ゆってぃ@弁理士勉強中

大学院 生物 行動神経学 博士課程を単位取得退学 => 特許事務所で弁理士試験の…

ゆってぃ@弁理士勉強中

大学院 生物 行動神経学 博士課程を単位取得退学 => 特許事務所で弁理士試験の勉強中 弁理士関連のこと、研究のこと、論文の解説、その他の所感を発信していきます。 Twitterもやってます。 https://twitter.com/bipisumo

マガジン

記事一覧

アトラスの経営難に学ぶ、特許の重要性

アトラスというゲーム会社をご存じでしょうか? アトラスは、ペルソナシリーズや女神転生シリーズというヒット作品を生み出したゲーム会社なのですが、実は「プリクラ」を…

ワイヤレスイヤホン比較メモ

愛用していたイヤホンを最近なくしてしまった。 夜行バスで寝ている最中に片耳落としてしまって、そのまま見つからなかった。 高い買い物だが、仕事中のノイズキャンセリン…

ChatGPTに感情があるのか実験してみた

久しぶりの投稿です。 最後に投稿したのはおよそ2年前らしくてビビってます。 あまりSNSでの情報収集や発信をしなくなったせいですね。 ところで最近ChatGPTの活躍が目覚…

味覚で光を感じる?目のない線虫が光を視る仕組み 【論文紹介】

前回、線虫という目を持たない単純な生き物も色の情報を利用できる、といった内容の論文を紹介しました。 そこで紹介した論文では、線虫が青い光と黄色い光と活性酸素の情…

目のない線虫も光の色を区別する!菌の感染の回避戦略 【論文紹介】

今回は視覚の仕組みについてお話したいと思います。 ただし視覚といっても、ヒトの視覚でもなければ哺乳類のでも、さらには脊椎動物のですらありません。 今回取り上げるの…

【論文紹介】 ネズミにも方言がある!? ネズミの鳴き声を機械学習にかけてみた話

今回紹介したい論文はこちら。 「Cultural transmission of vocal dialect in the naked mole-rat」 (ハダカデバネズミの方言の文化的な伝播) これは「ネズミにも方言が…

note記事、ベストな量と頻度は?

noteを書くにあたって、ひと記事あたりの量と頻度のバランスはどこがベストなのか。今回はこれを考えたい。 先日、奥野 正次郎さんというnoteブロガーのこんな記事を見か…

執筆を用途ごとに分類すると、執筆時間を節約できそうだった

先日こんな記事を書いた。 ふと思いついた妄想を広げていった話である。 この記事を書くのに実は2時間半=150分くらいかかっている。しかしここに書かれている妄想に費やし…

【科学妄想】ロウソクの燃焼、状態の維持と再起プロセス、物体の運動、ダークマター

こんなツイートを目にした。 地上と微小重力下ではロウソクの炎に違いがある。 少し考えて漠然と対流性の違いかな?と思ったら、確かにそうらしい。 ただ具体的にどんなプ…

科学に楽しく触れてもらうためにゲームを作ってみた

どうにか科学をみんなが楽しめるようにならないかな〜と思う今日この頃です。 そんな考えで科学用語のクロスワードを作ってみたり、研究を体験するボードゲームを作成中だ…

改行ではなく送信してしまった人へ。Shift+Enterで幸せになった話

メッセージを書いていて、改行しようとEnterを押したら送信してしまうことってないですか? またはExcelとかでセル内で改行したいのにEnterではできないとか。 僕はこうい…

月とスッポン(仮) 【エッセイ】

子供の頃に「月とスッポン」という言葉を聞いて違和感を覚えた。なんでスッポンなのか?もっとよく聞く動物がいるではないか。そもそも動物でなくてはならない縛りなどない…

漏れ積分と畳み込み積分、そして神経回路における畳み込み積分の可能性

畳み込み積分がわかりません。 よくpythonでデータをいじったりするのですが、行列の畳み込みがイマイチわからない場合が多くて、その都度調べています。 そうして調べて…

Notion活用のTips 〜これから始める人が知っておきたい事〜

最近Notionというツールが話題です。 Notionとは色んな情報を一括管理できるデータベースツールです。 その用途は様々で、Evernoteのようなノートブック的使い方、Trello…

生物は皆等しくロボットで、自由意志はない【私の自然観】

生物はよくできたロボットだなとよく思う。こういうと反論も多く出るだろうが、ひとまず聞いて欲しい。 よくSF映画には未来のロボットや他の惑星から落ちてきたテクノロジ…

千人計画を入り口に、研究者の海外流出について考えてみた

最近、研究界隈では千人計画の話題がちらほら見られますね。本当はこの話題で持ちきりと言いたかったのですが、私は社会的な話にはいつも一歩出遅れるので、情勢が落ち着き…

アトラスの経営難に学ぶ、特許の重要性

アトラスというゲーム会社をご存じでしょうか? アトラスは、ペルソナシリーズや女神転生シリーズというヒット作品を生み出したゲーム会社なのですが、実は「プリクラ」を初めて開発した会社でもあるんです。 いまだに利用され続けるプリクラ。その開発者であるアトラスは、さぞ儲けたことだろうと思われますが、 実はプリクラを世に出した数年後に赤字続きとなってしまいます。 一体なぜなのでしょうか? その理由は様々あると思われますが、 理由の1つは、「特許を取っていなかったから」でしょう。 以

ワイヤレスイヤホン比較メモ

愛用していたイヤホンを最近なくしてしまった。 夜行バスで寝ている最中に片耳落としてしまって、そのまま見つからなかった。 高い買い物だが、仕事中のノイズキャンセリングなど自分にとってイヤホンは欠かせないツールのため別のを買うことにした。 その結果1万5千円のイヤホンを買い、元々使っていた2万5千円程度のイヤホンと比較する機会を得たので、違いをまとめて自分用のメモにしておこうと思う。 イヤホン①:Jabra Elite85t, およそ25,000円, 使用歴3年弱 イヤホン②:

ChatGPTに感情があるのか実験してみた

久しぶりの投稿です。 最後に投稿したのはおよそ2年前らしくてビビってます。 あまりSNSでの情報収集や発信をしなくなったせいですね。 ところで最近ChatGPTの活躍が目覚ましいですよね。 ChatGPTは質問やコメントをするとその答えが返ってくるもので、その答えの精度が素晴らしくて話題を集めています。 (精度というのはこの場合適切ではないかもしれません。質問の理解度や返答の人間らしさなどをまとめて表したかったのですが、良い言葉が見つかりませんでした) さて、そのChat

味覚で光を感じる?目のない線虫が光を視る仕組み 【論文紹介】

前回、線虫という目を持たない単純な生き物も色の情報を利用できる、といった内容の論文を紹介しました。 そこで紹介した論文では、線虫が青い光と黄色い光と活性酸素の情報を複合的に利用して緑膿菌から逃げている可能性が示されました。 では、線虫はどうやって光を感知しているのでしょうか? 線虫は目もなければ、人間などの動物が持つオプシンという光センサーの遺伝子も持ちません。そんな線虫が光を、しかも青と黄色の2色の光を感知するのはどんな仕組みによるのでしょう? 味覚受容体が活性酸素を介

目のない線虫も光の色を区別する!菌の感染の回避戦略 【論文紹介】

今回は視覚の仕組みについてお話したいと思います。 ただし視覚といっても、ヒトの視覚でもなければ哺乳類のでも、さらには脊椎動物のですらありません。 今回取り上げるのは線虫という小さい線状の生き物です。 線虫といってもいろんなタイプがいて、アニサキスのようにヒトに寄生するものもありますが、最もよく実験で使われるのはC.エレガンスという種類の線虫です。以下で単に線虫といったらC.エレガンスを指すこととします。 この線虫は私の研究対象でもあり、下の画像は私が自分で撮影したものです。こ

【論文紹介】 ネズミにも方言がある!? ネズミの鳴き声を機械学習にかけてみた話

今回紹介したい論文はこちら。 「Cultural transmission of vocal dialect in the naked mole-rat」 (ハダカデバネズミの方言の文化的な伝播) これは「ネズミにも方言があるかも!」という論文です(以降でしばしば、ハダカデバネズミを単にネズミと呼びます)。 先日、友達とやっている論文紹介の会で発表したので、ここにメモしておきます。 この論文はネズミの言語に関する話ですが、ヒト以外の言語の研究は元々このハダカデバネズミでもや

note記事、ベストな量と頻度は?

noteを書くにあたって、ひと記事あたりの量と頻度のバランスはどこがベストなのか。今回はこれを考えたい。 先日、奥野 正次郎さんというnoteブロガーのこんな記事を見かけた。 この記事によると、A:質100% x 3日に1投稿 と B:質80% x 2日に1投稿 とを比べると、Bの方がPV数が良かったそうだ。 これを見ると、質を少し落としても頻度を上げた方が良さそうである。 ただBの方が時期的に後なので、人気が上がっていった結果PV数が上がった可能性もあるのだが、ひとまず

執筆を用途ごとに分類すると、執筆時間を節約できそうだった

先日こんな記事を書いた。 ふと思いついた妄想を広げていった話である。 この記事を書くのに実は2時間半=150分くらいかかっている。しかしここに書かれている妄想に費やしていた時間はほんの15分程度である。 この記事の執筆は、妄想自体の10倍の時間をかけていることになる。 なんともまぁ勿体無い。 できることなら執筆時間をもう少し短縮して、時間を他のことに使いたい。 では何に時間がかかっているのか? 一つは文字を打ち込む時間。 いま簡単に測ってみたところ、およそ2文字/秒の速

【科学妄想】ロウソクの燃焼、状態の維持と再起プロセス、物体の運動、ダークマター

こんなツイートを目にした。 地上と微小重力下ではロウソクの炎に違いがある。 少し考えて漠然と対流性の違いかな?と思ったら、確かにそうらしい。 ただ具体的にどんなプロセスかまでは想像できなかったのでリンク先を見てみた。 どうやら炎の形の違いは、対流による酸素供給範囲の違いで説明できるようだ。 炎は油の酸化で生じる。その詳細な仕組みはこちらのHPがわかりやすかった。 炎が生じ続けるには酸素を供給し続ける必要がある。 これが、温度の上昇 => 空気の密度低下 => 対流 =>

科学に楽しく触れてもらうためにゲームを作ってみた

どうにか科学をみんなが楽しめるようにならないかな〜と思う今日この頃です。 そんな考えで科学用語のクロスワードを作ってみたり、研究を体験するボードゲームを作成中だったりします。 (作成中のボードゲームと、作ったクロスワードはこちら。クロスワードの方はコピーして使っていただいて構いません) ------・・・------ 科学って一般の方との関わりがとても薄いんですよね。 科学に支えられた技術が生活を支えているのに、その科学に携わる研究者や研究に対してはそんなに興味がない人が

改行ではなく送信してしまった人へ。Shift+Enterで幸せになった話

メッセージを書いていて、改行しようとEnterを押したら送信してしまうことってないですか? またはExcelとかでセル内で改行したいのにEnterではできないとか。 僕はこういうことがめちゃめちゃありました(笑) 実はほぼ全ての場合で、Shift + Enterを押すとこれが解決します! 今さらかよって人も多いでしょうね。そう、僕は今さら知りました。齢26にしてShift+Enterを知る、です。 大体のケースにShift+Enterは適用できます。 例えばFaceboo

月とスッポン(仮) 【エッセイ】

子供の頃に「月とスッポン」という言葉を聞いて違和感を覚えた。なんでスッポンなのか?もっとよく聞く動物がいるではないか。そもそも動物でなくてはならない縛りなどない。森羅万象の中でなぜスッポンを選んだのか。 理由はどうやら、どちらも丸い形をしていながら美醜に差があるかららしい。確かにスッポンが美しいかと聞かれれば美しくはないと思う。でもなぜスッポンなのか?そもそもスッポンの丸さは甲羅だけではないか。誰だ、スッポンを選んだやつ。理由を聞かせい。 しかし批判は代案を持ってすべしと

漏れ積分と畳み込み積分、そして神経回路における畳み込み積分の可能性

畳み込み積分がわかりません。 よくpythonでデータをいじったりするのですが、行列の畳み込みがイマイチわからない場合が多くて、その都度調べています。 そうして調べている中で、ツールとして使っていた畳み込み積分が研究内容に関連してきたので、その覚書を書いておこうと思います。 ------・・・------ 畳み込み積分は、私は「移動平均」を取るのに使います。データのノイズを除去して滑らかにする操作ですね。次のリンクがわかりやすいです。 https://deepage.n

Notion活用のTips 〜これから始める人が知っておきたい事〜

最近Notionというツールが話題です。 Notionとは色んな情報を一括管理できるデータベースツールです。 その用途は様々で、Evernoteのようなノートブック的使い方、TrelloなどのToDo管理にExcelのような表データ作成など、全てが1つのアプリでできます。 私も流行りに乗っかってここ数週間Notionを使ってみたので、Notionの良いところや注意点をお話します。 また別の記事では私が具体的にNotionをどう使っているか、その活用事例も紹介する予定ですの

生物は皆等しくロボットで、自由意志はない【私の自然観】

生物はよくできたロボットだなとよく思う。こういうと反論も多く出るだろうが、ひとまず聞いて欲しい。 よくSF映画には未来のロボットや他の惑星から落ちてきたテクノロジーが出てくる。私の中の"生物"はまさにそんな感じで、人智を超えたロボットなのだ。天空の城ラピュタのロボットといえばイメージしやすいだろうか。 この生物観は全ての生物が分子・原子でできていることに根拠の一つがある。つまるところ物理法則に従っているだけで、その点で生物と石ころに特別な差異はない。 またこの生物観に深

千人計画を入り口に、研究者の海外流出について考えてみた

最近、研究界隈では千人計画の話題がちらほら見られますね。本当はこの話題で持ちきりと言いたかったのですが、私は社会的な話にはいつも一歩出遅れるので、情勢が落ち着き始めた今頃になって話題にしている次第です。 さて今回は自分には珍しく、社会的話題となっている千人計画について考えを綴ってみようと思います。 *私の自己紹介はこちらの記事で。 今回のニュース自体は議論に値しない(自分にとって)まず千人計画は2008年から中国が打ち立てていたものです(恥ずかしながら今回の件まで知りま