦

          「国家と教養」/藤原正彦 正直、あんまり読んだことのない類の本で、面白く読めました。 中学生の頃、『ロッキング・オン』とかで、海外のロック・アーティストのインタビューや、ツアー同行記事を読むのが好きでした。 いくつも心に残っているフレーズとか、エピソードがあるのですが、なかでもレッド・ホット・チリ・ペッパーズの仙人風ギタリスト、ジョン・フルシアンテが、狂信的に音楽愛について語るインタビューが面白くて、楽しみに読んでいました。 すごく印象的なエピソードが、『By The

          「国家と教養」/藤原正彦

          「ダンス・ダンス・ダンス」/村上春樹

          「ダンス・ダンス・ダンス」/村上春樹 中学生くらいの頃というのは、読書の方向性というのがつかめなくて、新潮文庫の夏の50冊、みたいなやつを適当に読んだりしていたのですが、ある時、兄貴に薦められて、村上春樹の『ノルウェイの森』と、遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』を読んだ思い出があります。 どちらも良い本で、感銘を受けたのですが、特に村上春樹に関しては、名前もかっこいいし、文体もなんかオシャレで、中2心をくすぐられるというか、もっと、いろいろ読んでみたい、と思ったものでした

          「ダンス・ダンス・ダンス」/村上春樹

          「生き方」/稲盛和夫

          「生き方」/稲盛和夫 京セラの元・社長であり、僧侶でもあるという稲盛和夫さん。 本を読む時は、未だに(Kindleではなく)フィジカルの方が読む気が高まるということがあって、フィジカルで本を買う時はおおむね大手町のMARUZENか、青山のブックセンターに行きます。 この『生き方』を買うためにMARUZENを散策した際、どこに置いてあるんだか分からなくて戸惑ったのですが、最終的に、今まで足を踏み入れたことのなかった、1階の、「経営」コーナーに置いてあるのを見つけました。そ

          「生き方」/稲盛和夫