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アトラスの経営難に学ぶ、特許の重要性

アトラスというゲーム会社をご存じでしょうか?
アトラスは、ペルソナシリーズや女神転生シリーズというヒット作品を生み出したゲーム会社なのですが、実は「プリクラ」を初めて開発した会社でもあるんです。

いまだに利用され続けるプリクラ。その開発者であるアトラスは、さぞ儲けたことだろうと思われますが、
実はプリクラを世に出した数年後に赤字続きとなってしまいます。
一体なぜなのでしょうか?

その理由は様々あると思われますが、
理由の1つは、「特許を取っていなかったから」でしょう。
以下で、この特許の重要性を如実に示す事例についてみていきたいと思います。

1995年、アトラスは「プリント倶楽部」という画期的なゲーム機を発表しました。これは、プリクラ(プリント写真シール機)というジャンルを確立した革新的な製品でした。
ユーザーは自分たちの写真を撮影し、かわいいフレームやスタンプを加えてシールとして印刷することができました。
この新しいコンセプトは瞬く間に人気を博し、特に若い女性を中心に大きなブームを巻き起こしました。

しかし、アトラスはこの革新的なアイデアに対して特許を取得しませんでした。
その結果、競合他社が類似製品を容易に市場に投入することができてしまい、大手ゲーム会社が独自のプリクラ機を開発・販売し始めたのです。
これにより、アトラスは瞬く間に市場シェアを失っていきました。

特許を取得していれば、アトラスは一定期間、この技術やビジネスモデルを独占的に利用する権利を持つことができました。
競合他社の参入を法的に制限したり、ライセンス料を徴収したりすることで、安定した収益を確保できた可能性があります。
しかし、特許という法的保護がなかったため、アトラスは自社の革新的なアイデアから十分な利益を得ることができませんでした。

ちなみにプリクラ開発当時のアトラスは、従業員数10名程度の小規模な会社だったそうですから、特許や知的財産といった方面を十分に意識できていなかったのでしょう。仕方のないことですね。

いずれにせよ、このアトラスの事例から学ぶべき教訓は明確です。
革新的なアイデアを生み出すだけでなく、そのアイデアを適切に保護する法的措置を講じることが極めて重要なのです。
秘匿できないアイデアは、特許や商標(会社のロゴ等)として法的に守らなければ、すぐに模倣・改良されて他社に容易に後れをとってしまうのです。

特に特許の取得は時間とコストがかかりますが、長期的な企業の成功と持続可能な成長のために不可欠な投資と言えるでしょう。

以上、アトラスの歴史を例に、特許の重要性を確認してみました。
わたし自身ペルソナシリーズが大好きで、赤字経営を乗り越えてくれたその根性にはどれだけ感謝と敬意を払っても足りません。
次回作の「メタファー」もとても楽しみで、発売日の10月が待ち遠しいです。
さて、なぜかアトラスの宣伝みたいになったところで、記事を締めくくりたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

参考↓

あのとき、あの知財大ヒットの裏側を探る!プリント倶楽部(株式会社セガ 株式会社アトラス)
https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol47/07_page1.html


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