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課題図書「大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語」読書感想文の書きかたのコツ

Thank you,ArmyAmber. Thanks to your photos we can convey the reality of Afghanistan. (ありがとう、ArmyAmber。あなたの写真のおかげで、アフガニスタンの現実を伝えることができます)

フリー素材で、アフガニスタンの貧しい子どもたちの写真を見つけた。中村哲氏は素晴らしい功績を残した。それは、こうした「貧しい子どもたち」「汚い水を飲み、あっという間に死んでいく子どもたち」を見たからだ。

この本は、とても読みやすく、「何が問題なのか」「どういうことを、この本を読んだことで、考えてほしいか」という視点がたくさん書かれている。

だから、高学年の本の紹介では、書きやすい本と紹介した。


医師として、アフガニスタンに赴任した中村哲氏。
そこは、水のない砂漠の地で、飲水は汚れた水しかない。
水道をひねれば、きれいで安全な水がいくらでも飲める日本とは、まったく違う環境の地だ。

3歳くらいまでの小さな子どもが、どんどん死んでいく。
汚い水を飲んで、下痢をおこして、あっという間に死んでしまうのだ。
水による病気は、子供だけではない。多くの人が水不足、そして栄養失調などで、死ぬ。治しても治しても、キリがない。

撮影:ArmyAmber

中村哲医師のすごいところは、

水不足で子供も大人も死ぬ。食べ物がないから栄養失調になる。水路を作って、この地に水をもたらそう。そうしないと、死んでいく子どもも大人も、減らない。

根本的な問題を、なんとかしようと考え、本当に「なんとかした」人なのである。

独学で土木の本を読み、水路をつくる方法を模索する。NGOに協力も求め、住民も一緒になって、水路を引く。


取水場所は、水路を作るに当たり、大変重要な部分だ。
ここがだめになったら、いくら水路を引いても、水は流れては来ないからだ。自ら、重機を使って、日本の水路づくりで活用されている方法を見つけ、激流に入って危険な作業をする。

なにせ、その取水場所の作業だけは、中村哲医師しかできないからだ。


この本を読んでいる小学校高学年は、見た記憶はないだろうが、わたしはたまたまテレビのニュースで、最初に水路を開ける場面を、映像で見た。



少しずつ、ちょろちょろと流れてくる水。
その水路にたって、愛おしそうに、その水とともに歩く、中村哲医師。
水路のまわりには、歓声を上げる人々、水と一緒に走る子どもたちがいた。



そのおかげで、子どもも大人も、水道から出るきれいな水を飲み、病気になることは減った。

水路のおかげで、畑を作り、作物を育てることができるようになり、飢餓も解消した。


この本で、中村哲医師の言葉として、何回か登場する以下の言葉が、とても印象的だ。


「人は、見ようとするものしか見えない」



つまり、見ているけれど、関係なことと思うと、心に残らない。関心がなければ、見ないのと同じ。


この本を読む皆さんは、アフガニスタンの現実を、「見ようとしたこと」があるだろうか。

なんとなく聞いたことがある。タリバンがいて、戦争しているところで、大人も子どもも貧乏で、死ぬ人も多い。


このくらいの認識では、なかっただろうか。

それを責めてはいない。

ただ、この本をきっかけに、アフガニスタンの現状を「見ようとすること」。そういう視点を持ってほしいのだろうと、この本を読んで思った。


アフガニスタンには、同じ小学5年生も、6年生もいる。
水路ができる前は、彼らも貧しく、食べるものも少なく、栄養失調や病気で死んでいく子も、少なくなかった。

撮影:ArmyAmber

遠くの国の話でしょ? で終わらせるのではなく、「自分事」として、「見ること」「知ること」が、重要だと、中村哲医師は言っている。

「人は、見ようとするものしか見えない」からだ。


中村医師は、志半ばで、凶弾に倒れる。
こういう言い方をするとカッコいいが、つまりは、彼の行動に反対する武装勢力なのか、何かの見せしめなのか、単なる偶然か、それはわからないが、銃で撃たれて殺されたということだ。


この本は、とてもわかりやすく「こういう問題にどう思うか」などと、著者が問題提起をしているので、一番、心に残った「問題提起について、自分が思ったこと、考えたことを書いてみよう。


そして、重要なのは、最後の「まとめ」だ。


これより前の文章では、本に書いてある様々な事実や、著者が書く「問題提起」について、それぞれ思ったこと、考えたこと、意見を書いてきたことだろう。

最後のまとめは、違う。

この本を読んで、全部を振り返って、思ったこと、考えたこと、意見を書かなければならない。


つまり、「何を学んだか」ということだ。また、どんなことを「自分事」として考えることができたかということだ。

それを、未来に向けたことを踏まえて、書くことだ。

「他人事」ではなく「自分事」として考えるなら、あなたには、何ができるだろうか?


こういう本で、読書感想文の指導をしていると、よく、

「募金をするとか……。」


というお子さんが多い。


でも、「自分事」として考えることができたなら、もっとできることがあるのではないか。

それは、例えば、

もっと調べて、アフガニスタンの現状を理解しようとすること。


または、この本で学んだことを、

「他の人に伝える」


というのは、あなたができる、とても重要なことだ。


例えば、10人に話して、1人でも、同じようにアフガニスタンの現実に興味を持ち、「自分事」ととらえることができたら、あなたはアフガニスタンに貢献した人の一人になるだろう。

撮影:ArmyAmber

アフガニスタンに限らず、貧困国、戦争で子どもまで兵隊にされている国、女性や女の子が虐げられている国、飢餓や水不足で子どもがどんどん死んでいる国の人たちの願いのひとつは、

「わたしたちのことを、この国の現状を知ってほしい」


ということだからだ。

それを伝えるために、ジャーナリストは危険をかえりみず、その国に、その場所に行く。写真を撮る。報道して、伝える。


そんなことを考えながら、読んで、読書感想文を書いてほしい1冊だ。

もっと知りたければ、You Tubeで「中村哲」と検索すれば、現地の人との関わり、中村医師が水路を引く努力をしているところなど、たくさん見ることができる。

「ぼくは、You Tubeでも調べてみました。そこでこんな動画を見て……。」


こうしたことだって、読書感想文に書いてもいい。

多くの高学年に、「自分事」として、世界の最貧国などの現状を「見ようとして、見てほしい」と思う。

読んでみたいと思ったら、または、読書感想文を書く参考になったと思った方は、ぜひアマゾンのリンクからご購入を!


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